そのうち人生坐前の草ぼうぼうの焼け跡に藁火書房という古書店ができた。
『徘徊老人の夏』読了。種村季弘は個人的な好みで言えば、ビミョーなのだが、この本に関しては面白く読んだ。広範囲な読書による体験と現実社会の観察をカクテルにしたような味わい。執筆時期が1990年代ということで、身辺随筆には、かなり懐かしい単語が頻出する(例えば「ポア」とか)。それはそれで新鮮だ。もちろん、いろいろ教えられることも多かった。
なかでビックリしたのが「人生坐」というエッセイに登場する藁火書房のことである。人生坐は山窩研究家の三角寛がオーナーで池袋東口にあった映画館(執筆当時もあったそうだ)。私も三角寛の自宅前を池袋の知人といっしょに通って「ここがサンカで有名なミスミカンのおうち」と教えられたことがあった。立派な邸宅だったように思う。
種村は40年ほど前(ということは1950年代か)この映画館に通い詰めてハリウッド映画をあらかた見尽くした。
谷川雁の詩集『天山』は1956年発行である。たまたま手元にある国文社の『ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ詩集』(1965.8.1, 印刷=藁火書房印刷部)の発行者を見ると前島幸視となっている。またもう一冊『エミリ・ディキンスン詩集』(1974.11.30再版, 印刷=国文社印刷部)の発行者は前島俶である(こちらが種村の見た坊やであろう)。住所は東京都豊島区南池袋1-17-3前島ビル。藁火書房と同じ。『全国版古書店地図帖』(圖書新聞社、1973年版)では新刊書店に分類されている。
ご近所古書店史 藁火書房
https://ouraiza.exblog.jp/9239662/
前島幸視で検索してみると句碑が見つかった。
厚木市の寺社史蹟巡りー6、飯山観音 長谷寺(ちょうこくじ) その2
https://plaza.rakuten.co.jp/ozin0523/diary/202402110000/
俳人でもあったようだ。前島白皃で探すと以下の著書がある。
⚫︎句集 観無量寿経変相図 前島白皃著 国文社 1961.6.5
⚫︎句集 織女星(河原叢書11) 前島白皃著 国文社 1972
⚫︎句集 五百塵点劫 前島白皃著 国文社 1977.7
⚫︎大鳥島戦記 前島白皃著 国文社 1982
⚫︎俳句は一人称の文学である 前島白皃著 国文社 1984.1
⚫︎句集 観無量寿経変相図(河原叢書39) 前島白皃著 国文社 1986.6
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?