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【MTG Pauper】ジェスカイブリンクのすゝめ


はじめに

初めまして。Tochigi Pauper Club 所属の大福(@daifuku0290)と申します。
色々なフォーマットを適度に楽しむカジュアル勢ですが、最近はパウパーの楽しさにハマり、大会でも
・Pauper Mania #1 優勝
・第6期パウパー神挑戦者決定戦 Top8
・第7期パウパー神挑戦者決定戦 優勝
・Pauper Summit Cup4 優勝

と自分なりに少しは上達できたかなと思える結果を残すことが出来ました。
そこで、愛用のジェスカイブリンクについて、自分のデッキ理解度の向上とこんなにも楽しいデッキを布教しないわけにはいかない!と思い今回noteを作成した次第です。

そもそもの経緯として、私は所属するTPCで事あるごとにジェスカイブリンクの布教をするものの一向に使用者は増えず寂しい想いをしており…

なぜジェスカイブリンク使いが増えない???

こんなにも強くて楽しいデッキなのに…と悲しみに暮れています。

時間がかかりそう?なんか難しそう?どうやって勝つか分からない?

そんな不安が使用者増加の妨げになっているのかもしれません。
そういった悩みを解消し、ジェスカイブリンクの強み・弱みを自分でも確認するため、デッキの根幹となる部分を言語化していきます。
このnoteを通して、少しでもジェスカイブリンクの魅力が伝われば幸いです!


ジェスカイブリンクってどんなデッキ?

『ジェスカイブリンク』は青赤白3色のコントロールデッキであり、パウパーの中でも重いデッキに分類されます。
優秀なCIPを持つクリーチャーとカウンターや除去のスペルで構成されており、相手の攻めを凌いでから豊富なリソースを使い圧し潰すゲームをすることが多いです。
採用するカードについても自由が利くため、環境に合わせてカスタマイズがしやすいのも特徴です。

自由度が高く様々なカードが採用されるデッキですが、大半のリストで採用される2つの根幹となるカードがあります。

1枚はデッキ名にもなっている《儚い存在》です。
想起した《熟考漂い》に撃てば4マナ2/2飛行6ドロー、《古術師》に撃てば墓地の呪文と自身を回収することで毎ターン好きな呪文を使いまわすことが出来ます。

1枚で2度美味しい

CIPを再利用するために使われることが多いカードですが、自分のクリーチャーを守るために使うことも多々あります。
除去の対象やチャンプブロックとなったクリーチャーへ撃てば損をせずに次の対応札を探すこともできます。
1マナのスペルとして能動的・受動的のどちらの場合でも使いやすいため、使い方次第で一気にゲームが有利にも不利にもなる強力なスペルです。

もう1枚は《浄化の野火》です。
このデッキが『ジェスカイワイルドファイア』とも呼ばれる所以であり、《儚い存在》と双璧を成すキーカードでデッキの足回りを支える重要な役割を持ちます。
自分の破壊不能土地に撃つことで基本土地を戦場に出しながら1ドローをすることができ、カウンター・除去の構えとアドバンテージ獲得の両立をするために大量のマナが必要となるこのデッキの欲張りなマナ事情を解決してくれます。

パウパー界のランパンはドローもできる

パウパーには基本土地へ変える程度の緩いランデスでも刺さるデッキが一定数存在しており、《バジリスク門》やバウンスランド・トロンランドを採用しているデッキには《浄化の野火》を使いまわすことで機能不全に陥らせることも可能です。
2→4マナの加速は大抵の場面において最適の行動であり、このカードと破壊不能土地が初手にあれば色事故も含めジェスカイブリンクのマナ事情は大半が解決します。

以上のように《儚い存在》と《浄化の野火》がデッキの屋台骨を支え、《熟考漂い》や《ロリアンの発見》といったパウパー屈指のアドバンテージ獲得手段と《対抗呪文》や《雪崩し》などのカウンター・除去によるによるリソース交換を両立させたコントロールデッキが『ジェスカイブリンク』の本質となります。


ジェスカイブリンクの強み

ジェスカイブリンクの強みは「環境に合わせて複数のデッキ相手に微有利がつくように調整することが可能な万能性と、大量のドローによる対戦相手を詰ませる再現性の高さ」であると個人的に考えています。

①圧倒的なロングゲームの強さ

ジェスカイブリンクの強みとしてまず挙げられるのは、ロングゲームにとても強いデッキである点です。
アドバンテージ獲得手段が多いためゲームが長引くほど有利になり、《対抗呪文》を有するコントロールのため相手の脅威に対してほぼ確実に対処することが可能です。

