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【超探偵事件簿レインコード】クリア後ネタバレ(全章)有り感想

はじめに

ダンガンロンパスタッフが再結集してお送りするミステリ&アクション! ちょいちょい挟まれるホラーゲームや有名推理小説の小ネタ! 個性的なキャラクター達が織りなす魅力的な世界!
そんな感じのレインコード、個人的には非常に満足できる作品でした。UIや機能面で言いたい事はまぁありますが、鮮烈なシナリオを追いたいという気持ちでだいたい帳消しに出来てた気がします。私は。

ここから先の感想は、各章ごとにガッツリネタバレ込です。真犯人についても含め、ほぼ1から10までネタバレしていますので、今後ちょっとでも手を出す予定の方はご覧にならない事をお勧めします。念のために改行入れておきますね。






0章

主人公は記憶喪失! 唯一の手がかりを元に飛び込んだ列車、招かれざる客は誰だ!? 燃え盛る車内! いきなり全滅する仲間達!!!
そして唯一の生存者となった主人公が犯人にされかけ、死に神ちゃんと名乗る(自称)ふわふわの助けを借りて、謎迷宮に挑む。
そんな感じの第0章。全力フルスロットルで踏み込みまくったシナリオだけどこれ0章なんですよね。

いがみ合いから始まるデッケェ絆で難事件に挑むやつかと思ってたら、ザンゲさんの本気モードもエイフェックス君の侠気シーンもジルチさんの意外と可愛いシーンもプッチーちゃんとのアオハルもメラミさんとのドキドキ……はちょっとあったけど、とにかく想像していた色々を吹っ飛ばされて見事にしてやられました。
でも一番悲しかったのは、彼らの出番がマジでここで終了してしまった事ですね。ユーマの能力、死んだ超探偵の能力がなんやかんやで使えるようになるやつだとか思ってたのに……。
DLCでいいので列車組合わせてみんなで真夏のバカンスするシナリオとか追加しません???

1章

人の恨みを代行する殺人鬼の都市伝説「クギ男」。その伝説をなぞるような連続殺人事件が発生し、主人公はひょんな事からその解決に挑むことになる――。

ハララちゃん(だと私は信じている)と共に調査し、主人公の「能力共有」がはっきりお披露目される回です。最初は物凄い嫌がってたハララちゃんが、最終的にするっと手を繋いでくれるようになっていく過程、Goodでしたね……。
事件内容は、いきなりの複数犯(共犯ではない)という変化球。共通項から外れる事件はどれ? で普通にミスりました。情報量が多いから、3番目だけ殴打だったの忘れてたの……。あと解鍵の詳細確認のやり方に気付いたの、最終章だった……。
ところで「便乗犯は誰?」のところで、特に何のリアクションもなく依頼主の少年が出てきたの怖くなかったですか……?(小声)
そうそう、ここから保安部が本格的に絡むようになってきますね。セス君、正直キャラクター的には好き。あとメガホン係の保安部員さんがいい味出してました。
ところで私、「教会裏の森に今回の被害者達の名前を書いたのは、アマテラス社であり、神父もまたアマテラスに操られていたのだ……!」みたいな流れだと思ってたんですけど、マジでノータッチで終わりましたね。全員何となくアマテラス社に絡んでたみたいなにおわせしてたの何だったんだろう。アマテラス社、嫌われてますよアピールだったのかな。

2章

可憐な少女達が通う女学院で起こった悲劇的な死。演劇部のトップであった少女の不可解な自殺……。その死をきっかけに、次の惨劇が幕を上げる――!

クソデカ感情愛憎入り交じる女の園で起こった事件にまたも巻き込まれる事になる主人公。なんというか主人公がナンバー1だったのは、ほっといても事件の方が寄ってくる体質だった所為とかでは……?
2章はデスヒコ君回。調子は無限にいいけど仕事はきっちりこなすプロフェッショナル性がどんどん出てきて、最終的にありがとうなマイメン……! という気持ちになれるキャラクター表現の上手さ、流石めちゃくちゃキャラが出てくるゲーム作ってた人達だという納得と感心がありました。
事件の真相は3人共犯! 0章が1人、1章が2人だったからこのまま章を追うごとに犯人の数が増えるんじゃないかと心配していた時期が私にもありました。
単独では不可能な犯罪を、分担して行うことで互いを守ろうとした3人。まあ、その所為でクルミちゃんが冤罪を吹っかけられてる事について黙ってたので(それも大事なアイコの親友なのに)、犯罪者どもの性根なんてたかが知れてたわなぁ!! と詰めたくはなりましたが、それでもこの話が一番後味悪かったですね……。
余談ですがヨミー様、スワロが処刑回避した事に気付いてなかったということは、サイコロスワロになってたとしても持ち歩いてやる気は端からなかったっぽい? まあ、これが処刑後のスワロですって言って適当な肉サイコロを渡されてた可能性もありますが……。教訓、死体はちゃんと本人確認しよう!

