コロナと近所の音楽業界のこと

ライブ自粛のはじまりのころ

こんばんわ、はじめまして。

うちの会社もテレワーク。ライブもなくて、外で飲んだりもしなくて、夜は時間あるので、この機会にコロナの影響で僕の仕事とその近所でどんなことが起こっているのか書き留めておきたいとおもいます。

近所っていうのは、音楽業界すべてを網羅的に把握しているわけではなく、あくまで身近でおこったことを中心に書いていこうって意味です。

リアルタイムに日記のように書きたかったけど、ちょと出遅れたんで初めは振り返って。

一月頭くらいから、コロナの話は聞いてた。まだ遠かった。

一月の末くらいは、ん、そろそろ日本も本格的に対策とらなくちゃいけない時期にはいったんだなと思った。けど、まだまだ、実感はなかった。

いくつかの大規模なライブが中止するか開催するか判断に迷っているという話が流れてきてた。

でも、それはかなり大規模なライブのことだと思っていた。

実際に、2月の上中旬はいつもどおりライブやってたアーティストも多かった。

決定的だったのは2月26日の政府要請。

「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします。」

ここで決定的に潮目が変わった。一万人のライブと千人のライブと百人のライブは対応のしかたも対策も違うと思うけど、どこで線引けばいいんだろうとグズグズ考えていたし、要請の中身は曖昧でそんなこと全然言ってないんで、自分たちで考えるしかない。

結果、大部分のライブが中止または延期になった。

うちの会社全部でプロダクションとして関わっているアーティストの公演はその2週間、すべて延期または中止にした。昼の政府要請を受けてその日の夜までに20本近くの公演のキャンセルとその手配に追われた。

「今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします。」この言葉が当時の雰囲気をよく表していると思う。いまにして思えば、2週間でいいのかって思うけど、それがそのころの空気だった。

さて、会社の中でも自分の担当アーティストではsyrup16gのライブが2月27日と28日に予定されていた。

二日間とも売り切れで、各日2400人。

ほんとに中止? いやそうでしょ。どうにかしてやれる方法ないの?

とかとか、脳内会議。でもすぐに結論はでた。中止とはいわず延期。また、以前と変わりなくライブやれる日は来るから残念だけどここは自重しよう。

幸い、メンバーもスタッフもみな同じ意見だった。

どのアーティストでも同じだけど、この日のためにしっかりとリハーサルを重ねた。スタッフも準備した。それが出来ないって、すごく悲しい。

キャンセルにかかる費用は相当大きいけど、それだけではない。当日に入るはずだった収入が見込めないのは、アーティストもそうだし、スタッフにとっても大きな打撃だ。

この日のために作った記念Tシャツはどうすりゃいいんだ。

とかとか、悩みは多かったけど、やっぱりあの日は延期しかなかったと思うう。

もともと、この日のライブはニコ生で生配信の予定が入ってた。ライブやんないなら配信もないかなって思ったけど、無観客で生配信だけやることした。

お金のことだけ言えば、この日の全てをキャンセルしたほうが痛手は少ない。音響、照明、楽器などなど、人が動けば人件費はまるまるかかる。それでも、いままで積み上げてきた準備をどこかで皆さんの前で披露したかったという思いは強かった。せっかく楽しみにしてチケットとってくれた方、チケット取れなかったけど楽しみにしてる人になにか返したかったというのもほんとです。

五十嵐くん中畑くんキタダさん、メンバーが賛成してくれなかったら、当然できないんだけど、よくぞやってくれたと思います。無観客でライブやるってどんなモチベーションで取り組めばいいんだろうって、そんな逡巡を乗り越えて、ステージに立って、立っただけでなく素晴らしいライブをつくった彼らは実に素敵と思います。

要請がでた2月26日は木曜で、金曜から日曜にかけて、いろんなライブがあった。

同じ週末、NUMBER GIRLと打首獄門同好会が無観客ライブやってたくさんのリアクションあった。これは大きな流れになると思った。しばらくの間、公演を中止して無観客配信をやるっていう流れが大きくなった。

ただ、無観客配信は興行的には単に赤字を増やしているだけという側面もある。

ceroが3月13日にやった電子チケット制ライブ配信は画期的だったと思う。

無料はいつまでも続けれらものではない。有料にして、しかも対価を支払ってあまりあるクオリティのものを届けるという趣旨は、きっとこのあと、スタンダードになると感じた。同業でありながら、ceroとレーベルのカクバリズムの志とそれを実現するスピード感はほんとすごいと思った。やるなぁ。

話は自分の仕事、syrup16gにもどって。実は、無観客ライブの当日に振替日の日程の打診があった。この二日間はやれないけど、いつに延期するかっていうこと。仮の日程で4月上旬の会場がありそうだってことだった。恥ずかしながらその打診に対して、スワッってなった。一人で盛り上がってた。一ヶ月後ならやれるんじゃないか、2月の公演をやり直すチャンスがこんなに早く来るとは、なんて思ってた。結局、スタッフのスケジュール等々いろんな事情があって、これは実現しなかった。

大人だから顔には出さないけど、シロップのことなんだから万難を排してスケジュールあけてくれよなんて、一瞬思ったけど、それは内緒です。いやアーティストのスタッフって、自分の担当アーティストに対して理不尽とも思える異常な思い入れがないとやってられないもんなんです。

ご存知のとおり、2月の公演は6月に延期になった。もしスタッフのスケジュールが整って、4月に振替公演を決めて発表してたらどうなってたんだろうって、今振り返るとゾッとする。振替の振替になっちゃう。スケジュールあわなかった結果に感謝してます。

5月に入っても、いつライブやれるか全くわかんない今日、あのスワッとなった瞬間を思い出すと、全くもって恥ずかしい。未来は読めないものだけど、あんときの自分に、今の状況をみせてやりたい、少し落ち着けといいたい。先読みできなかった自分への戒めとして、恥ずかしいですが、書き残しておきました。

ちょこちょこ身の回りで起こっていること書いていこうと思いますので、よかったら読んでください。


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