また、他のコントロールとは違い《古術師》による呪文の再利用が可能です。
《儚い存在》との組み合わせが強烈ですが、状況に応じた呪文を1枚回収するだけでも十分強力なカードになります。
《ボーラスの占い師》や大量のドローで1枚挿しのクリティカルな対策を探すことも可能なこのデッキにとって、1度使った呪文の再利用は大きな価値があります。

いつでも仕事する潤滑油のような存在

《ロリアンの発見》はこのデッキの強さを1ランク上へと押し上げました。
序盤は実質土地として運用し、コントロールデッキにとっては絶対に避けたいマナスクリューを緩和することが出来ます。
《ボーラスの占い師》でサーチ可能な土地であり、《渦まく知識》のシャッフル手段であり、土地が伸びた後はアドバンテージを生み出す。
ロングゲームの安定感を高めるこのカードがジェスカイブリンクの土台を支えているといっても過言ではないでしょう。


②ゲーム中の選択肢の豊富さ

大量のドローを活かしたシルバーバレット戦術もジェスカイブリンクの大きな魅力です。
《ブレス攻撃》や《邪悪を打ち砕く》といった特定のデッキに激烈に刺さるカードが数枚採用されており、ドロー手段が多いため対戦相手に合わせてそういった対策を探すことが容易です。
デッキに5~6枚程度存在する自由枠ではあるものの、このシルバーバレットで環境に合わせたカードの選定が出来ているか否かでこのデッキの勝率は大きく変わります。
個人的にはジェスカイブリンクを調整する際に一番気を遣う部分であり、対戦中にデッキ構築の成功・失敗を最も感じやすいため気に入っている部分でもあります。

環境の速度が速くなりアグロデッキが増えた時には《ブレス攻撃》や《第三の道の機構》を増やし、無理やり自分の得意なゲームレンジまで耐えることが可能です。
逆に、環境の速度が遅くなりコンボやコントロールデッキが増えた時にはメインから《払拭》を採用することでカウンターの撃ち合いに強くしたり、《儚い存在》を増やすことでアドバンテージ勝負をさらに強くすることが出来ます。

呪文探しのプロ

《ボーラスの占い師》はそういった特効枠のカードを探すために大きな働きをします。
1/3のボディで序盤を耐える印象が強いカードですが、3枚山札を掘る能力は序盤から終盤まで腐るタイミングが無く、特定の呪文を探す場合には《儚い存在》で《熟考漂い》をブリンクする4枚ドローよりも《ボーラスの占い師》で6枚掘る方が有効な場面も存在します。
このカードを引いた枚数が有効札を引き込むチャンスの回数に直結し勝敗に大きな影響を与えており、採用カードを散らすことを肯定してくれる頼もしいクリーチャーです。


③ゲームの再現性の高さ

①大量のドロースペル
②豊富なシルバーバレット戦略
これらはジェスカイブリンクのわかりやすい強みであり、実際に対戦をする際にも脅威として感じる機会が多いかと思われます。
しかし、3つ目の強みとして挙げたゲームの再現性の高さは言葉にするとイマイチ実感できないかもしれません。

再現性の高さと言っても、毎回最初から最後まで同じゲームが出来るわけではありません。
むしろ、重いデッキであるジェスカイブリンクは序盤から中盤にかけてその時引いたカードで臨機応変に対応する必要があり、対戦の度に異なる判断が求められます。

このデッキにおける再現性の高さとは、「ゲームを終盤まで進めることで自ずとロックに必要なパーツが集まり、リスクを背負うことなく確実に対戦相手を詰ませることが出来ること」であると個人的に考えています。
「自ずと」「無理せず」「確実に」という箇所がジェスカイブリンクとしての強みになります。

それぞれの強みについて説明する前に、このデッキの勝利条件(=再現したい状況)が何であるか整理します。
当然「ライフを0にすること」が勝利条件ではありますが、ライフを0にする過程で生じる「相手の盤面の脅威を全て排除し、これからの脅威に対しても完璧な回答を持ち続けること」こそがジェスカイブリンクの目指す勝利条件であると私は考えています。
極論、自分がライブラリーアウトする前に相手のライフを0にすればいいため、《ボーラスの占い師》で20回攻撃することが最適であると個人的には思っています。
「すべての脅威に対応し続ければ勝てる」というのは当然でありながら達成することは困難に思えます。
しかし、ジェスカイブリンクであれば《古術師》+《儚い存在》+《対抗呪文》を揃えることでほぼすべてのカードに対応可能になるため、このセットを揃えることが勝利手段として成り立ちます。

