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晴読雨読

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晴レノ日モ雨ノ日モ、私ハ本ヲ読ム
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2021年6月の記事一覧

シエラレオネの祈り(後編)

<前書き> 今回の記事は「戦争」について触れています。この手の話が苦手な方は、後ろを振り返らずに、そっと記事を閉じていただければと思います。またあくまで私が読んだ本を参考にしており、全てが事実かどうかは分かりませんので悪しからず。今回は2部作のうちの後編です。 ↓ 前回の話はこちらです。  そういえば昔よく近所の子どもと掴み合いの喧嘩をしたことを思い出した。喧嘩の原因はよく覚えていない。たぶん、些細な主張のすれ違いがきっかけだったように思う。その頃、私は自分の考え方がまか

シエラレオネの祈り(前編)

<前書き> 今回の記事は「戦争」について触れています。この手の話が苦手な方は、後ろを振り返らずに、そっと記事を閉じていただければと思います。あくまで私が読んだ本を参考にしており、全てが事実かどうかは分かりませんので悪しからず。またちょっと長いので、2部構成としました。  私が生まれた世代では、日本の中で幸運にもこれまで血が飛び交うような争いが起こるなんてことはなかった。だが今こうして息をしている中でも、地球の裏側ではたくさんの子供たちが毎日生きるために必死になって暮らしてい

聞こえぬはずの声を聴く

 昔カナダのバンクーバーから1時間程度の場所にある、ヴィクトリア島に留学していた時がある。  その当時仲良くなったメキシコ人から「ユー、ホエール見に行かない、ホエール」と誘われ、半信半疑でゴムボートに乗って見に行った。その時一緒に乗ったクルーのひとりがブラジル人で、明らかに顔色が悪く「おおぅ、大丈夫だろうかこの人」と思っていたら、案の定数分経ったのちその人の中にあったものが盛大に海へ還っていった(詳細省く)。  その後はもう眩しいくらい、彼がスッキリした顔をしていたことを

腐海の中をひたすら彷徨って

 どちらかというと呟きにも近くなってしまうが、最近『風の谷のナウシカ』の漫画版を読んだ。その昔映画版は見たことがあったけれど、漫画版で読むことは初めてだった。かなりの分量で、漫画とはいえどものすごい時間を要した。読み終わった瞬間、肩からゆるゆると力が抜けた。  果てしない世界観だと思った。この世の中にはファンタジーと呼べる作品が有象無象で存在しているけど、『風の谷のナウシカ』の紡ぎ出す世界はただただひたすら深いと思った。うまく言葉にすることができない。たぶん1回だけ読んだだ

私が、きっと息をしている理由。

 昨日の昼間あたりから急にお腹が鈍い痛みを訴えるようになった。それは今日までぼんやり続いており、仕方がなしにコロンと丸くて黒い小さな球を3つほど飲むハメになった。どうしても見た目が良くないので、飲むときに躊躇する。なんで私はこんな目に遭ってるんだろうな、と頭を回らしたときに思い至ったのが昨日食べた西瓜だった。一玉の半分も食べてしまったから胃袋がきっとびっくりしてしまったのだろう。無理矢理そう思うことにした。 *  正直、お腹がチクチクと痛む時、仕事をするのはどうにもしんど

あたまの中の栞 -皐月-

 そろそろ春の暖かい季節も通り過ぎて、ジメジメとした季節に突入しようとしている。5月は個人的にはとても好きな季節。都会ではあまり見かけなくなったけど、私が住んでいる田舎町ではところどころで鯉のぼりを見ることができる。柏餅も食べることができるし、黄金色に輝く休みだってある。  なかなか贅沢かつ楽しみが詰まった月だと思う。例年であれば、だいたい休みを数珠のように繋げて、海外へ特に目的地を定めるでもなくプラッと飛ぶ。残念ながら依然として「名前を言ってはいけないあいつら」が猛威を振