あの絵は御覧の通り署名することが出来ませんでした。病床には、いつも自分の画を置いて、見詰めておりました
京都のみやこめっせで開催されている春の古書大即売会へ。初日につづき二度目。雨の初日とは打って変わった快晴。汗ばむ日和だった。初日に迷って買わなかった木版画を探して見つけ出す。幸にも売れていなかった。セット版画をバラした一枚なのでためらったのだが、そのセットを買うとすれば、きっと何万円もするのだろうと思い直した。
これで目的は達したので、ゆっくり、のんびり、ぶらぶら歩き。来場者はかなり多いが肩が触れるほどではない。すると、ある店で近代美術の絵葉書が詰まった小ぶりな箱に目が止まった。安い(十年前なら「高い」と思ったかもしれないけれど)。一枚一枚ゆっくり図柄と作者名を確認する。なかなかいい絵が揃っている。なかでも思わず声を出しそうになったのが、上の写真の関根正二。
関根正二の絶筆である。本作については下記サイトに詳しいので直接参照していただきたいが、ここでもその一部を引用しておく。
関根正二 最後の一年 - 福島県立美術館
https://art-museum.fcs.ed.jp/wysiwyg/file/download/1/6695
絵の形式としては、円光や中央の人物が歌っているような口元などはルネサンス風であり、胴体が寸胴でやや縦長の人物はゴシック教会の外壁に見る彫像のようでもある。バラバラなところも含めてまぎれもなく関根正二である。もっと生きてほしかった。
それにしても、絵葉書でしか残っていない作品というのは、近代美術に限っても、案外と多いようだ。今後も注意していこう。
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