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Superchief GalleryがNFTアート専門ギャラリーを公開など:海外アート最新動向vol.04

前回の記事が結構読まれているのですが、これは「スティーブ・アオキ効果」があったのではないかなと。

このマガジンを読む方はクラブミュージック(EDM、ダブステップ、ハウスなど)には関心が薄いと思っていたのですが、意外とそんなことはないのかもしれませんね。

ちなみに、今回は同じく世界トップDJのカルヴィン・ハリス(Calvin Harris)氏についてのリリースを取り上げていますw


【2021/03/22〜2021/04/04】

01.NYCのギャラリーが世界で初めてNFTアートを物理的に展示

Superchief Gallery NFTは、3月25日、300人の多分野のアーティストによるNFT作品を紹介する展覧会「Season One Starter Pack」でオープンしました。3月25日までの毎日、5人のアーティストによるNFTアートが展示され、毎日少しずつ違う表情を見せるギャラリースペースとなっています。(DeepL翻訳)

このリリースとは別の企業・個人投資家が、「NFTアートを展示する」といったニュアンスの記事が出ていたので、「これは時間の問題か?」と思っていたのですが、もう公開しているギャラリーがありました。

「Superchief Gallery」という、私も今回調べる中で初めて知ったのですが、2012年に設立され、現在はロサンゼルス、ニューヨーク、マイアミにギャラリーを持っており、今回でニューヨークは2店舗目に。

Superchief Gallery NFTは、先月25日より、NFTデジタルアートを超高解像度の4Kスクリーンに作品を映し出す形で作品の展示を開始。リリースには写真がなかったので探したらInstagramにありました。

Source:https://www.instagram.com/p/CM2RH4ODbnf/

普通の美術館/ギャラリーのように、奥に見える青いスクリーン含め、いくつかある中で展示されるのかな?と思うのですが、毎日違うアーティスト・クリエイターの作品を展示するため、当日の作品紹介が、写真に映る入り口のスクリーンの役割かもしれません。

記事にはNFTアートの作品展示が世界初とあったのですが、共同創設者のEdward Zipco氏は「デジタルアートを展示するのは今回が初めてではありませんが、これまでは「明確な収益化の方法がなかった」」と述べています。

これは「NFT(Non-Fungible Token / 代替不可能なトークン)」という存在・価値観が見つかったことで、デジタルアートというそれまで「1つのデータ」でしかなかったものが、マネタイズが可能になり、物理的作品と同じ取り扱いが出来るようになったことに大きな意味があるのだと感じました。

その供給に対して、(以前から書いているように)需要サイドはオンライン上の「アバター」「ファッションアイテム」としての意味が大きいのではないか?というのが私の考えです。

もちろん、物理的作品と同じようにコレクターや投資家もこの市場には存在するはずですが、「オンライン(仮想)」と「オフライン(現実)」の境目が薄まる・グラデーション化する中ではNFTアートは「承認欲求を満たす役割」が強くなるのではないかなと思います。

書いてて気が付いたのが、スクリーンで展示をすることで、毎日違う作品展示をすることのコストやリスクが限りなく低くできるので、ギャラリー側としては準備に掛かる負担が減りますし(ディスプレイの詳細な設定とかはありそうですが)、アーティスト側も搬入や破損の心配がないのはすごく良いなと。

余談ですが、いつもリリースを探すときに、タイトルのみ含めおそらく50以上は見ているのですが、同ギャラリーのInstagramで2週間前に告知があったのは全く気づきませんでした。確かにこちらで出す方がリーチはあるなと。

The 1st physical NFT Gallery in the world. Coming March 25th to Union Square, NYC
− 世界初の実物大のNFTギャラリーです。3月25日にニューヨークのユニオン・スクエアで開催(DeepL翻訳)
Source:https://www.instagram.com/p/CMU4bM_nr4U/

関連記事:Screen Time at the ‘World’s First Physical NFT Gallery,’ Whatever That Means


