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大吟醸トラベル

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そういえば昔、旅をして文章を書く人になりたいと思ってた。◆旅のGoogle My Mapはこちら、 https://www.google.com/maps/d/u/2/edit?… もっと読む
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記事一覧

62:ヴェネツィアで出会った大阪人とまずいパン

 私はルキノ ヴィスコンティが好きでヴェネツィアと言えば『ベニスに死す』なんだけど、そういえばあのビーチはどこにあるんだろう。  ヴェネツィアでは同世代の日本人によく会った。人気の観光地だからかな。北のほうのヨーロッパでは誰にも会わなかったのに。  日本で住んでいる場所も違うし、旅のルートが違うこともあって、話がはずむ。雑貨や小物を目当てに旅をしている子、サッカー観戦を楽しみに来た子。美しかった街や怖い体験談。誰かが確かモロッコで、星空を眺めながら眠ったという思い出話にう

62:ヴェネツィアの眼鏡店の父娘

 旅行先では出会う人で印象的な人は多い。今日はそんなうちのひと組の話。  今のことはわからないけど、ヴェネツィアのお店はどれも小さくて、個人経営のお店が多いイメージだった。ヴェネチアングラスとか個性的な物を売っている感じ。お土産を買いながら、見て歩くだけでも楽しかった。  私たちは一軒のメガネショップに入った。今考えるとなぜ入ったのかわからない。そして、またしてもなぜかサングラスを買った。なんでだろう。  買ったサングラスをケースに入れてバッグに入れてしてくれる時、お店

58:スキーをしながら見下ろしたツェルマットの街

 スキー場の匂いが好き。木と水分が合わさった、しっとりと落ち着いた空気に満ちてるから。  スキーで好きなのは、斜面を滑り降りる時に自然と一体になっている気がするから。おごりで構わない。山頂に立った時、カーブを曲がった時に見える街の景色も好き。この街でも、そうした忘れられない景色があった。  スキーの道具は持って行ってなかったから、全部借りた。ウェアも含めて一万円くらいだった気がする。ツェルマットのスキー場は最初にゴンドラに乗って、一気に上がるタイプ。そこにレストランと大中

58:マッターホルンがすぐそこだったツェルマット

 スイスでツェルマットに行ったのも思いつきだった。  チューリヒやベルンなどに行ってみたけど、もともと人口も少なく落ち着いた印象のスイス、しかも冬だったからさらにヒマに感じた。学生だったし。  そんな時、駅でスキーウェアとスキーブーツのまま、バックパックの両サイドに一本ずつスキー板をぶっ刺して電車に乗り込む地元民を見た。スキーしようか?どこがいいのかな?インターラーケンなら知っていた。でも、せっかくスイスだから、ついでにいかにもなマッターホルンを見ようか。そんな乗りで出発

62:ヴェネツィアへ渡る橋は千と千尋の電車だ

 いつか海に沈む街。そんな風に表現されるヴェネツィアだけど、本当の本当にロマンチックだと思う。あんな超がつく観光地で混み混みなのに、不思議と作り物っぽさが薄い。なんでだろうなーと思い出している。  ヴェネツィアについて思い出すことはたくさんあるのだけど、最初にギョッとしたのはヴェネツィアに入るために渡った橋だった。  ヴェネツィアは小さな島の上にある都市なのだけど、今は橋が架けられ車や電車で渡ることができる。私たちは電車だった。その時に見た光景は、今思えば『千と千尋の神隠

61:ヴェローナは恋の街

 ベローナ?ヴェローナ?この街を訪れた理由は、ガチで途中下車の旅だった。  寄る予定はなかったのに、ミラノからヴェネツィアに行く途中、ガイドブックを読んで気になった。『ロミオとジュリエット』の街らしい。でもシェイクスピアは一度もこの地に来たことはないらしい。そういうの好き。作家の想像というか妄想力を知ることができるから。  でも着くなりいきなり感動した。街を歩いていたら大きな砦が見えたから。ずっとつながっていて高さがあったから砦か城壁かと思ったんだけど、実際のそれは闘技場

64:“スリバス”に乗ってバチカンへ

 ローマは古くて美しい街だけど、失笑してしまいそうなこともいくつかあった。人の行動がいちいちおもしろい。関西人みたいな性質なのかな。  ローマはこの時が初めてだったから、当然バチカン市国にも行こうとした。すると、ホテルの人や会う人に必ず言われた。 「スリバスには気をつけて!」  泊まっていたローマ駅の近くのホテルからバチカンまでは、駅前のバスターミナルから一本で行けた。乗車時間もたいしたことない。だけど、そのバスではスリ被害に遭う人が多いため、“スリバス”と呼ばれている

63:ローマは今でも古代ローマの匂いがする

ローマのことを考えた。なんでだろう。  “すべての道はローマに通ず”という有名な言葉を知った時は、まだローマを紙の上でしか知らなかった。だから「結構なことを言うね」と思っていた。だって遺跡なんて日本にもある。だけど、実際に街を歩いてみたらやばかった。  そこら中にある遺跡は、そのどれもが巨大。その前に街も広大だった。観光客もたくさんいるんだけど、遺跡の大きさに比べたら人なんて皆アリレベル。ちっぽけだった。  目の前にコロッセが見えた時の半端ないワクワクは今でも忘れられな

57:インスブルグで人生最大直径の雪を見た

どこへ行く時にこの街を通ったのか忘れてしまった。とくかく、季節は真冬で天候か車輌の故障か何かでオーストリアのインスブルグという駅に足止めされてしまったことがある。海外ではこういう想定外がよく起こる。日本がすごいんだろうな。  いつものことながら、土地のことを事前に全然調べていない私。どうやらこの辺りは寒さが厳しいよう。確かに気温が低いのだけど、雪の振り方はもっとすごかった。  大福と書いては見たものの、正確にはひとつの雪の塊が大福二個分くらいあった。あの後、結構な豪雪地帯

大吟醸トラベル始めました!

 自由に旅をできなくなってしまった、このコロナの日々。  家の掃除をしまくる間に旅の断片がたくさん出てきて、そういえば昔々“旅をして文章を書く人になりたい”と考えていたことを思い出した。  昔は文を書くなんて限られた人だけができることだったけど、今では文も写真も絵もマンガも動画も作りたい人が作って好き放題公開できる時代。私もできるんじゃない?と思ってしまった。  Google My Mapに印象的な思い出のある場所に印をつけてみたら、100個くらいあった。それに、行っ