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インド工場建設の舞台裏!始まりは飛行機での運命の出会い!?

今回から5回にわたってお届けする連載企画「ダイキアクシスグループ海外工場立ち上げ・運営の裏側に迫る!」
今回は、2022年11月にインド北部のハリヤナ州に建設したインド工場の裏側に迫ります。
そこには、たくさんの社員の活躍があり、ストーリーがありました。
トップバッターは海外営業統括部長の和座さんにお話をお伺いします。


■和座 良太(わざ・りょうた)海外事業統括本部 海外営業統括部
前職ではインド専門のコンサルティング会社に在籍し、農業と水の分野で日本企業の海外進出をサポートを行っていた。その中でダイキアクシスと出会い、社長よりオファーを受けダイキアクシスに入社。

インド工場の計画から交渉までを一通り担当


普段の担当業務について教えていただけますか?
インドでの事業拡大の為、政府への新規プロジェクト立上げのプレゼンをしたり、中央および地方政府へのセミナー開催依頼と実施をしたりしています。
他にも代理店候補をリストアップし選定や面談を行ったり、契約後は目標設定や業務改善の為に活動におけるボトルネックの明確化と排除なども行っています。
社内マネジメント面では社内ルールの作成と見直し、および業務を円滑化するためのシステム構築の創案と打合せを行ったり、採用面接をしたり、既存社員の活動状況と待遇見直しをしたりしています。
インド全エリアの横断的な情報交換およびモチベーション向上に取り組んでいる形ですね。

幅広い業務を担当されていますね。
インド工場計画時はどのような役割をされましたか?
計画時は予算作成から土地選定、購入交渉から許可申請、業者の選定と、ひと通り担当しました。

インド工場を計画する時、ある程度場所は絞っていたのでしょうか?
今後政府向けの大きいプロジェクトをとっていく北に作るか、もしくは現時点で売れている南に作るかで最初は南か北かという所で社内ですり合わせを行いました。
インドは首都であるデリーがある北方が日本でいう東京や大阪みたいなイメージで投資額が大きくなってしまいます。
ただその分、政治的インパクトであるとか広告的な価値があるので最終的には北に作ろうという事になりました。
インドでは政治家を絡めてPR出来るかがとても大事なんです。政治家の人はもちろん首都があるデリーに近い方が来てもらいやすいですよね。

飛行機でたまたま隣に座ったのがハリヤナ州知事だった!?

竣工式にハリヤナ州知事がいらっしゃったという事ですが…
州知事や大臣は自分がニュースになる事は比較的喜んで受けてくださいます。
その国のテレビをつけると国民が何に興味があるかって結構分かるんです。日本だとお笑い番組やクイズ番組が多いと思うんですけど、インドだと30くらいあるチャンネルのうち半分ぐらいがニュースなんですよね。
「〇〇州の知事の1日を追う」っていうのもあったりします。
なので「自分はインドの為に環境の事業で来ている日本企業と仲良くしています。」「世の中の為に私はこんな活動をしています。」という事がニュースになるんです。

工場設立の式典に来てくださったハリヤナ州知事

竣工式でハリヤナ州知事が和座さんの事を「ベストフレンド」と呼んでいましたが一体どのような経緯が…?
たまたま飛行機に乗った時に隣が州知事だったっていうのがきっかけで。
普通、州知事は政府専用の飛行機に乗るんですけど、気象が悪い時は大きい民間の飛行機に乗ったりすることもあるんです。
ちなみにインディゴ航空で一番前の席しか空いてなかったので+300円ぐらいで買ったんですよ。
外国人が隣に座ったもんだからお付きの人たちが凄く気にしていて。警戒されましたね。
でもとりあえず一通り喋って「優しいお爺ちゃんだな」と思って、後からお付きの人に聞いたら州知事だったんですよ(笑)
その時は私はコンサルの仕事をしていて、当時インドの知事が日本に来て姉妹都市の提携とか親交を深めるとかが流行っていたんですね。
なので「こないだ飛行機で隣に座った者です。日本に来ませんか?アテンドしますよ。」って書いてメールで送って、それで日本に一緒に来たんです。
その時にオーバーナイトのフライトになるので、彼が「寝よっか」と言うまでずっと喋っていて、それで仲良くなったのが最初だと思います。

この一枚からもお二人の親密さがうかがえます

運命の出会いというのもありますが、その行動力が凄すぎますね。
最初に入った証券会社が「まずはコンタクトして断られたら考えろ」という文化だったからかもしれないですが。
あとはコンサルで他にも仲が良い大臣がいたので、どういう反応をしてくれるかが分かっていたという所もありますね。

