舞台『ギアイースト』

表題は僕がよく観にいくでんぱ組.incの推しメンである藤咲彩音さんが不定期ではあるがかなりの頻度で出演している舞台である。

本当は『ギア-GEAR-』East Versionと言うのだが長ったらしいので簡略化のためと、ツイートの「#ギアイースト」でツイートをしているので京都ギアとの差別化のためにこの呼び名とする。

詳しくは公式HPを見ていただくとして(https://portsquare.jp/portcircle/geareast/)、どうやら今日、3/9の夜公演の観劇を以って自身80回目の観覧となったので、ここで個人的に感じた魅力などをご紹介しようと思う。

なんでそんな回数同じ舞台を見ているんだ、という考えを持つだろうと思う。実際僕は交友関係の都合もあり他の舞台も結構な数観るのだが基本同じキャストの複数回公演なら二回まで、それも初日と千秋楽に限っている。シャッフルキャストなら目当てのキャストの力の入れている役柄や演じているのを見たい役柄の公演、と決めているのだがそれがギアイーストには全く当てはまらないのだ。この見方にはまた別に考えがあってのことなのでここでは触れないでおく。

まず千秋楽というものが現在存在しないのである。これは2017.12.23の初演より幾度も公演延長を重ね今月23日の公演で1年3カ月のロングランを達成し(ちなみに本日終了時点で総公演数417回)、更に6月いっぱいまでの延長も決定しているほどなのだ。もっと言えば京都ギアは2500回の公演を突破しているモンスター興行なのである。専用劇場を持つそれと言えば劇◯四季の諸公演、ライブ公演なら秋葉原のAK◯の諸公演が頭に浮かぶが、いかんせん「わぁるどわいどうぇぶにブッ放す個人的所感」なのでなにか他にもあったらコメントなどでご教授願いたい。話題が逸れたが、それだけの公演数を重ねられるところに秘密があると考える。

この興行はキャストがドール役1人、ロボロイド役4人の計5人で構成されている。ただその役柄一人一人に複数の担当キャストがいるのだ。ギアイーストだけでドール役は計4人、それがロボロイドに至っては1つの役(赤、青、黄、緑の4つある)についての複数人いるのだ。そして京都からも特別出演という形で出演することもあるので、組み合わせとしては無尽蔵の可能性を秘めている。また各ロボロイドのキャストは全て各界のトップパフォーマーが名を連ねているので、それぞれソロパートの内容が違うのである。その組み合わせの可能性がこのロングランを飽きさせず続いているひとつだと考える。

そしてこれだけ公演数を重ねているにも関わらず、脚本はひとつなのである。よく分岐点がいくつか設けられエンディングがいくつかある舞台が存在する。それは複数回観ないと舞台の全容を理解するためには必要になってくるがそれが存在しない。ただ毎回同じシナリオなのである。だが複数回見たくなりリピーターとなっていくのはキャストが毎回違うことがひとつというのは前項で述べたが、そのキャストさんがそれぞれシナリオに対する理解を深め公演中のシナリオ上の動きはもちろんアドリブや表情の変化、組み合わせの違う5人のキャスト同士の雰囲気が産み出す相乗効果の多様性や、同じパートの他のキャストさんから受ける化学反応などもそれぞれ魅力である。僕は藤咲彩音さんを中心に見ているが彩音さん個人に関しても最近だと京都ギアの兵頭祐香さんからの影響を受けているのは如実に感じるポイントであり、更に言えば昨日観劇した夜公演と比べても雲泥の差(公演内容の良し悪しではなく)を感じるほどである。これがキャストとして名を連ねている全ての方に当てはまると思うと無限の可能性を秘めているのは言うまでもない。

また、舞台によくあるアンケートだがこちらを終演後にキャストの皆さんで見て変えていく『フィードバック』の存在が大きいのもポイントだと思う。公式ホームページ内スタッフ紹介の演出家の名前が「オン・キャクヨウ」となっている。これは漢字で書くと「御客様」となり、観劇した人が演出家になるのである。その演出家の感想をキャストの皆さんで咀嚼し次の公演に取り入れ活かしていくサイクルが幾度も観劇を重ねてもリピーターには鮮度を保ったまま飽きさせず楽しめ、初見でもポテンシャルの高いコンテンツとして楽しめるのだろう。聞いた話だと、劇場の座席の下にある荷物置きのバスケットはそのアンケートからの提案だそうだ。気付かずに反映されていることも多々あるのだろうと思う。

ノンバーバルというあまり聞き慣れない単語ではあり会話の無い舞台ではあるが、光や音響といった最新鋭の技術を駆使した演出の数々やキャストさんの多彩な表情や動きで感情やストーリーを紐解きシナリオに対する理解を深めるのも一興、無言劇だからこそ感覚を鋭敏に研ぎ澄ますことで楽しめる世界をまず一度、そして二度三度と観劇数を重ね初見との違いを確かめるのも一興、複数見ることでキャストさん各々の深化や笑いや小ネタの詰まったアドリブやキャストさん同士の化学反応を味わうのも一興。


きっかけは星の数あれど推し補正を抜きにしてでも藤咲彩音を知る人は一見の価値のある、そして現在進行形の彼女を深く理解できる舞台だと言えるエンターテイメント。


それがギアイーストであると僕は考える。














要はみんな一度ならず二度三度観に行ってみてね、ということ。ちゃんちゃん。

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