見出し画像

音楽の原風景 〜その9〜

さて今回紹介するバンドはDark tranquilityだ。アルバムは5th『HAVEN』。

画像1

実は初めて買ったヘヴィメタルのアルバムはこの一枚なのだ。同時に以前の記事で触れたスレイヤーのスプリットを買っているがそこにある「安かった」はこれを買っていたのもあったからだ。

↑↑↑↑↑↑↑当該記事↑↑↑↑↑↑↑

比較的有名なバンドではあるが正直一線級とは言いにくい。というのはなぜか対バン相手に恵まれず、タイミングも悪いのだ。

この当時飛ぶ鳥を落とす勢いのChildren of bodomと彼らの4thアルバム『Follow the reaper』に伴うカップリングツアーを行った。そのライブを見るために買ったのだが、前座扱いのチルボド(個人的にはボドムと呼んでいる)の若さと勢いに圧倒され、その前後はSoilworkとの対バンで初回はメインアクトだったのにヴォーカルの突然の路線変更(後に無かったことになる)、2回目はスペシャルアクトという扱いだったが脂の乗ったソイルワークの勢いがすごかったこともあり鳴かず飛ばずが続くのである。

メンバーもなかなか固定せず顕著な活動が出来なかったこともあるが、この次のアルバム『Damage done』ではついにメロディックデスメタルの雄としてついに目覚めを果たしたのである。そもそもスウェーデンのイエテボリというメロデスのメッカの出自で、ヴォーカルのミカエルスタンネは昔In flamesに在籍していたり逆にIn flamesのヴォーカル、アンダースフリーデンが過去に在籍していたり、現ベーシストのアンダースイワースの弟はIn flamesに在籍していたピーターイワースだったり自身も在籍していたりなにかと縁が深いバンドなので潜在能力は高く、3rdアルバムの『The gallery』の一曲目「Punish my heaven」はメロディックデスメタルの名曲として名高いし、EP「Of chaos and eternal night」に収録されたタイトルトラックは古臭くはあるが変拍子も混ざり合い個人的な評価も高い。

この数年後やっっっっっっっと単独での来日公演を果たしたのだがメンバーの固定しない事情は今も解消されていない。だがしかし今年の春に朗報がありこのバンドに同じデスメタルの旗手Arch enemyの血が入ったのだ!

長年ギタリスト、そしてアルバムのアートワークに携わってきた二クラススンディンが離脱するのは痛いがこのメンバー交代はとても期待が持てる編成だ!!Arch enemyに関しては今後記事にする予定なのでそれを待ってもらうとして取り上げたアルバムについて触れようと思う。

このアルバムは正直速くもないし音数が多いわけでもない。しかし北欧メタルならではなエッセンスは存分に練り込まれているアルバムだと思っている。テンポは全体的に遅いが重く湿り気を帯びた耽美な空気感、濁って粘り気はあるがキレのある爽快なヴォーカルラインは荒涼で晴れることのない雪の降り積もる灰色の大地を思わせる。このアルバムからバンドに参加したキーボードの効果も大きいだろう。ライブ映えはしないが聴いてて素直に耳に入っていく感覚はとても心地よく、荘厳でありながら冷たく無機質な音だからこそ映えるミカエルの慟哭のような声は心に悲しみを訴えかけてくるような感覚さえ覚える。部屋のBGMとしてはもちろん、入門編としても素敵なアルバムでシングルモルトのウイスキーをタバコを燻らせながらロックで味わいつつ聴きたくなる一枚だ。


【次回予告】

Arch enemy、そしてBlack earth

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?