3章

2章終了時に拠点だった潜水艦を爆破された主人公は、仮面の男、マコト=カグツチに助けられる。謎めいた男との邂逅を経て潜水艦のあった場所まで戻ってみた所、突然現れたバンに拉致され、レジスタンスのアジトに連れ込まれる事に。しかし、そんな拉致事件は、待ち受けている新たな事件の前哨戦に過ぎなかった――!

絶対死ぬだろと思ってたシャチさんが案の定死んで「だと思った~~~~!」と強く頷いた3章フブキちゃん回。
テロの尖兵にされるわ挙げ句にその目的は陽動、真犯人は(規模は)壮大で(動機は)しょっぼい銀行強盗だわと、ちょっとスタッフ疲れてきた? 大丈夫? という気持ちになったのは否定できない。
でもまあ、世の中における犯罪なんてものの動機は、9割ぐらいショボいものなのかもしれません。2章がクソ重だったから、ここらで軽いものをひとつまみ……って事だったかもしれないし。
銃撃ということで最初はイルーカちゃんを疑っていましたが、飛び込みで逃げた! となってからは「あ、そっちね!」と納得。レインコード、最初から最後まで無理筋な推理がないと言うか、「いやそうはならんやろ」とか「いやそれだけで真犯人を絞りきれんやろ」みたいな事がなく、ちゃんと論理的に推理できる謎にしてあるの、丁寧だな~! って思いました。
保安部2人の影が若干薄かった気がしなくはないけど、まあ2人が直で出てきたらそれ即ち超ピンチなので、作劇的に仕方なかったかな。

そして「知らずに利用されてたと言っても、爆弾設置したのが主人公だってことは事実だろうが」という、今までのイチャモンに比べれば論理的な難癖で主人公は追い詰められかけますが、再び現れた仮面の男マコトの助力で窮地を脱するのだった……。
ヨミー様、横暴ではあるけど所々理性的というか、面白い事言いますよね。2章の「中途半端な法執行は暴力と変わらない」とか。あと、ピュア。言ってることが全部本音だと仮定した場合ですが、「厳密な規定を暴力で以て支配すれば何の問題も起きなくなる筈」みたいな考え、人間の愚かさを勘定に入れてなさすぎる。ほら、ついさっき捕まったやつが見える? そいつ銀行強盗の為に町ごと水没させてるよ?

4章

カナイ区最大の秘密、ホムンクルスについて探り続けている夜行探偵事務所の面々。そんな中、アマテラス社CEOでもあったマコトは、自社内にある研究所の見学を主人公に持ちかける。しかし何てことはない見学ツアーだった筈のそれは、やがて凄惨な事件へと発展するのだった――。

ヴィヴィアさん回。そしてある意味でヤコウ所長回でもある第四章。
普通にプレイしていれば、恐らく最後まで引っかかり続けるであろう「毒ガスの部屋をどうやって突破したのか?」がまさか即死しないから普通に浴びますだとは思わないじゃないですか……!
ところでこの毒ガス部屋、噴霧後30分封鎖するようにしておくか、即死(それか少なくとも即昏倒する)ガスにしておけば誰も入れなかったですよね?
命がけで超探偵達を信じて敵討ちを果たしたヤコウ、とりあえずメンバー全員に一発ずつ丁寧に殴られて欲しいという気持ちでいっぱいになりましたが、ヤコウは自分の命を支払う事で超探偵達を利用したことへの代償としたかったのかもしれませんね……。主人公は多めに殴ってもいいぞ!

死神ルールを超越するヴィヴィアさんの特異性、ふわっとしてるようで芯のある性格は、「優しい嘘か? 残酷極まりない真実か?」という問いを立てるこの章においてまさに適任だったなと思います。
主人公はここで、「それでも、救われる人がいるから。救いたい人がいるから」と真実を暴くことを決めますが、その決意が最終章の新たな問いを作るという作劇、綺麗な流れで「おおっ」となりましたね。
ところで、恐らくヤコウ所長は「誰が妻を謀殺したか知らなければ」「超探偵がいなければ」「殺し屋の手配ができなければ」どれか足りなかっただけでも、この報復殺人を断念してたと思うんですよね。寧ろ、報復に必要な手札なんか揃わないでくれと思ってたフシもありそうで(3章で自分も責任を取って逮捕される、と主張した辺りから考えても)、それでも手札を「その手に押し込まれてしまったから」実行するしかなくなった。やった事は擁護されるべきではありませんが、焚き付けた奴が無罪ってのは承服しかねるよね……という気持ちをきっちり回収する結末、顧客が本当に欲しかったものをお出ししてくるシナリオ運びは徹底してましたね。

最終章

昏倒させられる超探偵達。ふと気付けば、主人公とクルミは見知らぬ廃屋の中で倒れていた。外に出ると、明らかに様子のおかしいゾンビのような住民。全ての謎に迫る最終章が今始まる――!

