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吉祥寺ぶらり旅Vol1

僕は吉祥寺に住んでいる。

狭いアパートにふだんは彼女と同性している。たまに彼女が帰るのがおそい日には一人でふだん行かないお店にいく。

今日はふらっと、吉祥寺南町の地下に入り込んだ居酒屋にはいる。その地下はとても怪しい感じというか、オリエンタルな感じのお店が多いんだけど、その中で唯一居酒屋っぽい店に入った。

中には40-50代のお客さんと、マスターの二人。どうやら一人は常連さんらしい。居心地悪くも、20代前半の僕が入る。どうやらお店は常連さんがほとんどなようだ。

多分マスターは僕を気にかけてくれたんだろう、色々と話をふってくれた。いつから住んでいるのかとか、なんでこのお店に入ったのかとか。

僕は例のように、取り立てて話すコンテンツがない。いつも振られると話に困る。だから、いつもボールを相手に渡してしまう。お店の歴史とか、色々と聞いていた。

そんなことをしていると、常連っぽいふた回り上のお客さんがたくさん入ってきた。マスターは常連さんに話を振る。

僕は人の話を聞いている方が好きらしい。普段は絶対飲まない、いも焼酎の水割りを飲む。他人のとりとめない雑談を聴きながら、しんみりとアルコールをかき入れる。

なぜだろう、お酒を飲んでいる時の、世代が上の人の話を聞くのは楽しい。取り立ててカルチャーを感じるような話ではない。地元の中学校の誰かが今どうしているかとか、最近の飲食経営のとりとめもない話を、いも焼酎片手に聞いているのが、なぜか心地よい。誰かはよくわからないんだけれども。

マスターは一人の人と話している。一緒にきていた別のお客さんは無言で特に何もしない。僕はそのお客さんに「常連なんですか?」と聞く。彼も申し訳程度に返事をしてくれるが、特に話が発展しない。そして彼は電源のある席をずらした。

あぁ。僕は余計なことをしてしまったんだろうか。と、いも焼酎を体に流し込む。ちょっと気まずくなって、またお酒を頼んだ。

そんなことをしているうちに、よく話していた常連さんが席を外す。マスターが気を利かせて、僕に話しかける。「彼は、よくうちにくるんですよ。ゲームが好きなんです。」と。

ゲーム?彼を見ると、もう40代のいいおじさんだ。PCを片手に、PS4のコントローラーを持っている。

なんのゲームをやるんですか?と気になって聞いてみた。すると思っていなかった答えがマスターから。

「彼はTom ClancyシリーズのPS4のオンラインゲームやっているんですよ。僕も好きで、よくゲーマーが集まるんです。クランを組んでたりしてるんですよ。」

そう。Tom Clancyシリーズのシューティングといえば、僕が大好きなゲームシリーズだ。僕の親父はトムクランシーの本を読んでいたり、ゲームを買ってきてくれた。その影響で小学生の頃からゴーストリコンにハマり、中学生の頃はレインボーシックスにはまっている。今はコールオブデューティーをやっているけど、まさかこんな40代、50代のおっさんがやっているとは。

「僕ら、コールオブデューティーみたいに、きょくたんにジャンプできちゃうのは好きじゃなくて。もっとリアルな感じが好きなので、このゲームやっているんですよね」

と。そう、世代は違うけど、その感覚は一緒だよね。と心の中でうなづいた。

僕はフリーランスになってから、そんな1円にもならないFPSをやっているけど、やっぱりすごい好きなので、熱く語ってしまった。

あの時、話を振ってもラリーが続かなかったおじさんは、ヘッドフォンをつけて最初は聞こえていないのかと思っていたけど、その話をし始めてから徐々に僕に視線と笑顔を向けているのを感じた。

僕は、40後半のおじさんが、そういう新しいゲームをやっていたりするのが好きだ。どういうわけか昔から。おいても、新しいことをやっている人は尊敬してしまう。世代を超えて、何か新しいことで接点をもてる人がたまらなく好きなのである。

一人で入った居酒屋で、共有できるトピックで世代を超えられるのは、なぜかとても幸せな気持ちになる。世代を超えて、趣味とかで繋がれる、そういうサードプレイス、今とても大事な気がする。人が幸せになるためには。

そんなこんなしていると、大学時代の先輩から連絡がきて、吉祥寺南口のシーシャ店へ。もちろんふだん僕はタバコも水タバコも吸わない。だけどなんとなく、一回吸った水タバコがもう一度吸いたくなって、行った。

さっきとは違って、下北沢的な、なうでヤングな大学生や同い年ぐらいな人が多い。吉祥寺はそういうところが好きだ。昔ながらの、アンティークが好きなおっさんと、90年代回帰の若者が集まる街。

水タバコを吸いながら、社会人3年目という、人生を色々と考える時期の話を聴きながら、僕は卒業3年たっても相変わらず好きな音楽の話ができる友人がいることが、なんとなく嬉しくなる。

今日お酒を飲みながら書いているこのnoteのお供はNujabesのImaginary Folklore。ふだん機能的なお仕事をしているから、こういうお金にならない、文化的な隙間がとても愛しくなる。

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