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お前はファラオになる

 こんにちは、椎名大往生です。

 ようこそ、卿の人間性をオーディオに捧げ、音響に帰依せよ。

 ところでファラオ……エジプト文明の王にして神を意味します。しかし態々こんなところにまで来てテキストを読もうとしているような連中はわりと多くが、僕の言うファラオがツタンでもカーメンでもないことを既にご存知だと思います。

 興が乗ったので今日はそのファラオの概念について語ります。

 オーディオという趣味をやってきて、様々な壁にぶつかる経験が皆さんにもあろうかと思います。オーディオの世界は「金と暴力」に支配されており、その中でも最強の力は「」です、これは揺るぎません。

 なのでまずファラオと聞けば、溢れる経済力でブルジョワジーを体現し、超高額機材を集めた趣味の王……かと知らぬ人は思うかもしれませんが。

違います。

オーディオ世界におけるファラオとは……。

オーディピラミッドの建設に成功し、神に至った者を指すのだ。

具体的には「土台

どういうことかというと。

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 こう。

 ここ部屋の中ですよ、どうしてコンクリートの板があるんです? 江戸時代の拷問かよ。みたいな疑問は最もだと思います…が、必要だからです、ご心配なく……すぐに皆さんもコンクリの虜になります。

 僕は度々疑問でした、ショップの凄まじいハイソな値札のついた高額オーディオシステムが、驚くべきクソのような音で鳴ってる環境が。最強の力である「金」で揃えられた筈の、ブルジョワ主義の権化とも言えるシステムが放つには貧相な音。生涯賃金の数%を費やすだろう筈のオーディオの音としては、あまりにも満足度が低い。

 色々理由はあります、面倒なので全部割愛しますが、とにかく金の力だけではオーディオは良くはならないことを、多くのオーオタ達が我が身のこととして知っているはずです、周知のことです。

 前述の通りオーディオの世界は「金と暴力」に支配されており、どちらかが欠けても生き残れない……非情な世界。しかしそのパワーバランスは金に大きく傾いており、金の力で結構なんとでもなります。

 かつては僕も知恵と気合で金の力に迫ろうという、オーディオに大金など必要ないという万人向けのスタンスをとっていました。

 今も大きくは変わっていません、オーディオ趣味を広めたい身としては、金という絶対的な力を他人に強要することはできないからです。この地獄の日本の労働環境では賃金格差は激しく、労働者はブルジョワになることはできません、そう……金に勝つことはできないのです

 ここをご覧になる方々には、YGアコースティックなる航空宇宙力学的オーディオを所持するような富裕層が存在します。金がなければヨアブ・ゲバ氏の哲学を体現する超機材を手に入れることはできない。多くは最高と目される環境には手が届かず、狭い部屋の中で中古機材と格闘するしか無い。ならば貧民は叡智と気合しかないじゃないか、というのが定説だったのです。

 しかし金の無さをただ知恵で補おうなど、いかにも敗戦国の思想、弱者の戯言……負け犬的考え。

 もうおわかりですね、そう……必要なのは暴力です。

 アンプの出力とかいう可愛らしい回答は期待していません。我々に真に必要なのは激重機材を何度も入れ替え、アクセと称して木板とコンクリでお手玉をすることが可能な筋肉の力であり、邪魔者を物理的にこの世から退場させることが可能な、純然たる力……暴力だ。

 その力をもってすればあの写真のようなことができます。

 全部ひっくるめると大体片側200キロぐらいです、左右あります。

 気が向いたらこの場で何故暴力に目覚めたのかという、栄光のオーディバイオレンス・ハートフルストーリーを語っていくこともやぶさかではありませんが……今皆さんに知ってもらうべきは暴力の有効性であり、僕の腰痛日記ではありません。

 ピラミッドを建設し、ファラオになることで得られる力を知るべきだ。

 もちろん筋力不足で建設が困難という方もおられるでしょう、しかしオーオタとしてより強く生きていくためにはやはり筋力は必要です、この過酷な世界では弱者など餌だということを再度自覚してほしい、今すぐ筋トレしろ。

 しかしこの一般家庭に存在するべきでない、むき出しのコンクリ塊の有用性を知らねばジムに通う意味も見いだせないでしょう、説明します。

 重くて安い。

 それ以外無いのか? 無いよ、重くて安い。

 あるはずがない、このコンクリ塊の正体は貯水槽の蓋です、大体40キロぐらいあります……1枚です。車がのっても割れない必要があるのだから当然です、3000円しませんでした。

 オーオタなら最低限の知識として「床が弱いと音が悪い」ぐらいはご存知だと思います、ご存じない? 結構、ならスポンジの上にスピーカーを乗せて鳴らしてみてください、すぐに分かります。

 この床の弱さというウィークポイントを大抵は、オーディオボードなどで補ってきました。オーディオは見た目も大事な趣味なので様々な商品があります。美麗ですが割高です、貧民が揃えるには厳しい上に何故か妙に薄い。

