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後で効く 冷酒と 彫刻家の独り言

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彫刻家大黒貴之のオピニオンや独り言をまとめています
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#考えたこと

専門家とはどういう人のことをいうのだろうか:あと「仕事中の彫刻家」のこと

彫刻家の大黒貴之です ある日ラジオから「専門家とはどういう人のことを言うのか?」という話題が聞こえてきました。 その話によると「専門家とは自分に何ができて、何ができないのかを知っている人」だといいます。 なるほど、それが結果的に1つのことに特化していくことだというのは一理あるなと思いました。 僕が彫刻家と言い始めたのは2002年からでした。ベルリンのギャラリスト、セミヨンさんが「君は彫刻家なんだよ」と言ってくれたのが、大きな切っ掛けの1つでした。 また関西のある彫刻

今あなたが持っているコップの水を一度捨てなさい:自分を変えるということ

彫刻家の大黒貴之です。 何かを改変することは、多くのエネルギーが必要なことです。 生活の一部を変えたり、或いは新天地へ移動したり、もしくは、それまでやっていたことを変えるなど・・・長い人生の中で、一度は自分を変えたいと真剣に考えるときがやってくることがあります。 そのためにはどのようなことを心がければいいのでしょうか。 一緒に考えてみましょう。 自分を変えるための捨てる勇気を持つことある武道家の方がかつてこのようなことを僕に助言してくださいました。 「コップに入っ

事を成し遂げるための最短の道

彫刻家の大黒貴之です。 「器用な人ほど作家の道を続けていくことが少ない。 作家を続けていくには、ある程度の鈍感さがなかったらアカンなぁ」 日本の現代アート界に名を刻む彫刻家F氏から聞いた話。 現代アートの作家を志して20年以上が経ちますが山あり谷ありで現在に至っています。何かを成し遂げるには、地道に続けていくことなのだと実感していますが、何事もこの継続していくことがなかなか難しい。 作家の場合、1か月と1年とかではなく10年20年30年…という超ロングスパンで制作、発

アーティストに必要なのは抽象的思考?具体的思考?

彫刻家の大黒貴之です。 「あなたの話は抽象的でわかりにくいよ」 或いは 「あなたと話していると何言っているのはさっぱりわかんない」 抽象的なイメージを言葉に乗せて人に伝えることはなかなか難しいことですし、アートの世界でも「抽象はわかりにくい」という言葉はこれまで何度も聞いてきました。 何かを商品化することやメッセージを伝える時に「わかりやすい」ことはそれだけ多くの人に届きやすいということです。 確かに、伝達手段としての「わかりやすさ」は大切なことです。 細谷功氏

テーブルに「つく」こと、或いはそこから「たつ」こと

彫刻家の大黒貴之です。 「雑感ノート-20190107-」より インターネットが一般向けサービスとして日常に張り巡ったのは確か1995年頃だったと記憶している。 それ以前、情報はテレビ、新聞、書籍などのメディアか人からの見聞など、アナログなものだった。今のようなSNSなどもなかったし、また情報も簡単に手に入る環境でなかった。 学生の頃、「現代アート」とは一体どういうものなのかよくわかっていなかった。美術雑誌やそれに関連する本はあったが、なんだかよくわからない小難しい表

人の心理は古今ほどんど変わっていない?できる限り、今、自分がすべきことをしよう!

彫刻家の大黒貴之です。 「今日の一針明日の十針!」 一緒に仕事場の改装工事を手伝ってくれている近所のおじさんが言います。 「今日やってしまえば、一針で済むほどのことだけどいつかまたやろうと後回しにしてしまうと十針も縫わないといけなくなって、余計に手間がかかってしまう」 例えば、家の瓦に小さなヒビが入っていてそこから雨が漏れてきています。 少しくらいの雨漏りだからまぁいいやまたいつか今度直そうと思っているとそれが一年経ち、二年経ちそして気が付くと梅雨の長引く雨で柱が腐

彫刻について考える:ヨーゼフ・ボイスの社会彫刻論とフォールド・ドローイング

彫刻家の大黒貴之です。 2020年、東京のMARUEIDO JAPANで開催された個展に合わせて執筆したテキスト「両義の間にある揺らぎ「間-振動」-⾃然 時間 ⾔葉 数字 縁起 ⽣命彫刻、ドローイング、インスタレーション 」から抜粋したものです。 ・・・・・ 彫刻とはどういうものかと尋ねられれば「現実」と「行為」だと答えるだろう。 絵画は平面性の中にイリュージョン(幻想)を形成させるのに対して、彫刻は三次元のものが目前に厳然として「在る」ことが挙げられる。現在では彫刻

本物とはどういうものだろうか?消費されず時代を超えて残っていくもの

「流行」という言葉がありますが流行とはその時代の「ハヤリ廃り」です。 一方で時代を超える本物が世の中には存在しています。 例えば、ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロ、ボッテチェリ。
モネやゴッホ、セザンヌなどの印象派の巨匠。ピカソにマチス、ポロック、マルセル・デュシャンなどの20世紀の巨匠など。
葛飾北斎や伊藤若冲、日本や世界に昔から伝わる仏像や画。 上に挙げた例は、一例にしか過ぎないのですが
これらは「本物」だと思うのです。 なぜなら、それらは多大な「時間の圧力