財産債務調書と国外財産調書
1.財産債務調書制度の概要
令和5年分の財産債務調書から提出義務者の範囲の拡大、提出期限の見直し等が行われています。
一定以上の所得や財産がある個人の方は、12月31日時点での財産の種類、
用途、所在、数量、価額並びに債務の金額等を記載した財産債務調書を、翌年6月30日(改正前は3月15日)までに所得税の納税地等の所轄税務署に提出しなければなりません。提出しなければならない人は次のいずれかに該当する人です。改正で(2)が追加になりました。
※ 相続開始年分の財産債務調書は、相続又は遺贈により取得した財産債務を記載しないで提出することができます。
※ 300万円未満(改正前は100万円未満)の家庭用動産や事業用の未収入金、借入金や未払金等は記載を簡略化することができます。又、50万円未満の預貯金は預入高の記載を省略することができます。
※ 財産の価額は12月31日における「時価」又は時価に準ずる「見積価額」です。
2.財産債務調書制度における過少申告加算税等の特例
① 財産債務調書を提出期限内に提出しておけば、財産債務調書に記載がある財産又は債務に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、その財産又は債務に係る過少申告加算税等が5%軽減されます。
② 財産債務調書を提出期限内に提出しなかった、あるいは内容が不十分である場合、その財産又は債務に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、その財産又は債務に係る過少申告加算税等が5%加重されます。
3.国外財産調書制度の概要
居住者で、12月31日において5000万円を超える、12月31日時点での財産の種類、用途、所在、数量、価額並びに債務の金額等を記載した財産債務調書を、翌年6月30日(改正前は3月15日)までに所得税の納税地等の所轄税務署に提出しなければなりません。
記載事項は財産債務調書と変わりがありませんが、国外財産に係る事項については「種類別」「用途別」(一般用及び事業用の別)及び「所在別」に記載する必要があります。
財産の価額は12月31日における「時価」又は時価に準ずる「見積価額」ですが、外貨で表示されている国外財産の邦貨換算は、同日における外国為替の売買相場により行います。
4.国外財産調書制度における過少申告加算税等の特例と罰則
国外財産調書についても、過少申告加算税等の特例は財産債務調書と同じですが、国外財産調書には罰則があります。①偽りの記載をして国外財産調書に提出した場合又は②国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。②については、情状により、刑を免除することができるとされています。
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