#4. クリィムソーダの記憶(A面)
【短編小説】
このお話は、全部で9話ある中の五つ目の物語です。
◆前回の物語
拝啓、夏目先生 卒業してから4年が経過した。蝉の声が次第に弱々しくなり、秋が近づきつつあるタイミングで、池澤隼人となんてことない道端で出くわした。池澤は、大学の頃に私が所属していた映画サークルで副代表を務めていた人物だ。
お互い軽く近況を話し終えた後、池澤が思い出したような感じでふっと言葉を漏らした。池澤は鈴木とは違って当時から服や語りのセンスが素晴らしく、映画サークル内でも彼目当てに入部し