こういった複数枚のコンボはそもそも揃えることが難しかったり、単体で引いたときに仕事をせずにその分の枚数差で不利を背負うことが多いため、
・採用枚数を増やす⇒デッキが回らず強度が落ちる
・採用枚数を抑える⇒コンボが揃わず勝ち筋として信用できない
といったジレンマが発生します。
しかし、《古術師》ループはそれぞれのパーツが単体で仕事をすることができ、決まれば必勝のコンボでありながらその採用にほぼリスクを伴いません。
ジェスカイブリンクの目指す理想である「アドバンテージを確保しながら相手と1:1交換をし続けること」を意識しながらゲームを進めていけば、プレイの軸がブレないままコンボが揃うのです。

以上のように、一見荒唐無稽に思える「相手の盤面の脅威を全て排除し、これからの脅威に対しても完璧な回答を持ち続けること」ですが、このデッキにおいては現実的な勝利手段として運用することが可能なのです。

・序盤から中盤にかけて脅威への対処札を探すためにドロースペルを撃つ過程で「自ずと」カードが集まり、
・中盤以降は状況が五分になったら必要のないリスクを避けて「無理せず」相手の行動に対処することでリソース交換を行いながらコンボのタイミングを伺い、
・終盤の有利な状況になれば対戦相手の手札枚数以上の妨害手段を集めることで「確実に」ロックを決める。

このデッキにおいて、《古術師》+《儚い存在》+《対抗呪文》を複数枚揃えてロックを決めることは偶然起きることではありません。
ドローから更なるドローを繋げることで山札の大半を引き切り、必要なカードを確実に揃えることが可能な再現性の高さこそがジェスカイブリンクのデッキとしての強度を大きく高めています。


ジェスカイブリンクの弱み

強みだけを見れば弱点のない無敵のデッキに思えるかもしれませんが、MTGにおいてそんな都合の良いデッキは存在しません。
「ロングゲームに強く、様々なカードを使える多色デッキ」という強みはそのまま弱点にもなり得ます。

①速いゲーム展開に対応できない

コントロールがアグロに弱いのは世の常です。
それはパウパーにおいても変わらず、ジェスカイブリンクも同様です。
強みとして挙げた豊富なリソースですが、持っていても使い切る前にゲームに負ければ意味がありません。

例として、アグロの代表格である『カルドーサレッド』は3T目までにほぼすべての展開を終え、残りの数点を火力で削り切る王道の動きが非常に強力です。
ジェスカイブリンクがこの動きに対応しようとした際、デッキに数多く採用されている《熟考漂い》や《儚い存在》などは仕事をする場面が少なく、確実に1:1交換をする《対抗呪文》でさえも軽いカルドーサレッド相手にはテンポロスをする弱いカードに成り下がってしまいます。

なぐらないで

序盤が重要なマッチアップでは、マリガン時点で対応可能なカードを持っていなければそのまま押し切られてしまうことが多々あります。
終盤になればマリガン差のアドバンテージはいくらでも取り返せるデッキのため、序盤を凌げなさそうな手札は積極的にマリガンをすることが大事です。


②対策カードが刺さりやすい

3色でアーティファクト・墓地を使うデッキということもあり、ジェスカイブリンクはサイド後に大量の対策カードを意識する必要があります。

・《浄化の野火》用に採用された破壊不能土地を軽いマナで対処可能なアーティファクト追放除去
・《古術師》ループ対策に墓地追放
・デッキのアドバンテージ源を青いカードに依存しているため刺さる《紅蓮破》《赤霊破》

特にこれらのカードは無警戒でサイド後を迎えればデッキが機能不全に陥るため、環境で採用されているサイドボードのトレンドは常に意識するようにしましょう。

《浄化の野火》に合わせられたら死

環境上でジェスカイブリンクに刺さる対策カードが増えた場合、無理して対策の対策を考えるよりも弱点への依存度を下げて他の部分で勝負することを意識して構築することが大事です。

・アーティファクト対策→アーティファクトへの依存度を下げる(《ケンクのアーティファサー》を減らす、破壊不能土地を減らす)
・墓地対策→《古術師》ループ以外の勝ち方を採用する(《つぶやく神秘家》を増やす、《ケンクのアーティファサー》を増やす)
・色対策→対策されづらい白のカードを採用する(打ち消されない《晩餐への遅刻》を採用する、《紅蓮破》を使う赤いデッキに強い《第三の道の機構》を増やす)

