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ピカソの詩


『1936年3月26日』詩:パブロ・ピカソ 訳:北園克衛
限定240部 1991年10月発行 海人舎

めずらしくヤフー!オークションにて落札しました。これなら買ってもいいという金額を入札して寝てしまい、翌朝、気づいたらそれよりも安い金額で落ちていました。表紙ともに八ページ(二枚の紙を重ねて二つ折り)、掌サイズ(タテ14.7cm)の詩集で北園克衛のカットが入っています。出版人の鳥居昌三は奥付け(といってもこの冊子は片面にしか印刷はありませんので実質四ページ、訳詩よりも長い文章です)にこのように書いています。

この詩は「1936年3月25日」「1936年3月29日」と共に訳出されて「VOU」18号(1937)に掲載されたものである。当時ピカソ詩画集として刊行する計画があったようであるが、実現には至らなかった。なお、同じ手法の「1935年11月28日」が「VOU」50号(1956)に載っている。北園克衛のデッサンは詩集『空気の箱』の前扉にペンで描かれたものを縮少して印刷に付した。

訳文の全文は以下の通りです。

 悲しみの秘密の擦り切れた停滞が追憶
の鈍い火の上で煮える其処で玉葱は主役
を演じる手が過去を読み読みかえした後
に眼等の直前を横切る鞭の只一撃を以っ
てそのライン等より分離しようとして居
るかのように

初訳が一九三七年というのは元テキストの発行直後ということになります。三六年七月にスペイン内乱が勃発。共和国軍とフランコ率いる反乱軍が戦いました。パリにいたピカソは共和国軍を支持しました。三七年一月にはフランコを風刺する内容の詩『フランコの夢と嘘』を著し、詩に添える銅版画を製作してパリ万博で発売しています。「ゲルニカ」はその直後に完成されたということです。(ウィキペディア「ゲルニカ (絵画)」より)

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