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カサデオリーバ / アートの内容について

今回、ビル管理人の村松さん(カサデオリーバ ) の希望で最も重要なポイントは、
「側道を運転中でも、向こう側の歩道を歩いていてもバッチリ見えて、印象に残るアートを」というものでした。

それを満たすために幾度か提案を繰り返した結果、
「サイズが大きく、色彩が派手で、インパクトある抽象画に」
というシンプルな答えに行きつきました。

そのように必須条件が固まった後は、下絵を見てから検討したいということでした。
そこで、先にアーティスト選定を行い、決まったアーティストがいくつかの案を提案する流れになりました。

アーティスト選定条件
・可能な限り大きく、カラフル(原色多用)、ポップな印象の作風。
・オーナーさんの希望に柔軟に対応でき、引き出しも多いアーティスト。
・高所のタイル壁に対応できる。

外壁制作では、いろんな自体が起こりえます。
行政事業であること、
思いを抱く関係者がたくさん関わっていること、
屋外工事であること (天候が影響、各種許可申請が必要)、
制作中にもメディア対応が求められること
体力を消耗する、、、 など。

ミューラルは単に大きな絵画を超えて特殊なアートで、求められる能力も独特です。
状況が複雑なほど、コミュニケーション能力や身体能力なども含めた、総合力の高いアーティストがより重宝されると思います。
信頼関係が出来上がってる間柄だとより突っ込んだチャレンジもできます。

そんな背景で、本案件は、高橋鉄平さんに選定されました。

その後、鉄平くんから3案提案あったうちの一つが採用されました。
加えて村松さんからは、「黄色い箇所の面積をもう少し増やしてほしい」という希望が最後に出ました。
より明るく、よりインパクトを!という意志を感じました。

完成した下絵はこちらです。


“Catch” (タイトル, 仮)
高橋鉄平が描く生き生きとした躍動する線は、コミックスやカートゥーンなど20世紀後半以降のポップカルチャーを想起させる、鮮明な色合いが異なるレイヤーで現れ、動きや広がりを強調する。
大きく、広く躍動する本作は、実際のサイズやキャンバスを越えて広がっていく。

"本人コメント"
自分の作風でもあるインパクトのあるライン、ポップなカラーと全体の躍動感を意識して描きました。
実際の絵のサイズ以上の広がりを感じてもらいたいです。



ちょっと小話程度に、、、、

壁画サイズと色彩に関する法令への適応について

壁画は、行政には「屋外広告物」と見られるのが一般的です。
よって屋外広告物のルールにのっとった制作が求められます。
これは区や地域によって異なる条例がありますが総じて、

・10m以上の建築物の場合、ビル一面につき立面積の30%未満の作画
(2m以上の立ち壁も同様)

となります。
10m以下となると、3階建てビルだとオーバーしてる場合が多いです。
 (それ以外にビルの総面積(平面)なども関係してきます)
また、「絵の範囲」をどのように捉えて計算するかも、地域や担当者レベルで考え方が異なることも多いです。

警察確認が必要な場合も多々あります。
また場合によっては、屋外広告物法と別で、景観法に照らし合わせた認可を得ることもあります。

一方でとくに地方都市だと、あまり気にせず描いちゃえる現場も多くあるみたいです。
まして、外国の工場地帯の壁画密集エリアなんかは、絶対許可取ってないと思います。(いいなぁ)

東京でしっかりやろうとすると、(足場設置の)道路使用許可、占有許可もあるし、屋外広告法、景観法、警察許可、、、。
必須な手続きが多く面倒なのが日本の外壁画制作の難しいところで、その見えない仕事が、とても時間と労力を要する。。。
(そもそも、最初は無理です、ダメです、と言われるところからのスタートだったから、実績もって交渉できる今はかなり楽になってきた)

商品広告ではないものを広告物として扱わないといけないのは、アートとしての壁画事例がそもそも少ないため社会のルールも設定されていないからです。
しかしこれからますます外壁画も普及していくと、法律が壁画文化拡大の妨げになるでしょう。
だから、自分たちの活動がきっかけで特例法が出たり、壁画特区を作ったりするのは、一つの夢です。

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