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まっちゃんのお話 第17〜19話

▼まっちゃんのお話 ひとつ前のお話▼

●まっちゃんのお話 第17話

様子がおかしいまっちゃんの家を一度出て、
区役所の担当CW(ケースワーカー)に報告の電話を入れました。

間も無く閉庁時間だったにも関わらず、
すぐにまっちゃんの家まで来てくれることになりました。

CWと僕(とCWの上司)、でまっちゃんに話しかけます。
入院して欲しいと何度もお願いしました。
「大丈夫」と拒みます。

二人で何度もお願いし続けました。
その結果、「わかった入院する」と同意してくれました。

その場ですぐに119に通報し、救急車を呼びました。

しかし、救急隊員がまっちゃんをストレッチャーに乗せようと体を持った瞬間に、
救急隊員を拒む動きを見せ、搬送を拒否しました。
再び意識も朦朧としている様子でよく理解できない言葉を発していました。

僕とCWとで先ほど約束したことを伝えると、少し落ち着いた状態になり、
救急車に移送することができました。

僕はそのまま救急車に乗り込みました。

●まっちゃんのお話 第18話

釜ヶ崎でお馴染みのA病院に搬送されました。

すると、新たな事実が発覚します。
昨日もまっちゃんはこの病院に救急搬送されていたのです。
すぐ近くにあるファミリーマートにいたことも納得できる。
しかし、歩けない・携帯電話を持っていない、まっちゃんがどうやって119に連絡したかはわかりません。
(この話はまた後ほど)

医師に僕から状況を説明した結果、脳をCTで見てくれることになりました。
対応は丁寧でした。

その間もまっちゃんは、
「こばやしさぁん!!」と何度も叫んでいました。
自分の状況が理解できていないのか、何度も叫んでいました。
その度に「ここにおるで」と伝えました。

CTの結果、頭部に出血が見られました。
この病院では脳外科がないため、住之江区の病院に再度救急搬送されることになりました。

この住之江の病院はとてもきれいな病院でした。
そのせいか知らないが、明らかに見た目が汚れているまっちゃんに対してすごく対応が悪いように感じました。
「おそらく明日には止まってると思うから、今日入院して明日CT撮って血が止まってたらA病院にまた戻す」と医師に言われ、
僕は帰ることになりました。
転院する場合は連絡が欲しい旨を伝えて名刺を渡しましたが、
一切連絡のないままA病院に翌日戻されていました。

昨日の謎の救急搬送について。
予想通り、家主が119通報していたことが判明しました。
最初はシラを切っていたのですが、追及すると認めました。
脱水症状を心配して通報したとのこと。
それは構わないんだけど、搬送させるだけして、そこで終わったことが問題でした。
まっちゃんは早々に病院から出されたのですが、如何せん歩けない状態です。

予想ではありますが、歩けなくなって、すぐ近くにあったファミリーマートで時間を潰していたのでしょうか。
そして、脳内の出血に関しては、
途中歩いているときに転倒したか、警察が来てから何かあったか。
だけど、もう確認するすべもありません。

●まっちゃんのお話 第19話

A病院で入院することになりました。

「外傷性硬膜化出血」だったそうです。

見舞いに行っても、まっちゃんとはもう会話をすることができませんでした。
呼び掛けても応答がありません。

こども夜まわりでまっちゃんと関わりのあった、
僕の古巣の山王こどもセンターの職員たちにも伝え、みんなお見舞いに行ってくれました。

一度だけこどもセンターの職員が見舞いに行ったときに、
言葉でのコミュニケーションが取れたらしいのですが、
それ以外では喋ることはありませんでした。

入院して2週間くらい経って、
看護師さんから「いつどうなってもおかしくない状況」と言われました。

(続く)

▼次のお話▼


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