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書生絣で大正風シャツ着物コーデ

 今日は久しぶりに黒の書生絣を着ました。
 せっかく書生絣なので、中に白いシャツを着て大正風な感じにしてみました。

 本当はというか、よく見るのはこの普通の襟のシャツではなくて、スタンドカラーというか襟なしのシャツです。
 さらに袴をはくと一気に書生っぽいというか太正浪漫的な感じになりますね

 羽織はデニムのにしてみました。あえて羽織紐はないほうがいい感じですね。
 これも、羽織よりマントコートが合いそうなので、しばらくきていないトンビコート出そうかと思いましたが、今日もうすごい暖かかったのでやめました。
 また、履き物も草履ではなくブーツにしてなりきってみました。


 この格好で外出して買い物に行ったりしました。
 体感ですが、普通の着物を着ている時に比べると、かなりな勢いで不審な顔をされたり二度見されたりする気がします。
 やっぱり、ただの着物だと、「そういう仕事関係の人かな」くらいで気にもとめないのが、シャツ着るだけで一気に「なりきってる痛いヤツ」感というか、コスプレ風味が出てきてしまうからかもしれません。
 確かに、普通に和装の女性を見かけても特に何も思いませんが、明らかに卒業式ではない年恰好の人が急に袴姿だと一瞬「?」って思いますものね。


 この書生絣は通販で買ったアンティークものです。時代はわかりませんが、だいぶ古そう。通販で中古という時点でお察しの通り、失敗してもいい程度には安く買いました。

 アンティークの着物は雰囲気もあっていいのですが、それなりに注意点もありまして、まず一番は「破れやすい」ということです。
 布自体もですが、糸がもう古くなってしまっているので、ちょっとしたことですぐに破れます。
 ちょっとかがんだ時にお尻のところがとか、袂を引っ掛けてとか、手を伸ばして脇のところがとか、現代のジャージやスウェットがいかに優れているかというのを思い知るくらいに、割とすぐに痛みます。おかげで自分もそういうちょっとした修正の裁縫が上手くなりました。

 あと、同じ着丈でも、全体的に小ぶりというか、着た感じのシルエットが小さめにできています。この書生絣も、着丈は問題ないし、数字上は他の着物と同じなのですが、袖やたもとの作りや着てみた雰囲気がにちょっと小さめに見えますね。

 でもそれ以外は着ていてもあんまり問題ないです。和服ってほんと長く着ることができる服ですよね。構造が単純だからかしら。
 素材で言うと、この書生絣は多分木綿で、ちょっと生地感が古くなってしまっています。これに比べると、絹(正絹)の着物の方が古くてもあんまり着ていて古さを感じないです。

 また、別のアンティークの特徴として、もちろんやっぱり言っても古着ですし、これまで使ってきた方々の着倒した感や生活感の跡が残るものも多いので、いわゆる怨念的なものが気になる方は、まぁやっぱり気になっちゃうかもしれません。自分が持っている古い黒の羽織にも、どうみても「血のりのあと」みたいなシミが背中から肩口のそこかしこについているのがありますが(不思議なことに買う時には気づかなかったんですよね…)、今のところ特に呪われたような出来事が起きたりはしていないので、いいことにしています。


 明治・大正時代くらいの映像や写真を見ると、こんな感じで着物+シャツの人をよくみます。こんなふうにシャツの人もいれば、Tシャツっぽい丸首のものを中に来ている人も多いですね。あれなんなんでしょう。ステテコシャツみたいなやつなのかな。あとだいたいみんな帽子をかぶっていますね。

 どちらにしても、今までずっと習慣的に着てきたものに、新しい習慣が加わっている過渡期みたいな服装ですごく興味深いですよね。
 だって、襦袢+着物の文化に、シャツ+ジャケットの文化が合わさって、着物+シャツですよ。そんなことなら全部洋装に変えちゃえばいいのに、なかなか一気に変わらない、結果その時代を表すような面白いものができて、様式美として今に伝わる。なんていうか、掛け合わせるものとできたものが奇跡みたいなバランスだと思います。

 ちなみにですが、今の日本も、オフィスではみんなすっかりノーネクタイになりましたよね。
 本来ネクタイ+シャツ+ジャケットだったものが、CO2削減という全然違う目的のためにネクタイだけがなくなって、シャツ+ジャケットになりました。
 これだって、目的がそうならもうジャケットだって着る必要ないし、仕事なんか普段着でいいんじゃないかって思うんですが、そこは頑なにジャケットとシャツを着続けています。
 ただこれも、同じように過渡期の服装で、もう数年とか数十年もしたら、普段着でオフィスに来るのが普通になるのかとも想像しています(実際そういう会社もう多いですよね)。
そして100年も経つと、「あえてノーネクタイ」で令和時代コスプレみたいな、そんな時代も来るのかしら。

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