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家の焼肉問題

 ある程度子供も大きくなってくると、家のごはんで焼肉、という機会も多くなってくると思う。おいしいし、ボリュームもあるし、なにより準備が楽だ。
 ただ、どうしても焼肉は、家と店で圧倒的なクオリティの差が出てしまう料理である。むしろ、「家焼肉と店焼肉は別物」と思っている方も多いのではないだろうか。

 やっぱり、家のホットプレートと網焼きの差がなんといっても大きい。ホットプレートで肉を焼くと、肉の脂がどんどんプレートに溜まってきてしまうし、一緒に焼いた野菜の水分も一緒になってしまうので、なんだか焼いているんだか煮てるんだかわからないような状態になってしまう。
 それでもまあおいしいはおいしいけど、それはもはや焼肉というカテゴリーではない気もするし、せっかく良いめの肉を買ってきてもそのポテンシャルを発揮できないまま終わらせてしまっているような気がしてしまう。

 我が家では、この状況がイワタニの「やきまるくん」という焼肉専用カセットコンロを購入してから劇的に改善した。正式名称は「やきまる」だが、我が家では愛着を持ってやきまるくんとよんでいる。

 これが、おどろくほど圧倒的においしく肉を焼くことができる。正直、焼肉以外には使えないので、いわゆる鍋用のカセットコンロ、ホットプレートに加えてやきまるくんを迎え入れるのはキッチンスペース的にはかなり圧迫するが、いやそんなの関係ない、我が家にやってきて以降やきまるくんは他のコンロ類を差し置いてものすごい稼働率で活躍している。もはややきまるくんなしの食生活は考えられないほどである。

 やきまるくんの1番の特徴はスモークレスと銘打っているように、煙があまり出ないことだ。肉の脂が鉄板の穴から下に落ちて、落ちたところに水がはってあるので煙が出ないという仕組みである。
 ただそれ以上に、なんといっても肉をおいしく焼くことができる。直火で鉄板を熱しているので、ほぼほぼ焼いているのと同じような焼き上がりを楽しむことができるのだ。さすがに炭火焼きと同じかというと語弊があるが、でも少なくともホットプレートとは全く違う。野菜を一緒に焼いても水が混ざってしまうこともない。いい肉を普通においしく食べることができるだけで十分である。

 というわけで、やきまるくんがやってきたおかげで我が家の焼肉環境は革命的に改善されたわけだが、次に自分が手をつけたくなったのは焼肉のたれ問題である。

 これはわかっていただける方も多いと思うのだが、いわゆるスーパーで売っている家庭用の「焼肉のたれ」は、焼肉店のものとは別物である・・・と感じている方も多いのではないだろうか。
 あの、適度に増粘多糖類の粘り気を含んだ焼肉のたれは、もちろんおいしいのだが、あれは「焼肉のたれ」ではないのでは。あれはどっちかというとバーベキューソースに近いのでは、とかねてより思っていた。むしろ、炒め物とかのソースにした方がおいしい気がする。
 むしろ、焼肉の場合はあの甘めの濃い味とねばりはやや主張が強すぎるように感じるようになった。特にやきまるくんを導入して肉をおいしく焼けるようになってからは尚更である。
 なのでそのうち、市販の焼肉のたれではなく、ポン酢やレモンで焼肉の肉を食べるようになった。まだそっちのほうが肉をおいしく食べられるような気がしたからである。
 しかし、そもそも焼肉店のたれというものがこの世の中に現に実在しているんだから、ある程度シミュレートすることができるのではないかと思い、「焼肉のたれ」でレシピ検索して作ってみることにした。
 これであった。
 いやなぜ、今までの人生で焼肉のたれを自作してみようと思いたたなかったのか。自分の迂闊さを心から反省である。焼肉のたれを自分で作る、こんな簡単なことで、これまでとは全く違う焼肉人生を歩むことができるのだ。
 本格的に作ろうと思うともちろん野菜や果物をすりおろして煮込んで、という手間が必要だが、我々は何も店を出そうとしているわけではないのだ。
 せめて普通に焼肉らしく味わうためのたれなら、下記で充分である。

:しょうゆ
:酒
:砂糖
:すりおろしにんにく(チューブでOK)
1.これらそれぞれ適量をレンジで少し温めて混ぜる
2.ちょっとごま油で風味づけ、炒りごまをトッピング

 どうだろうか、基本ただ混ぜるだけなのだから、所要時間だってものの数分である。醤油と酒と砂糖とにんにくがあればあとはお好みでみりんやだし、めんつゆやしょうがをいれてもなんでもOKだ。
 初めてこれで焼肉を食べてみた時は感動した。ぜんぜんこれじゃんか。今までのはなんだったんだ。

 よく、焼肉のこつ的な情報をネットで検索すると、やれ前日から肉を漬け込むだのりんごをすりおろしてどうこう、肉は専門店で部位を厳選など、とてもじゃないが常人には実行不可能なことばかり書いてある。そんなハイレベルなことは求めていないのである。繰り返すが、店を開きたいわけじゃない。せめて少しでも家でおいしく焼肉をしたいだけなのだ。

 あくまで自分にとってはだが、
  1.やきまるくんを導入
  2.焼肉のたれを自作
 これだけでだいぶ家の焼肉状況を改善することができた。

 正直、やきまるくんにかかる投資も大したことないので、もしまだ未体験ならぜひ試してみていただきたい。
 もちろん、比べてしまえばお店で食べる焼肉の方が全然おいしいけれど、手軽さとかかるコストとのバランスで言えば、まちがいなく家の焼肉が従来よりも満足できるようになります。

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