 効果が常に疑問でした、これなら木工屋で分厚い板を買えばいい……ためしました。効果はバツグン……理論は正しかったです、しかし自室が図工室になりました。

 しかしながらこれはチャンスです、自室が木の香りに溢れる図工室と化したのなら、もう何も怖くない……幸いマンションは鉄筋、重量制限はないも同じ……ならば別に工事現場になっても不思議はないし、問題もないのではと。

 重さに苦しみながら石を積むこと8枚

 力を得た僕はファラオとなり、神に至った。

 オーディピラミッド……コンクリートで出来た音響の神殿であり、己の墓標というわけです、しかし正しかった……圧倒的な重量と材質の妙は、強い力を与えてくれる。

 同時に疑問も解決されました、クソだったハイソシステムの謎は土台だったのです、機材の発生する振動に対してあまりに床が弱かったのだ。強力な機材はより強力な土台を求めるのです。

 土台学と称して長年様々な研究をしてきました、岸田君とか鯛の小骨達のような古い友人たちは、飲み会の席で僕が見せた薄汚れたノートを覚えているかもしれません。オーディピラミッドはその10年に及ぶ集大成です。

 質量はパワーであり、暴力こそが音響の力の形そのものなのだと理解したのです。これが力、力だけが正義でごわすと偉人西郷も言った。

 質量の暴力こそが正義だった。

 この土台学を提唱し続けた結果、最近は自分の周辺で足回りの効果が周知され始めてきたように思います、素晴らしいことだ。

 詳しいデータやら試行錯誤の過程やらは例のノートを始めあるにはあるのですが。ファラオであって神官ではない我が身はヒエログリフが使えませんので、わかりやすいデータとしては……我が愛用の超機材のメーカー逢瀬の中の人こと、よひね氏のブログがわかりやすいので見てみるといいと思います。

 彼は科学者であると共に神官なので、機材開発と同レベルでヒエログリフも操ります。オーディオの世界においては高度に技術的な知識はヒエログリフにて発表されるため、ファラオやファラオ予備軍もヒエログリフが使えておいて損はありませんが、大抵のオーオタは四則演算も怪しいオーディオチンパンジーなのでハードルは高めです。

http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=11530

 この記事に晒されている通り、結構苦労した時期もありました。

 これまでも無策だったわけではありません。御影石のプレートを積層して構築した土台の上にボードを置いたり、それなりに弱い床の対策はしてきていました。しかしコンクリートの塊にくらべればその力はジェリド・メサ程度であり、女みたいな名前の男にぶん殴られて死ぬ程度の力しかありません。

ジェリド・メサをご存じない? そう…。


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 ホームセンターで購入できる御影石の庭石プレートは大体0.5ジェリド・メサぐらいあります、これは端的に言って雑魚です……ので8枚程度を重ねることで4.0ジェリド・メサを確保。当時のスピーカーはKEF/iQ9でしたので、これとハイエースとマーク2のブレーキローターを重ねた角度調整可能な激重ターンテーブルでスパイクをあわせ、いい感じに鳴っていました。

 しかしMANLEY/ML10というスピーカーを入手すると事態は一変……このあたりから地獄が始まります、というのもML10はモニタースピーカーであり、トン単位の作業用コンソール上で使うことが前提の代物。全然下部荷重が足らないわけです、4.0ジェリド・メサ程度では役不足も甚だしい……。

 しかしコンクリートは違います、この貯水槽用コンクリ板のパワーは1枚で40.0ジェリド・メサはゆうにあります。僅か1枚でざっと10倍のジェリド・メサが確保できます、素晴らしい力です、これが地球の汚れた大地から生み出される力だ。

 因みにオーディピラミッド、ガチで墓石を検討したこともあります。

 ですが、コストが最悪なことと墓石の材質がどうも御影のようなガラス質らしく適切でないこと、自室の中に自分の墓が2つもあるという環境では寿命に影響がある……かはともかく音が良くない可能性が高く却下しました。

 コンクリートが優秀なのはコストパフォーマンスと効率の問題です。

 他に重量と振動に対する耐性と内部減衰のバランスがとれていればなんでもいいのです。しかしキロあたり単価が最も安く稼げる、最もローコストな神の力となればコンクリが適切であり、ピラミッドの建設も容易なのです。

 ファラオになるためには石と木を積まねばなりませんが、できるだけ重いものが望ましい、するとコンクリートは最も優れている。ちょっと部屋が工事現場になりますが、良い音のためには些細な問題でしょう。

 どうでしょうか、ファラオへ至る道への興味が沸いてきましたでしょう?

 今後も興が乗ったら何某かオーディオの話題をしていってもいいなと思います。次の投稿あたりでは既に皆さんの自室にピラミッドが建設されているかもしれませんね、楽しみです。 

 力を得て良い音を手に入れる、オーオタの夢……そのためには……。

 オーディオにはコンクリートが必要なのだ。



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