玄奘西へ行く17

西遊記初期に登場する妖怪が色分けされているのだがこれを指摘している研究書は無い。
黒風怪
黄風怪
白骨夫人 
青獅王
紅孩児
と見事に五行思想の水→黒、土→黄色、白→金、青→木、赤→火に対応している。因みに悟空→赤、八戒→黒、悟浄→青、馬→白、玄奘→黄で塗り分けられた西遊記は多い。
研究書によると、いろいろこじつけがされていてめんどくさいのだがこの五匹の妖怪について五行思想との関係が語られているのを知らない。
確かにそれぞれのエピソードで火水木金土と関係しているのは紅孩児の火炎攻撃くらいであり、五行と結びつけるのは難しいがここまであからさまに色が入ってるのに無視されているのはなんでだろう?
因みにこの五匹中四匹は菩薩の慈悲により天界へと召喚される。白骨夫人だけが野晒しのまま放置。西遊記における女子の地位はすこぶる低い。
この物語では白骨夫人も成仏する、予定。
妖怪を倒した後に菩薩が登場してその妖怪を天界に連れ帰るのは頻繁に出てくるエピソードでお決まりパターンである。
道教の道士達にとって仏教僧は土地土地の神々を懐柔して取り込んでいく不気味な存在であったと聞く。道教と言うのはどちらかと言うと荒唐無稽的面白物語よりかは科学的考察を好む宗教であるため土地土地の神話を嫌がったのかも知れない。農耕民族に必要なのはカリスマ神話よりも科学的視点だ。仏教神話は北方の騎馬民族によって農耕漢民族にの土地に持ち込まれたのである。
馬と共に農耕の土地に辿り着いた観世音菩薩の企み、それは玄奘一行の遭遇する妖怪達を懐柔して仏教配下におく事だったのである、のかも知れない。
それを建前上は仲良くして見せてはいるが内心快く思っていない道教の神々が、密かに菩薩の企みを邪魔しているとしたら?
大体こんなイメージで話は進んで行く。

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