血の色ピンクだったのはゴア配慮表現とかじゃなくてマジでピンクだったの!!?????
って叫んだのは私だけじゃないと信じたい最終章。プレイヤーのメタ認知を上手いこと突いてきやがって……!
まあ、よく考えたら、主人公の血(謎迷宮での問いの時に出てるやつ)は赤だったんだから、この世界における一般的な血液ってそりゃ赤ですよね。言われたらそうなんですけど、この仕掛けには唸らされました。
0章の超探偵達が全員焼殺だったのも、流血表現を避ける為だった事がここで分かります。それでも一部遺体には赤っぽい部分があったから、察しのいい人は、もしかしたら早い段階で血の色の違和感に気付く事が出来たのかも?
主人公は4章で「それで救われる/救いたい人がいるなら」と残酷な真実を暴きますが、ここでは「真実を暴けば多くの人間が不幸になるが、それでも真実がいいと言うのか?」という問いが発生します。
主人公はそこで一瞬屈しかけるんだけど、「真実を知らないまま籠に閉じ込め、選択肢を奪う事は、結果的に彼らの”自ら幸せになる権利”を奪うも同然じゃないか?」と、最後はホムンクルスを「保護されるべき可哀想な生き物」から「平等に並び立てる隣人」へ引き上げようという意思で完璧な解決を図る……。
後々に絶対面倒くさい事が起こるのは分かってるんだけど、一連の話の結末としてはきちんと収めてくれたんじゃないかなという感想です。

そういえば、欠陥ホムンクルス達は「死ぬと再生時に知能を失う」という性質がある訳ですが、これは死に神ちゃんが「魂を刈った真犯人」の個体もそうなっているんですよね。
生命と言う意味では死ぬ事がない欠陥ホムンクルスだけど、魂の再生だけは不可能だった――という事なのかなぁ、なんて考えたりしました。
21gを失っても尽きない肉体は、それそのものが欠陥ホムンクルスの墓標なのかもしれません。

私がこの最終章にサブタイトルを付けるとするなら、著名なミステリーのタイトルになぞらえてこう付けたいですね。
「スワンプマンは幸せな夢を見るべきか?」

総評

シナリオ◎! キャラクターも◎! 操作性○! ロードとてくてく謎迷宮は×!!!

まあ、大体のネタバレなし感想でも言われてるかと思うんですが、まずロードが長い。Switchの限界と言われたら仕方ないかなぁと思わなくもないんですが。
そして謎迷宮。基本的にひたすら道なりに走るしかありません。謎解きが主体とはいえ、迷宮が単調すぎて、会話劇を聞いててもなお飽きるので、ここはもうちょい何とか出来なかったのかなぁ……。
あとは主人公の移動速度が場面によって固定なのも若干ストレス要素。後半は慣れたけど、速度固定箇所は効果的な場所のみに限定しても良かったんじゃないでしょうか。
とはいえシナリオは最高、キャラも最高、買ったことを後悔しない出来だったのは間違いないです。探偵たちとの語らいをまだコンプしてないので、そこまで回収したいなー。

おまけ:好きな謎怪人ランキング

第三位:セス
メガホンみたいな攻撃エフェクトと攻撃音が、現実世界のキャラクターを上手いこと落とし込んでいて良かったですね。

第二位:ジルチ(偽物)第二形態
第一形態はちょっとダサめだった気がするけど、変身態がメガテンのパズスっぽくてカッコよかった。もふもふしたい。

第一位:ヨミー
恐らくスタッフ的にも気合が入っていたと思われるヨミー様謎怪人。悪魔と天使で半身ずつという、「こいつも最初は純粋に正義でありたかっただけなんだろうな……」という過去を思わせるモチーフ、かっこいいデザイン、文句なしの第一位!

おまけ:無粋なツッコミ

欠陥ホムンクルス達と共存していこうね……! という感じでイイハナシっぽく今作ではオチを付けた訳ですが、これ絶対後でこじれるよね。
確かに、日本の法律でも心神喪失状態で犯したことは無罪(というか、罪に問うことが出来ない)とされるし、勝手に生み出されて意思のないまま人間を襲った彼らを罰するならまず統一政府とアマテラス社を解体すべきで、いわば「凶器」でしかなかったものを罰する道理はない……んですが……

道理だけで全人類納得してくれるなら世の中に犯罪なんてもんは存在しないんですよねー!!!

欠陥ホムンクルスにも幸せになる権利はあると言うなら、彼らに食い殺されたカナイ区の住民にだってそれはあった筈で、もし区外に彼らの友人や家族がいたのなら、現れた「怪物」を果たして責めずにいられるのか。憎まずにいられるのか。殺さずにいられるのか。
大切な人達の形を立場を奪った怪物が、笑っていられる世界を許すんだろうか。

続編があるとしたら、そういう話になりそうですね。ホムンクルスVS人類、幸いであるべきはどちらか。それを定める事ができる存在なんているのか、いないのなら、完璧な解決の為に何を捨てる事になるのか……。

では、最後までご覧いただきありがとうございました!


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