02.カルヴィン・ハリスが未発表曲を含むNFTデビューのプレビューを公開

カルバン・ハリスのNFTデビュー作は、(中略)長年のコラボレーションを行ってきたクリエイティブ・パートナー、エミール・ナヴァとの共同制作によるもので、(中略)自然にインスパイアされたこのデジタルアートコレクションは、「TECHNOFISH」と名付けられ、5つの万華鏡のような映像と、未発表の音楽を収録しています。(DeepL翻訳)

カルヴィン・ハリス氏が3月29日から、NFTマーケットである「Nifty Gateway」で5つのNFT作品をそれぞれ数量限定(9999,9999,100,50,1個)で販売。今日(2021/03/31)の時点ですでに5つともSOLDOUT/販売終了していました。

スクリーンショット 2021-03-31 10.07.33

Source:https://niftygateway.com/collections/harrisnava

また、今回の売り上げの一部は、二酸化炭素排出量の削減に取り組む団体に寄付するとのこと。

今回販売されたNFT作品はこちら。

Source:https://www.instagram.com/p/CMu2ZSjhvT6/

前回この記事で、「NFTと音楽は相性は悪いのでは?」と書いたのですが、まさか、DJ/プロデューサーのカルヴィン・ハリス氏がこの分野に参入してくるとは思いもしませんでした。

ですが、よく考えたら前回のスティーブ・アオキ氏然り、色んなアーティストが参入・NFT自体もバブルとは言われる中で、注目が集まっていることは事実なので、今後も音楽に限らずビッグアーティスト・クリエイターがNFT作品を公開するのが一般的になっていくと思います。

それを踏まえて「NFT × 音楽(海外だと「NFT Music」と表現されているので今後はこの表現にします)」の考え方としては、NFT作品がアーティストのメインになることはないのかなと。

あくまで、「音楽(曲)」や「ライブ」がメインコンテンツとしてあり、それを補うサブコンテンツ(グッズ販売やラジオと同じ位置付け)として活用していくのが生存戦略になっていく気がしています。

NFT Musicをメインにしてしまうと、「買った人しか聴けない」「ライブやテレビで使えない」「YouTubeにアップできない」となり、今度はプレミアムは付いても、アーティスト側の意欲が削られるように感じます。

それを防ぐにはサブコンテンツとして、「ライブやテレビなどのプラットフォームで使用」を前提とした販売・流通の形がベストだと感じていて、そうなるともちろん、前述した「プレミアム(=取引金額)」は下がってしまうのですが、落とし所はこの辺りが現実的ではないでしょうか。

プレミアム価値で言えば、あとは販売数量も関係してきますが、カルヴィン・ハリス氏の今回の作品のように「数量に差をつける」ことで、仮に同じNFT Musicであったとしても、消費者心理をうまく捉え利益を出すことは出来るかと。

その後の流通・セカンダリーマーケットとして考えると、やたらと数を増やすことは悪手に、一歩間違えるとそれが致命傷になると思うので、アーティストがNFT Musicで一番注意しないといけないのはここかもしれません。

執筆BGM:Calvin Harris from Radio 1 in Ibiza 2015

クラブの聖地とも言われる「イビサ」を、この動画で初めて観ましたが、死ぬまでに一度は行ってみたいなと。 私は人混みが苦手なので実現しない気がしますがw


03.JUST NFT FUND設立に関するジャスティン・サン氏からコミュニティへの公開書簡

JUST NFT FUNDは、世界的な芸術作品をブロックチェーン上でNFTとして登録するNFT空間におけるARKファンドを目指しています。(中略)JUST NFTは、一流のアーティストと作品のみにフォーカスしています。原則として、当ファンドは、価格が100万ドル以上、中央値が1,000万ドルのアート作品のみを受け入れます。(DeepL翻訳/意訳)

仮想通貨TRON(トロン)の創設者Justin Sun氏が、NFTアートに特化した「JUST NFT FUND」を設立。ポートフォリオの1作目として、この分野のトップアーティストであるBeeple氏の作品「Ocean Front」を600万ドルで購入しています。

