【スヤマ】 プロローグ①

この世は監視社会・・・
全ての人間には１１桁の英数字が割り当てられ
管理されている・・・
そしてその管理は
数百年昔、大疫病の時代から続いていると言われている・・・。

その昔、
携帯電話やクレジットカードの詐欺が流行ったというが
現在はその比ではない。
何故ならその１１桁にはその人間の個人情報、
現住所、収入、銀行口座から家族構成、購入履歴に行動履歴、保険情報、
ありとあらゆるものが詰め込まれている。
もちろんその情報を覗き見ることは犯罪で、容易ではない。
しかしそれが可能な組織があれば・・・
悪用することも実に簡単である。

そしてこの世界は
その管理が運用されるようになった数百年前、さらにはるか昔の時代から、
「表」の権力者と「裏」は、常に深く深く繋がってきた。
一般に生きる我々には気づかれぬよう、
実に巧妙に。

・・・情報管理の法案があがった当時、
一部では反対の声もあがったらしいが、
結局は上の多数決によって可決されたらしい。
むしろ多くの人間は己のことに精一杯で
それに関心すらなかった。
疫病から身を守るため、
己を正当化するために認識の違う他者を槍玉にあげ、攻撃する。
そんな意味のないことに躍起になっていたようだ。
当時の人々の気持ちはわからないが・・・
いつの時代も同じようなことが起こるものだ。

そして現在・・・
ここ「ネオトーキョー」は、
「ベスティア」という組織が表立って牛耳り、
人々はその支配の元、暮らしている。
それは、
生まれたときからの支配のため、
もはや人々は支配されていることにすら気づかない。
・・・しかし、
その日常から一歩はみ出したとき・・・
その支配は突然に、しかし確実に
目の当たりとなる。

そんな世界は、今日も続いている・・・。