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知恵の伝達(ある一族の風習)

 とあるところに賢い民がいた。
 彼らは生きた賢者の脳を取り出して分け合って食べる風習を持っていた。これにより賢者の知恵を分かち合うことができると信じていた。
 あるとき非常に聡明な青年が生まれた。彼は研鑽を重ねながら育ち、大賢人となった。
 賢人は、他人の脳を食べても知識の伝達は行えないことを、科学的に解明した。
 そしてそれを人々に対し明快に伝えた。
 人々は新たな真理に感嘆し、改めて大賢人の英知を褒め称えた。
 そして大賢人の体を祭壇に運び、その脳を取り出して、皆で分けて食べたのであった。

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