(Beeple氏については、vol.2でもクリスティーズ初のNFTオークション作品として取り上げています)

Source:https://twitter.com/beeple/status/1109664330260336640

正直、今回のハイライトは上2つの「NFTの物理的ギャラリーの展示」と「カルヴィン・ハリス氏のNFT参入」であり、これ以上のリリースはないかなと思っていたのですが、最後に一番ワクワクするのが出てきましたw

このマガジン読者の中にもいるかと思いますが、投資家やVC(ベンチャーキャピタル)の方はタイトルを見て「これは!!」と感じられたのではないかと思います。

記事にもあるように、「価格が100万ドル(約1億円)以上、中央値が1,000万ドル(約10億円)のアート作品のみ」を扱うとあり、これはパレートの法則(80対20の法則)がアートに、この場合は「NFT専門ファンド」に関しても有効だという考えがあるとのこと。

目先のヒット(メジャーな作品100点)よりも、満塁ホームラン(コアな作品1点)を狙う感じでしょうか。

これがスタートアップ/企業であれば、M&AやIPOという形でヒットなのかホームラン、(もしくはアウト)なのかを判断することができますが、NFTアートという市場に関してパレートの法則がどう働くのかも気になります。

JUST NFT FUNDが投資/保有することで、作品価値が上がることがベストですが、TRONで損失を出したことがある投資家であれば、「あいつ(Justin Sun氏)が投資するなら要らない!」と感情的な判断で見込み客を失う可能性も?w

私自身、アート作品を買ったことがないのでアレですが、セカンダリーマーケット(二次流通)で購入する場合、「前回の持ち主がどんな人だったのか?」を気にされる方は意外と多いのではないか?と考えています。

作品自体が生まれる過程もそうですが、その後の「所有者」が誰だったのか、どんな過程で今日に至るのか、そういった「創造から所有までの物語(ストーリー)」自体にも価値があり、それが作品自体のプレミアムとは違う「情緒的価値」が乗っているのではと。

ポートフォリオの話として、Cryptoart(https://cryptoart.io/)という海外のNFT専門サイトがあり、これを見ると単価で100万ドル以上の作品を出しているアーティストは割と多いのですが、中央値となると「作品数」が多く掴めず...

平均値で見るとこれも割と多いのですが、ポートフォリオとしては、中央値が高い方が作品価値が高く、同時にリスクヘッジにもなるので、意外とファンドとして投資できる作品は多くないのではないか?と感じます。

できたとしても、アーティストが偏ってしまい、バランスが悪くなってしまうような気が。そう考えると、作品数の多いアーティストは投資対象になりづらく、アーティスト側は作品数を意図的にコントロールすることが必要になりそう(今後こういったファンドが出てこなくても、希少性という意味で多いこと自体にメリットはない気がするので)。

いやー、これは非常に興味深いリリースでした。日本でもそう遠くない未来に出てくるのではないでしょうか。...と調べていて見つけたこのリリースもある意味同じかなと思います。

もし、私が「国内NFTアート専門ファンド(仮)」で投資するのであれば、NFTアーティスト/クリエイターのピックアップ、作品の傾向、作品数、作品単価、作品の平均制作時間、オークションやメルカリなどの売買履歴、海外での認知度調査、同じテイストの他アーティスト/クリエイターの有無などをデータベースにするところから始めますw

ただ、どれだけデータを集めたとしても、最終的には「アーティストがどんな人なのか?」を知ることが重要だと思います。

これが「村上隆」「草間彌生」「奈良美智」といったトップアーティストに投資をするのであればまた違ってきますが、今後の「伸びしろ」に投資をする以上は大事なことはそこかなと。

