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天国と地獄の長いスプーン

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むかし、ある男が閻魔大王に会いに行き、天国と地獄というのはどういう世界なのか尋ねました。すると、閻魔大王は男に天国と地獄の様子をそれぞれ見せてくれました。

まずは地獄を見てみました。

すると、予想とは大違い!
地獄のテーブルの上には、なんとおいしそうなご馳走がいっぱい!

ところが、人々はガリガリに痩せて、目は血走り、
互いを押し合い、ののしり合うという狂気の沙汰。
どうして神は、自分たちをこんなひどい目に合わせるのだと、神を呪ってばかり。

よく見ると、彼らは自分が座っている椅子に片腕を縛られ、
もう一つの手には、腕よりも長い柄のスプーンがくくりつけられていたのです。
それが理由で、目の前にご馳走が並んでいても、
スプーンを自分の口に持っていくことができず、気も狂わんばかりになっていたのです。

目の前に欲しいもの、必要なものがあるのに、何も得られない。
なんという地獄の情景でしょうか・・・。

今度は、天国を覗いて見ることにしました。

すると、またまた、びっくり!
天国でも、同じく人々の腕は椅子に縛られ、
片手には同じ長いスプーンがくくりつけられていたのです。

ところが、不思議なことに、人々は飢えてはいませんでした。
皆ほがらかにテーブルを囲み、和気あいあいと食事をしています。

でも、どうやって?

じっくり見ていると、人々は長いスプーンで互いに食べさせていたのです。
自分の口には持っていけなくても、誰かに食べさせてあげることはできるのです。

でも、それって簡単ではないこと知っていましたか?
他人に食べさせるとなると、食べるペースが分からなかったり、
うまく口に入らずこぼれてしまったり、
それに、何をいつ食べるかの好みやタイミングも難しいものです。

でも、天国に住む人たちは、そのようなことにはこだわらず、
小さなミスとして互いに笑い飛ばし、何とも楽しげに食事をしていたのです。

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自分の必要だけを考えていた人たちは、結局、何も得られず、
互いに助け合うことを決めた人たちは、豊かに満たされる。



そう言えば、東日本大震災の時にも
被災地の日本人が互いに助け合い、秩序を保って生きている姿を見て、海外からも驚嘆と尊敬の声が集まりましたね。


現在、なぜか人間同士がファイティングポーズをとっているような場面が見受けられます。

見えない未知のものに対する恐怖や不安は募るばかりで、ついついマイナスな方向に心が引っ張られてしまうひとも多いのではないでしょうか。

そんなときでも、この「天国と地獄の長いスプーン」でも語られている本質を

見失わないことを願うばかりです。


Daigo


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