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後で効く 冷酒と 彫刻家の独り言

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彫刻家大黒貴之のオピニオンや独り言をまとめています
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#絵

デッサンから学んだ高校センチメンタル

「美大に行きたいのですが、どうすればいいですか?」 美術の先生にそう尋ねたのは高校3年の春でした。 美大の受験にはデッサン課題があるので、どうやら研究所(デッサンなどの絵を習う教室)というところへ通ったほうがいいらしい。 そのようなことを初めて高校3年の始め頃に知りました。 僕の高校の他学年の美術授業に来ていた若い先生が、ちょうど研究所を開設したというので、そこを紹介してもらいました。 その研究所は「しが美術研究所」と名付けられていました。 「デッサンを習うって何

彫刻について考える:ヨーゼフ・ボイスの社会彫刻論とフォールド・ドローイング

彫刻家の大黒貴之です。 2020年、東京のMARUEIDO JAPANで開催された個展に合わせて執筆したテキスト「両義の間にある揺らぎ「間-振動」-⾃然 時間 ⾔葉 数字 縁起 ⽣命彫刻、ドローイング、インスタレーション 」から抜粋したものです。 ・・・・・ 彫刻とはどういうものかと尋ねられれば「現実」と「行為」だと答えるだろう。 絵画は平面性の中にイリュージョン(幻想)を形成させるのに対して、彫刻は三次元のものが目前に厳然として「在る」ことが挙げられる。現在では彫刻

あなたのモノやコトが後世に残るためのたった1つの必要なこと

彫刻家の大黒貴之です。 僕は「何十年、何百年と長い時間の圧力に耐えて
残っていくものが本物である」と考えています。ですので、現時点で、それが「本物」がどうかは、実のところわからないというのが正しいのだと思います。 マーケット上でまるで株券のように
アート作品を売買す様子や100万円単位で値段が吊り上がっていく
オークションの様子には確かに違和感がありますが、
マーケットとは、何千万円、何億円もする作品が
売買されてる市場のことだけではありません。 アートマーケットという