とてもおもしろい取り組みだと考えているので、もし同じ考えを持っている方がいましたらお手伝いできることがあると思うので、是非お声がけくださいw


その他:気になったリリース一覧


04.ロボットアーティストがアートを688,888米ドルで販売し、現在は音楽のキャリアに注目しています

688,888米ドル(約6,900万円)で販売されたデジタル作品は、Sophia Instantiationというタイトルで、ボナセトの肖像画がソフィアのデジタル絵画に進化していることを示す12秒のビデオファイルです。ソフィアが描いた物理的なアートワークが付属しています。(Google翻訳)


05.億万長者のマークキューバンは、ユーザーが任意の形式でNFTを表示できるデジタルアートギャラリーを設置していると報告書は述べています

億万長者の起業家であるMark Cubanは、ユーザーがデジタルアートや収集品を提示できるオンラインアートプラットフォームを開発しています。(中略)Lazy.comと呼ばれるこのプロジェクトはすでにライブであり、ミニマリストの外観をしています。(Google翻訳)


05.ロンドンと香港でのクリスティーズの20世紀のアートセールスが記録を樹立

バンクシーのゲームチェンジャーは、2020年5月に世界的なCovid-19パンデミックの最初の波の間にサザンプトン大学病院に贈られた絵画で、3月21日のクリスティーズで1680万ポンド(2320万米ドル)で販売されました。(中略)一方、香港では、ジャン=ミシェル・バスキアの傑作であるウォリアーが3億2360万香港ドル(4190万米ドル)を獲得し、アジアでこれまでに提供された中で最も高価な西洋のアートワークをマークしたとクリスティーズは語った。(Google翻訳)


06.ダミアン・ハーストが「環境にやさしい」NFTプラットフォーム「Palm」で10,000作品を紙にデビュー

Palmでの彼の仕事はTheCurrencyProjectになります。作成から5年が経過した通貨プロジェクトは、紙に描かれた10,000枚の油絵で構成され、それぞれにNFT、またはブロックチェーンによって認証されたデジタルファイルであるFUNFING不可能なトークンが付属しています。(Google翻訳)


07.NFT高級時計オークションは業界を永遠に変える可能性があります

史上初のNFTで保護された時計は、高級時計の販売方法と評価方法の見方を完全に変えます。これまで、NFTの販売は主に音楽やアートに関連してきましたが、今回は実際の有形のアイテムにリンクして実用化しています。(Google翻訳)


08.NFTアートマーケットプレイスSuperRareが900万ドルのシリーズAを閉鎖

NFTアートプラットフォームであるSuperRareがシリーズAで900万ドル(約9億円)を調達。(Google翻訳/意訳)


09.火星の家は50万ドル以上でNFTとして販売

Mars House NFTは、Krista Kim氏が制作したバーチャルハウスで、514,557.79ドル相当で販売されました。キムは、この歴史的な初のバーチャル不動産取引は、事実上、未来の兆候であると考えている。私たちはもはや物質的な世界に住んでいるのではなく、アートや音楽、さらにはファッションがバーチャルな領域に浸透し始めたように、不動産もそうなるでしょう。(DeepL翻訳)


10.ブロックチェーンNFTアートマーケットでリリースされた最初の小説

国際的なベストセラー作家であるNEカーライルとサイバーアーティストのロリハモンド(LOLA)が協力して、NFTアートマーケットブロックチェーンで最初の小説を作成しました。(Google翻訳)



以上です。

今回は特におもしろいリリースが多く、選ぶのに(良い意味で)大変でしたが、それだけ充実してきているともいえるので非常に楽しかったです。

国内では、VRアーティストのせきぐちあいみ氏の作品が約1300万円で落札されたことが、NFTが私たちの身近なものとして認識され始めた印象的な出来事だったのではないかと感じています。

マーケットとしても、「Coincheck NFT」「nanakusa」「The NFT Records(音楽専門)」など、着実に増えてきており、国内だけでもう1つマガジンが書けるぐらいんじゃないかな。

まだ日本では認知されないかなと思い、あまり国内に目を向けてなかったのですが、国内外ともに更に面白くなってきましたね。


次回は4月18日(日曜日)に更新予定です。


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