見出し画像

2017bon

職場に梵教に詳しい新人がやってきた。
いや本当は詳しくないかもしれない。
ただネパールに遊学経験があり、五体投地をしたことがあって、チベット文化に関して博識であるという。
それはさておき、残業続きの労働も小休止し、お盆休暇だ。
昨年は双方の実家(私の郷里、福島県会津と、妻の故郷、福井県福井市)をまわったが、今年は妻の実家に絞ることにした。なにせ会津、福井間は移動に8時間かかるのだから、両方はしんどい。
出発前夜の帰宅は23:30、今流行りのオフホワイト、いやブラウン企業か。5:30に出発する。ここでまず一悶着、北陸新幹線で行くなら、始発の東京駅か大宮駅どちらに向かうか? 地理的にはどちらも同程度だが、妻は「絶対始発の東京駅だ」と言い、私は「北陸に向かうには大宮駅に行った方が良いだろう」と提案し、結局、大宮を選択した。
甘かった。いかんせんbonだ。
乗車率170%、大宮で妻の顔が曇った。
大きなリュックを前で抱え、トイレ前の通路を定位置にすし詰め状態がしばらく続くが、長野駅でぐっと人が減りだし、客車の通路へ移動することができた。
より客車近くにいた妻は気遣い、私が抱えていた大きなリュックを「ほれ貸してみ」という感じで窓際の棚上に載せようとしてくれた。
ありがとう妻。
しかし、妻は腕が短い。三列シートの真ん中の男性の頭上にbonとリュックを落としてしまった。
妻は「すいません」と謝っているが、顔はほころんでいる。言葉より顔、顔よりも身体が、心の状態を表すそうだが、まさにそんな感じだ。
笑ってはいけないという誓約が、笑いを助長する。ごめんなさい。
bonが始まる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?