空間転移(テレポート)が技術的に実現した社会のSF考察(その3)

こんばんは。三回目にして、少し間が空いてしまいました。三日坊主にならないよう、今週も定期的にやっていこうと思います。

第一回で書いておくべきことでしたが、執筆(と呼べるほどのものでもありませんが)を続けるにあたって違和感が出てきたので、再度背景説明を。SF考察と標題に銘打って書いておりますが、発端としては、今年の正月に『ジャンプ+連載大賞』に応募しようと思い、全く筆が載らなかった駄作に使った設定を、もうちょっとちゃんと考えてみよう、というところになります。そのため、考察といいながら、恣意的に選択肢を絞り込んでいる場面が、過去二回でも生じていますし、今後も多々生じると思います。その点はご容赦いただけると幸いです。

さて、本題に。

前回、テレポートの使用にはエネルギーが必要で、転移する距離に応じて必要となるエネルギー量も変わる、という考察までいたしました。今回は、その前提の上に、どのようなインフラとして、社会に根付いているか、を考えたいと思います。

テレポートしたい、と思うときは、どんな時でしょうか?私的には、朝寝坊した時が特にそう思いますが、現代人の社会生活は、コロナ禍で多少変化はあったとはいえ、基本的に移動を前提として成り立っているものが多いです。通勤・通学、ショッピング、旅行、レジャー、セレモニー等々、1日移動しないことが新しいライフスタイルと称されるくらいには、まだまだ移動することは日常の作業です。そちらを全てテレポートに置き換えるとするのであれば、一番の理想は一家に一台『どこでもドア』になるような気もします。いや、さらに贅沢をいえば、『どこでもドア』は持ち運びできないので、あらゆるドアを『どこでもドア』にするスマホアプリみたいなものが理想ですかね。ただ、この世界にまでなると、例えば、海外への移動の管理・規制の問題がややこしくなり、現代の国家という単位を前提とした国際社会は成立しないかもしれません。この切り口からSF考察するのも大変面白いですが、今のところどんな社会になるか、全く想像がつかないので、この切り口はまた別の機会に。

また、この世界観では、エネルギーの面で合理性を欠く側面があります。第二回で考察したように、転移に必要なエネルギー量は、概ね、質量に比例し、距離の二乗に比例する、という考え方をしています。この原則の上に立つと、遠いところにものを運ぶには、何回も細切れで運ぶより、まとめて運んだ方がエネルギー的には効率的、ということになります。ということは、長距離転移の場合には、現在の駅のようなものが成立する可能性が高いですね。

加えて、距離が長くなるほどエネルギーが必要になるのであれば、例えば、電気を使用する場合、発電・蓄電の装置も、距離に応じて大型化する必要があります。すなわち、転移する距離の長さに応じて、設備がそれなりに大型化する可能性が高い、ということになります。

ここまでの考え方から、インフラは以下の3タイプが併立して存在する社会である、と設定します。
① テレポートターミナル
 現在の駅に相当。都市間や国家間の移動が可能である。テレポートにかかる時間より、ターミナル内を移動する時間の方がかかることで有名。そのため、搭乗客数の多いグランドターミナル(例えば、東京駅など)については、ターミナル施設自体が商業施設化しそう。移動の方式については、追って考察。
②ホームポータル
 家庭や通常施設に設置可能な転移装置。家から学校や職場など、あらかじめ登録した地点に転移可能。登録できる地点数及び転移できる距離には限りがある。
③ショートジャンプデバイス
 持ち運べる転移装置。もはや持ち運ぶものでもなく、チップのように人体に組み込まれた装置になるかもしれない。目視した地点へ転移ができる。転移をするには一定の訓練が必要(自転車のようなもの)。安全上の観点から、転移には多くの制限・制約が伴う。

個人的には、フィクション映えするには、③が一番重要だと考えていますが、いざこの装置を実現しようとすると、いろいろと考えなければならないことが多い、ということから、この考察を始めました。次回は、③を深掘りし、ショートジャンプ(短距離転移)を実現するにあたっての考察を続けていきます。

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