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本との遭遇覚書・星へ行く船

昔からオタク的なものが好きでした。アニメ、まんが、ゲーム、そして若者向け娯楽小説も。
しかし10代の頃は情報を得る手段が限りなく少なかったのです。インターネットはもちろんない時代。使えるお金にも限りがあったので購入していた雑誌も限りがある。そして情報を共有できる友達もいない。
そうなると「たまたま目にする」しか出会いのチャンスはなかったのです。偶然に頼るしかなかったのです。たまたま本屋や図書館で目にしたものを、己の勘のみで手に取っていたのです。

そのため有名作品なのに読んでいないものも多いのですね。

『星へ行く船』(新井素子)との遭遇。
新井素子も出会えていなかった作家なのです。
名前は知っていました。でも誰も僕に面白いよと教えてくれなかったのです。おそらく高校の図書室に並んでいたはずなんです。それすら覚えていない、意識していない。なんてこったい。
なので新井素子作品を今になって少しずつ読んでいます。
面白い。
とても面白い。
面白いが故に、ああこの作品をちゃんと10代の頃に読んでおきたかったという想いがあるのです。なんで誰も教えてくれなかったんだ! と悔やむのです。

その想いが大吉堂という古本屋をやっている理由です。
面白い本があるよ! 面白いよ! と叫ぶためにこの店はあるのです。
そして面白いのを教えてくれ! という叫びなのです。

懐かしのライトノベルを「懐ラノ」と称して大吉堂では力を入れています。
しかし僕自身が読んでいない作品が大半なのです。
知らないからこそ読んでいなかったからこそ、今からでも知りたい読みたいという気持ちで集めて並べているのです。そして読むのです。
ああ、なんて楽しいんだ。
こんな想いを共有できる人がいればいいなと、今日も本を並べるのです。

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