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映画感想【BRIGHTBURN】

子供ができず、ずっと苦しんできたトーリ(エリザベス・バンクス)は、母になる日を夢見ていた。ある日、謎めいた男の赤ちゃんの到来でその夢が実現する。聡明で、才能にあふれ、好奇心旺盛な子供ブランドンは、トーリと夫のカイル(デヴィッド・デンマン)にとってかけがえのない存在となった。しかし、12歳になったブランドン(ジャクソン・A・ダン)中に強烈な闇が現れ、トーリは息子に恐ろしい疑いを抱き始める。やがてブランドンは、普通の人が持つ事のない異常な力を発揮し始める。そしてブランドンは、カンザス州・ブライトバーンをとてつもない恐怖に陥れていった───



「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェームズ・ガン制作の「もしスーパーパワーを持った少年が悪の道へ進んだら」と想定された作品で、このスーパーパワー×ホラーがどう合わさるのかとても気になるところでした。

少年の心の変化とスーパーパワーの覚醒が結びついたことでとてつもない悪夢を周りは見ることになりました。

他のスーパーパワーに目覚める作品との違いは使い方の陽か陰じゃないかと思います。陽的な使い方は例えば、火事の中取り残されてしまった人を救出したり、もっと簡単なものだとピザの配達をあっという間に済ませたりと基本的に人の助けに役立てたり、自分が楽するにはと平和な使い方をしますが、今作は陰的使い方です。芝刈り機に手を突っ込んで刃を壊したり、フォークを噛んで変形させたり、基本的に破壊行為が目立つものになっていました。

ですが、スーパーパワーを悪さや破壊行為に使うものを見せるなら、他の作品の悪役となんら変わりはありません。ホラー映画にするにはどこで違いを見せるのか考えた時、その破壊行為を行う動機や使い方の残酷さなのかなと思いました。

12歳を迎え少しづつ自立心が芽生え始めたブランドンは誕生日に叔父から猟銃をプレゼントされますが、父親がそれはまだ早いと取り上げます。その時ブランドンは「よこせ!」と机を強く叩くのですが、その不気味な雰囲気にただの反抗期とは違う事がわかります。

自分というものが確立される経過途中において、自己を否定されることは思春期の子供にとってたまらなく苦痛で、怒りの感情が沸き上がってくるものだったのです。「なんで誰も僕がすごいってことをわかってくれないんだ」と。

墜落した宇宙船からのメッセージにより自分が何をすべきか悟ったブランドンの少年の幼さとそれゆえの迷いのない表情は得体の知れない怖さを出すには十分過ぎるほどでした。

自分を否定する者を次々と手にかけていくブランドンですが、殺した後自分がやった証明を現場に残していきます。これは自分がいかに脅威かを周りに知らしめるための稚拙な理由によるもなのが想像できます。

感情に任せているので人体破壊も派手になっています。猛スピードでただ突っ込み肉片にしたり、何回も床に叩きつけたり容赦なく迷いもありません。

他から見たら理不尽で身勝手で稚拙な理由と、徹底的な破壊行為、その描写の残酷さ。これはホラー以外の何物でもありません。

スーパーパワーミーツホラーという新しい扉はこの「BRIGHTBURN」によって開かれました。

新しいアプローチのホラー体験をぜひとも。

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