玄奘西へ行く6

西遊記では虎の扱いが悪い。よほど嫌われているのだろう。あんなのに森の中をうろうろされていたら確かに居心地は良く無い。因みに龍の扱いもすこぶる悪い。神格ゆえ殺される事は滅多に無いが悟空に宝を盗まれたり、ヘマして死刑になりかけたり、とにかく威厳がない。どちらも人間に勝った能力を持った存在で日本人はそういうものは大概尊敬しちゃって誤魔化すものなのだけど、どうやら中国人と言うのは人間至上主義なのであろう、西遊記の虎も龍もはっきり言って情けない。
物語初期ではやられ役で虎が何回が登場する、これは妖怪ではなく単に動物としての虎だ。こいつに殺されそうになる程玄奘は無力だが一度目は猟師に助けられ(はっきり言って要らんエピソードだと思った。)二度目は悟空が打ち殺して毛皮を剥いで腰巻きにしてしまう。妖怪では、虎先鋒と言う妖怪が黄風怪と言う妖怪の手下として登場する。こいつは戦闘中ピンチになると自分の毛皮を脱いでそれを囮に逃げると言うトカゲみたいな気味の悪い術を使う。
あとは虎仙力と言うインチキ道士が登場するがこいつはギロチンで首を刎ねられて死んでしまう。
その他にも出てきたかもしれないが活躍しないので忘れた。古代壁画では虎を連れた玄奘の姿があると言う。中国人は何でもかんでも五行思想にのっとり物を考えるそうで虎は方角的に東、猿は逆の西だそうで、それゆえに悟空に皮を剥がれ腰巻きにされてしまったのだろう。
五行思想はやたらと西遊記の物語に干渉してくるので避けては通れぬ思想であるが、五行思想と西遊記と言う本を読んだがすっかり訳がわからないので今は述べない。
とにかく虎が雑魚キャラなのが寅年生まれとしては不満である。

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