【令和4年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績

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【令和3年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績② | 大納會/大納会 (ameblo.jp)

※「令和4年度入試」とは令和4年4月に入学する大学選抜入試を指します。
学校推薦型入試や総合型選抜(旧AO入試)は令和3(2021)年9月~11月頃に実施され、大学入学共通テスト2年目(2022年1月実施)を経て2022年1~2月にかけて行われた選抜入試を受けた受験生の合格実績です。
合格実績数値は各学校の公式ウェブサイト上に掲載された数値であり、2022年10月1日時点で確認できたものを対象としています。

令和4年度入試の合格実績が確認できたのは以下の学校です(順不同)
創価、佼成、佼成女子、明法、幸福(那須)、幸福(滋賀)、関西創価、天理、智辯、智辯和歌山、智辯奈良、金光大阪、金光八尾、MIHO美

未掲載の学校は以下の通りです
金光(直近3ヶ年の合算しかなかったため)
※松風塾、修徳、金光藤蔭蔭、三育、富士陽光は定点観測から外しています

では、参りましょう。

【令和4年度入試概況】
令和4年度の大学入試事情は以下のようなトピックがありました。
①競争緩和
②共通テスト2年目での難化
③総合型選抜の落ち着き

なにはともあれ①の競争緩和が全てです。
ここ数年続いていた定員厳格化(詳細は令和3年度入試の①を参照)による難化傾向に歯止めがかかり、また18歳人口減少に伴う大学志願者の減少、そして既卒生(浪人生)の減少が重なり、一般入試の合格ラインが下がりました。
総合型選抜(旧AO入試)志願者は昨年度とほぼ同数でした。
首都圏、関西ともに主要大学の合格偏差値が若干下がったことからも、今年度の入試は「ここ数年の中では全体的に合格しやすかった」と言えます。
共通テストは2年目にして本来の出題形式である「日常生活に即した事象」に基づいた内容により近づきました。それに伴い難化が目立ち、平均点は大きく下がりましたが、上述の通り競争緩和もあり合否への影響大きくなかったと言えるでしょう。

され、これらを踏まえて各学校の実績を見ていきます。

【国公立は創価(関東)、明法、智辯奈良が躍進、私立上位は軒並み上昇傾向】

・創価
東大、京大こそ出なかったものの東工大で1名、その他国公立も前年12に対して本年17と大きく躍進。
早慶13(前年3、以下同)、GMARCH42(40)と、総じて良い実績が出ています。

・佼成
直近3ヶ年で初の京大合格があるものの、その他国公立は27(31)と若干の減少。一方で私大は早慶26(4)と大躍進。上智、理科大他GMARCHも前年を大幅に上回っています。

・佼成女子
昨年度のみ調子が悪かった上智合格者(2名)が一昨年と同数の20名にV字回復。同校は高大連携として上智、青山、恵泉女子大との交流があり、本格的な講義やワークショップなどが開かれています。

・明法
早慶7(4)、GMARCH64(39)と大躍進のように見えて、卒業生も256(123)と倍増しているので率としてはあまり変化はありません。
とはいえ生徒を増やし質も担保できているのは良い傾向であり、次年度が期待されます。

・幸福(那須)
2年ぶりに東大が1名出ましたが、国公立は13名と3ヶ年では最小です。
私大では早慶11(2)と前年を大きく超えましたがGMARCHは15(18)とやや苦戦です。卒業生は一昨年94、前年は不明、本年74と生徒数そのものの減少傾向が見受けられます。

続いて関西です。関西創価と金光大阪と金光は昨年度のデータがないので割愛します。

・幸福(関西)
国公立13(15)とほぼ横ばい、関関同立も33(28)と近似ですが、立命館23(9)への偏りが若干気になります。
卒業生数は一昨年から97 → 94 → 76とこちらも減少傾向です。

・天理
国公立合格者が40(45)と減少するも、ここ2年出ていなかった大阪大、神戸大の合格者が1名ずつ出ました。
関関同立も36(24)と好調です。

・智辯
国公立140(141)とほぼ前年同数、関関同立は164(176)ですが早慶が30(23)と少し増えました。

・智辯和歌山
国公立46(42)と微増、関関同立92(53)と躍進、一昨年の128まであと少しです。

・金光八尾
国公立が一昨年から50>37>28と減少傾向である点が気になりますが、関西大学111名を筆頭に関関同立202名は直近3ヶ年での最大値です(昨年151、一昨年169)。加えて卒業生数は一昨年から271 → 260 → 177と減っているので、良く言えば少数精鋭が揃っていますが、今後の生徒数の動向が気になります。

・MIHO美学院
3期生が卒業したMIHO美学院ですが、国公立が兵庫県立大の1名のみと寂しい結果となりました。
私大では2年ぶりに関西大の合格者が出ています。

【系列大学への進学状況】
最後に系列大学への進学状況を見てみます。
創価高校は240(246)と安定した進学、
幸福は卒業生74名中57名と77%の内部進学率です。
創価高校の卒業生数は不明ですが1学年の生徒数は約350名であり、こちらも70%以上の内部進学率です。

幸福(関西)も卒業生数76に対して58名がHSU(大学として不認可)に進学しています。
関西創価から創価大へは182名、
天理から天理大へは109名(卒業生390名)であり、両校ともに概ね安定した内部進学率・数を保っています。

【まとめ】
令和4年度の大学合格実績は、概ね全体状況と同じく私大での躍進(V字回復)が目立ちました。
一方で生徒数の減少が目立つ学校もあり、これが一過性のものなのか、それとも母体となる教団の信者数と相関しているのかは複数年で見る必要があります。
一方で佼成学園のように、生徒の中に信者のしめる割合が多くない学校もあります。そうした学校は大学への進学実績が生徒数の増減にも影響すると思われるため、多面的な視野で見る必要もあります。

令和5年度入試は既に学校選抜や総合型選抜が始まっています。
次年度はどんな結果となるのか、引き続き観測します。

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