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税理士の先生が知っておきたい雇用をめぐる最近の法律問題 #19 個人情報保護法(1)

 社会全体で「プライバシー」という意識が高まる中で、個人情報の取扱い
に対する社会の関心は高まっています。この連載では税理士の先生方にもぜ
ひ知っておいていただきたい、個人情報保護法を取り上げていきます。


1 個人情報とは?

 個人情報保護法では、「個人情報」について「生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できる情報」として定義されています。これは、その情報単体で個人を識別できる場合はもちろん(例えば氏名や顔写真などは単体で個人を識別できます)、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができる点も含まれます。
 このほか、番号、記号、符号などで、その情報単体から特定の個人を識別できる情報で、政令・規則で定められたものを「個人識別符号」といいます。個人識別符号が含まれる情報も個人情報とされています。

 具体例の方がイメージしやすいかと思いますが、例えば、次のようなものです。

(1)身体の一部の特徴を電子処理のために変換した符号
顔認証データ、指紋認証データ、虹彩、声紋、歩行の態様、手指の静脈、
掌紋などのデータ
(2)サービス利用や書類において利用者ごとに割り振られる符号
パスポート番号、基礎年金番号、運転免許証番号、住民票コード、マイ
ナンバー、保険者番号など

2 メールアドレスは個人情報か?

 個人情報については上記のとおり、特定の個人を識別できる情報である必要があります。よく例として出されるのがメールアドレスは個人情報か?という問題です。これも、個人を識別できるか否かで結論が変わります。
 例えば、メールアドレスが taro-yamada@horizon-law.co.jp といったような場合、ユーザー名やドメイン名から、山田太郎という特定の人物が特定されるため、メールアドレスそれ自体が単体で個人情報に該当します。
 他方で、例えばメールアドレスのユーザー名が乱数であるような場合、メールアドレス単体では個人情報には当たりません。ただ、先ほど述べたとおり、他の情報と容易に照合でき、それによって特定の個人を識別できる場合は個人情報に当たります。

3 要配慮個人情報とは?

 個人情報の中でもう一つ、要配慮個人情報と定義されているものがあります。これは、他人に公開されることで、本人が不当な差別や偏見などの不利益を被らないようにその取扱いに特に配慮すべき情報です。
 例えば、人種や信条、病歴や犯罪歴の他、身体障害、精神障害などの情報、健康診断や診療・調剤情報といった個人情報は、「要配慮個人情報」として、取扱いに特に配慮する必要があります。

4 まとめ

 以上のような個人情報について、個人情報保護法ではその取り扱いに関するルールが決められています。次回以降、実際の例をもとに注意すべき点をご説明していきたいと思います。

【執筆者プロフィール】
弁護士 高井 重憲(たかい しげのり)
ホライズンパートナーズ法律事務所
平成16年 弁護士登録。
『税理士のための会社法務マニュアル』『裁判員制度と企業対応』『知らなかったでは済まされない!税理士事務所の集客・営業活動をめぐる法的トラブルQ&A』(すべて第一法規) 等、数々の執筆・講演を行い精力的に活躍中。

第一法規「税理士のためのメールマガジン」2024年7月号より

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