玄奘西へ行く12

猪八戒は西遊記では元々は黒豚の妖怪で現代あるようなピンクのデブ豚ではない。経緯は、天蓬元帥と言う神が天女の催す桃園の会で泥酔してセクハラ、その罰で人間界に堕とされた。はずが、手違いで黒豚の胎内に入ってしまった。母豚の腹を裂き現世に現れた黒豚の妖怪は小屋にいた全ての仲間の黒豚を殺すとそのまま遁走した。その後は巷で人肉を食らう妖怪として恐れられるようになる。
あ、西遊記の最終的脅し文句は殆どが人食い、人肉、の類だ。日本では中々触れたくないジャンルの話題だが西遊記では悪食のレベルのギャグで済まされているところが興味深い。ライオンや虎が人を食うならばまだしも普段は食われる立場の豚が人を食らうのはなんとも不気味で良いアイディアだ。さすが奇書!
ただ実は豚が人を食ったと言う事件は世界中で報告されている。過度なストレスが原因らしい。
ワシのイメージは勝新太郎さんで考えていたが朝青龍さんはどうだろう?悟空、ラテン人、悟浄、トルコ人、八戒、モンゴル人、玄奘、漢民族。これで今流行りの多様性を取り入れたキャスティング。
話はそれますがNetflixにマルコポーロと言うドラマがあがっていて話はちょっとあれ?な感じなのですがクビライハーンの造形とフィクションであるにしても多様な人種が登場する設定は秀逸なのでお暇な方は観てみてくださいな。
巨大な身体とパンパンに張った風船のような顔、凶暴にして愛嬌のある笑顔、酒乱で欲まみれ、これがワシの最新の猪八戒像。
中国ではその憎めないキャラ性ゆえ悟空以上に人気があると言う。そう言えば中国映画って必ずおっちょこちょいのキャラが登場してストーリーと関係のないギャグが散りばめられているがあれ大好きなんだ、中国人は。
大体の映画やドラマで猪八戒は悟空の弟分でおっちょこちょいで女好き、すぐヘマをして悟空が世話してやると言う展開なのだが、この話ではもうちょっと違う展開を考えたい所だ。
普段は無愛想、笑うと笑顔が可愛い北方民族の大男が戦さで男手を失った烏斯蔵国にぶらりと現れたのは半年ほど前のことである。

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