歌詞:大四畳半国家

今回は7月の月刊山先大生から一曲
大四畳半国家の歌詞を載せようと思う。

僕には人と関わることを極端に避けていた頃があった。
対社会用に、図らずも構築してしまった自分の外壁部分と、本来の自分との間に生じた齟齬をうまく馴染ませることが出来ず、僕は外壁を捨てた。人間関係を断てば外壁の自分などいらないのだ。
かくして、引きこもりという不名誉な称号を手に入れたわけだ、、、

室内に響くインターフォンの音に耳を塞ぎ、布団の中に忍んだ。連絡をくれる友人もいたが、その頃僕はケータイの電源を切ったまま放り捨てていた。外壁を捨てた自分には何人たりとも接触は許されない。
僕は四畳半に難攻不落の「要塞」を作ったのだ。

当時、僕はその空間に幸福を見出していた。僕は僕に逆らわなくなったし、平和だった。長い時間を「要塞」で過ごした僕の幸福は、いつしか喜びではなく安堵だけになっていった。

大四畳半国家 

4年と6ヶ月 14の頃
僕は要塞を完成させた
ゲーム機の起動音を国歌に
旗を掲げた小さな国

ベットの玉座に踏ん反り返って
胸を張ってるつもりが
一瞬暗くなったテレビに反射した
王様は偉く背中が曲がっていた

会いたい人など一人も居ない
まあ僕に
会いたい人など一人も居ない

国が出来れば宗教が生まれる
平和な国を作ったぜ ジョンレノン
イマジンを胸に想像してみた
ピースだけじゃ足りなかった

愛はどこにある
ここでも無い ここでも無い
虚しく響くイマジン
ゲーム機のディスクがザーザー回る
少しだけドアを開けて閉じた

電車の連結部分に立っているみたいだ
この国は不安定に時間を滲ませた
イマジンが溶けた秒針を回す
本当はまだ信じてるんだ

愛はどこにある
ここでも無い ここでも無い
虚しく響くイマジン
ゲーム機を止めた 回らないディスク
僕を回さなくちゃ ここには無いから

会いたい人など一人もいない
まあ僕に会いたい人など一人もいない

愛はどこにある
どこにもないどこにもない
教えてくれよイマジン
暗くなったテレビ 反射した西日
少しだけドアを

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