【令和5年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績


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【令和4年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績|芳秋 (note.com)
【令和3年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績 | 大納會/大納会 (ameblo.jp)
【令和3年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績② | 大納會/大納会 (ameblo.jp)
5月に入り一通りの学校の実績公開がなされましたので今年も講評します。まずは恒例の注意書きからお付き合いください。

注意事項

※「令和5年度入試」とは令和4年4月に入学する大学選抜入試を指します。
学校推薦型入試や総合型選抜(旧AO入試)は令和4(2022)年9月~11月頃に実施され、大学入学共通テスト3年目(2023年1月実施)を経て2023年1~2月にかけて行われた選抜入試を受けた受験生の合格実績です。
合格実績数値は各学校の公式ウェブサイト上に掲載された数値であり、2023年5月14日時点で確認できたものを対象としています。

令和5年度入試の合格実績が確認できたのは以下の学校です(順不同)
創価、佼成、佼成女子、明法、幸福(那須)、幸福(滋賀)、関西創価、天理、智辯、智辯和歌山、智辯奈良、金光大阪、MIHO美

未掲載の学校は以下の通りです
金光八尾、金光(いずれも前年と同数値であったため)
※松風塾、修徳、金光藤蔭蔭、三育、富士陽光は定点観測から外しています

では、参りましょう。

各学校の合格実績

国公立躍進の創価、一方で創価大への進学者微減

2020年度入試ぶりに東大合格者が2名出ました。国公立大合格者推移も13 → 18 → 24 と順調に増えています。早慶上理、GMARCHも過去3年で最多となり、コロナ禍での戦い方を見出したとも言えます。一方で系列の創価大学への進学者は246 → 240 → 229 と減少傾向にあります。
関西創価高校においては他大学実績は関東同様に増加傾向にあります。神戸大2名を筆頭に国公立24名は過去3年間で最大、関関同立46名も前年の34名を大幅に上回りました。関西創価高校から創価大学への進学者は180名であり、前年の182名とほぼ同数でした。

生徒数減少が続く幸福の科学学園、2年連続東大合格者を輩出

2018~20年は安定して95名前後の卒業生数だった幸福の科学学園(那須)ですが、2022年は74名、2023年は卒業生数を公表していません。そんな中でも今年も東大合格者を出し、過去5年間を通して2021年以外の年ではすべて東大合格者を出しています。一方で気になるのはこちらも系列「宗教教育機関(大学の認可なし)」であるHSUへの進学ですが、今年は53名であり毎年減少しています(過去5年は67 → 65 → 57 → 53)。かつては卒業生数の約2/3が進学していた率で考えると今年の卒業生数は80名前後と予想されます。
母体である幸福の科学の創始者・大川隆法氏は2023年に急逝し、学園にも影響が出ることが予想されます。次年度の実績・生徒数の推移も注目です。

幸福の科学学園(関西)はどうでしょうか。こちらは東大・京大への合格2名を含む国公立15名合格は2020年・21年以来の高水準です。関関同立こそ昨年の33名に1名及ばず32名でしたが、早稲田6、上智6、東京理科4は健闘です。
こちらも生徒数は91 → 97 → 94 → 76 → 69 と大幅な減少カーブを描いています。次年度以降の実績への影響は必至といえます。

幸福の科学学園と千葉工業大学について

データを見ていると一つ興味深いものがありました。
千葉工業大学の合格者が、那須校では2021年度のみ27名と突出しています。関西からも2022年度に16名、2023年度は34名(ほぼ半数)も合格しています。HSUも千葉県にあるとはいえ、千葉工大は津田沼周辺、HSUは九十九里浜とかなり離れており、もっと近くに城西国際大学や帝京平成大学などもあります。なぜ千葉工大の受験者が多いのか、来年もその傾向が続くのかは必見です。

堅調な佼成学園、前年維持の佼成女子、卒業生数不明の明法

2015年度から難関国公立コースを設置した佼成学園は順調に合格実績を伸ばしています。国公立大学合格者は過去3年で32 → 28 → 57 と大躍進、早慶上理68名、GNARCH156名も過去3年間で最大です。敷地こそ立正佼成会本部傍にある佼成学園ですが宗教教育は一切なし。優秀な進学校と言えます。

系列の佼成学園女子は国公立3(前年6)と寂しい結果となりましたが上智19名は前年20名に匹敵する合格数であり、GMARCH37名も前年同数と現状維持の状態です。

同じく現状維持という観点では明法も国公立14(前年12)でしたが、GMARCHは36(前年64)、早慶上理8(前年12)は若干減っています。
明法は2019年度に高校共学化を図り2022年度入試においては女子一期生が卒業しました。その関連で卒業生数も123名から256名へと増加した点が合格実績の増加にも寄与したと言えます。今年については概況では「卒業生数127」とあり、詳細においては256名(前年と同数、おそらく誤植)と卒業生数がぶれており、実態が掴めない状況です。

内部進学傾向の天理

続いて関西です。天理高校は卒業生数が415 → 390 → 410 と復調傾向。国公立大の合格者が45 → 38 → 24 と減っているのが気になりますが、系列の天理大学への進学者は107 → 109 → 148 と大幅に増えています。今年はたまたま内部進学者が多かったのか、次年度も引き続き観測が必要です。
また、例年20名前後の合格者がいた天理医療大学は2023年3月31日に閉校となり天理大学医療学部へ統合されました。

西の雄、智辯学園

例年安定した上位大学の実績を誇る智辯学園は今年も健在です。
まずは五條市の智辯学園から。
東大、京大のダブル合格は過去5年で初であり、国公立55名は2021年度の57名に次ぐ成績です。
関関同立も63 → 67 → 79と順調に増加しています。

続いて智辯和歌山。
こちらも東大6、京大15を含む国公立181名は2018年度の185名に次ぐ成績です。早慶33名は過去5年で最多、関関同立も176 → 164 → 210と順調に増加しています。

最後に智辯奈良。
卒業生120名ながら国公立38名合格は名門の証です。
関関同立の過去5年の推移をみると96 → 128 → 53 → 92 → 59と徐々に減っている様子が伺えます。

金光八尾

神戸大1名が出たものの国公立7名は前年11名から減少、関関同立も56 → 51 と減少傾向にあります。今年は3年ぶりに系列の関西福祉大学の合格者が8名出ました。

6期生のMIHO美学園

開校から追いかけているMIHO美学園ですが、今年は国公立大学6名の合格を出し、2020年度タイの最高数を出しました。
一方で就職先として、母体である神慈秀明会2名が公表されており、同会への就職は6年目にして初の出来事です。

総括

今年の生徒はコロナが始まった年に入学した生徒であり、学校側もコロナ禍における入試の戦い方が見えてきたように思います。コロナ対応は2023年5月の5類以降により新たな局面を迎えます(元に戻る、とも言えます)。来年はどんな実績が出るのか、また同じ時期に測定する予定です。

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