小説「考えるサメ」
サメは考えた。
なんでお腹が減るのかと。
基本的にサメは考えないので、考えるサメは初めてであった。
サメは思った。目の前に獲物がいるからでだと。
ということで、目の前の獲物を片っ端から食べてしまって、そうしたらどうなるかと思った。
サメは来る日も来る日も、目の前の獲物を食べ続けた。しかし、獲物は無尽蔵におり、食べ尽くしたらどうなるかという結論には至らないのであった。
つまり、サメはただのサメのままであった。
誰も、それが考えることができる賢いサメであるとは思わなかった。
人間界もおんなじで、人よりがんばっているし、人より賢い人というのは、突如現れて世界を変える可能性だってはらんでいるはずなのである。
でも、大概は世情に埋もれて芽が出ない。
そんなもんである。
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