今、海外で大活躍している和座さんですが、昔から海外に関わる仕事をしたかったのでしょうか?
新卒で証券会社に入社したのですが、証券会社だとどうしてもアメリカやヨーロッパがメインで、日本はあくまで世界の中でオマケという感じでした。なのでアメリカに行って仕事がしたいなと思っていたのですがアメリカに行く機会が無くて。
その後オーストラリアに研修に行ったんですが、その当時オーストラリアが成長国でして。
成長国って日本では考えられないくらいビジネスチャンスが転がっているんです。それを見て、より今から成長していく国、さらにその規模が大きければもっと面白いのかなと思いました。
その後、中国に行こうかな?アメリカかな?南米かな?と探していた時にインドをやらないかと声をかけてもらった形ですね。
ちなみに仕事で行くまでインドには一度も行った事がありませんでした。

インドの文化と新型コロナウイルスに翻弄された工場の建設

工場の建設が始まった時はどのような役割をされていましたか?
建設が始まってからは資材業者の供給遅延解消交渉、土木業者との価格高騰対応交渉、生産機器業者と社内生産部の仲介などを行っていました。

交渉や仲介など大切な役割を担われたのですね。
工場建設にあたり、苦労したエピソードはありますか?
元々雨季に工事が止まってしまう可能性があるのは分かっていたので、雨季になる前に雨季で影響を受けない所(土を掘ったり、基礎を作ったりする土木工事)まで工事を終わらせる予定でいました。

2022年5月 建設途中のインド工場

しかし雨季になる前にインドで春の種まきの祭のようなものがあるのです。
その祭りの祝日があるのは分かってて、それも考えて計画していたのに「祝日で人が少ないんです」と工事を引き延ばされてしまって…。
お祭り自体は3日か4日ぐらいなのに前後1週間「丸々2週間人がいません」という状態に…。

日本だと絶対に考えられない状態ですね…。
工場の建設が遅れた時にペナルティとして罰金を設けたりしているんですが、インドの人は罰金を取られるのが当たり前で罰金の設定額は無いものと思っているんですよ…。
もはや罰金分貰えたらラッキーと思ってる感じですね。
もちろん我々も文句を言い続けたのですが、そうしたら業者が途中で「もう止めて良いか?」と言ってきて…色々ありましたが何とかお互い歩み寄って完成させました。

2022年8月の建設状況

海外では日本の常識が本当に通用しませんね…。
一度リクエストした内容に対し、アップデートしないと無かったことにされてしまうインドのご都合主義に大いに悩まされましたし、未だに苦労しています。 
「あの時こう言っただろう」と口約束をとても重要視してみたり、「口約束だから正式では無い」と反故にされたり、それが社外のみではなくインド人従業員のいる社内でも起こりうることに苦労しています。

そういう時、対処のコツみたいなものはありますか?
翌日になると相手も気分が変わったりするので、その場で書類におこして内容に間違いがないならサインしてもらう形ですね。
もしそれが出来なかったらメールに内容を書いて「追加内容があれば追加内容を送ってください。無かったらこれでOKという事にしますよ。」として送っています。
法律的には弱いらしいですが、一応メールでのやり取りも証拠能力が0ではないので。
裁判は出来るだけ起こしたくないですが、手元にカードを増やしておくというのが唯一出来る対策ですね。

ちょうど工場建設の時は新型コロナウイルスが流行っていましたが、何か大きな影響はありましたか?
自分が現地に行って見て決められなかったのが大きいですね。
現地に行けなかったので日本から「この点を確認してほしい」「承諾のサインを貰ってほしい」など色々指示したのですが、やってもらえずに機器に対する保証が変わったり…。
さっきお伝えした通り打ち合わせした内容を文章にしてすぐにサインを貰うようにしてほしいと、ほとんどの社員の前で伝えているんですが…「やったから大丈夫」と言ってて全然大丈夫じゃなかったりしたことがありました。
それが苦労した事ですし、今も苦労している事です。
新型コロナウイルスが無かったら直接行ってサイン貰っていたんですが、当時は国際郵便すら止まっていたので…。

ダイキアクシスインドの今後の展開

インド事業の今後について教えていただけますか?
1つ目の工場は西のエリア、2つ目の工場は北エリアなので南の人たちは一番浄化槽を売ってるにも関わらず常に工場から遠いという問題があります。
浄化槽はやはりサイズが大きいのでどうしても送料の負担も多くなってしまいます。
それを解消出来ればと思っています。
また地域ごとに工場を作ることで地域の雇用も生みますし、税収入が増えれば環境対策に投資出来るお金も増えます。
南は現状民間が多いですが政府向けの事業も増えてきています。
我々が参入できる土壌が出来たところで参入できるとより効果的かなと思っています。

今後もインドでの活躍にご注目ください!


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