これは一例ですが、流行っているデッキがあればそのデッキと同じ対策が刺さる箇所を薄くすることでサイド後のゲームが楽になります。


③決定力不足による時間制限

デッキとしての弱みかと問われると難しいですが、ジェスカイブリンクを使う上では避けられない懸念があります。
それは、ロングゲームをした際に時間内にゲームを終わらせることが出来ない可能性がある点です。

このデッキはロングゲームを仕掛けるためにデッキのほとんどが相手へ対処するカードで占められており、勝利手段として挙げた《古術師》ループも『即座に勝つコンボ』ではなく『ほぼ負けなくなるロック』であるため実際に勝利するまでにはさらに時間がかかります。

また、ドロースペルを大量に採用しインスタントも数多く採用されているため、ゲーム中に多くの選択を迫られる機会があります。
正しい選択をすることは大事ですが、その都度悩んでいたらどれだけ時間があってもゲームが終わらず結果的に勝利からは遠ざかります。

採用されているクリーチャーのパワーはお世辞にも高いとは言えず、最もパワーが高い《熟考漂い》ですら単独では20点を削るのに10ターンかかります。

パワーがちいさくてかよわいやつ

制限時間は有限であり、対戦相手との共有財産でもあります。
望まない引き分けはお互いに気分が良くないため、デッキの決定力が足りないことを把握して時間内にゲームを終らせられるようにプレイ速度を上げることを意識しましょう。
選択肢が多く常に決断を迫られるデッキと思われがちですが、終盤以降は《対抗呪文》や《雪崩し》で脅威への対処が容易であるため、マスカンさえ見誤らなければそこまで悩むことはありません。
慣れれば素早く回せるようになり、プレイ時間にも余裕が生まれます。

また、時間内にゲームが終わらないことが不安であればフィニッシャーの増量も一つの手です。
《つぶやく神秘家》や《ケンクのアーティフィサー》は他のクリーチャーと比べて素早くライフを詰められ、「対処札は揃っているけど勝つ手段がない」といったお見合いの状況を減らすことが出来ます。
どちらも攻防に優れ単体のカードとしての質も高いため、慣れるまでは多めに採用するのもオススメです。


ゲームの進め方

・マリガン

重いカードが多い都合上、マナスクリューが敗北に直結するためできれば土地は3枚以上でキープしたいです。
色マナの優先度は以下の通りです。

(いつでも必要)
(除去と《浄化の野火》)
(終盤にあればOK)

キープ基準は以下の通りです。
(あくまで一例のため、参考程度にお願いします)

①《浄化の野火》+破壊不能土地
②《ボーラスの占い師》
③《渦まく知識》+リフレッシュ手段
④《稲妻》・《ブレス攻撃》等の除去

①②はどの対面でも裏目がないため、どちらかでキープできれば理想です。

③は相手に合わせて必要なカードを探すことが出来るため悪くはありません。
しかし、序盤の1~2ターン目に盤面への干渉ができないため対面によっては押し切られてしまうこともあります。

④は速いデッキに対しては除去で対処が可能であり、遅いデッキに対してはゲームを急ぐ必要がないため最低限のキープとなります。
ただ、《稲妻》のみでは横の展開に対応できず、《ブレス攻撃》はコントロール相手の場合に腐らせる可能性がある自分の動きが弱めとなるキープのため、できれば①②③でゲームを始めたいところです。

また、《雪崩し》は序盤に破壊不能土地のタップイン処理をするため火力不足であることが多く、除去として信頼できないことが多いためキープ基準にはなり得ません。
序盤の強さは《稲妻》に分があるため、環境の速度に合わせて採用枚数を調整しましょう。

序盤は0点、終盤は100点


・序盤

選択肢が多くないため、中盤以降のための準備期間と割り切りましょう。
破壊不能土地7〜8枚と氷雪タップイン土地2枚を抱えるマナベースのため、とにかくタップインをすることが多いです。
中盤以降は土地のテンポロスを許容しづらいため、タップインの処理や《ロリアンの発見》のサイクリングによる基本土地の確保は序盤に済ませられると中盤の選択肢を増やすことが出来ます。

《浄化の野火》と《ボーラスの占い師》を両方プレイできる状況では、大半の場面で《浄化の野火》を先にプレイすることが正解となります。
このデッキの強い動きは4マナ以降に多く、《熟考漂い》想起+《儚い存在》《対抗呪文》+αなど選択肢がグッと増えます。
ジェスカイブリンクのクリーチャーは他のデッキと比べ貧弱であるため、無理に盤面を形成せず、不利を背負ってでも自分の得意なゲームレンジに持っていくことが重要となります。
中盤以降は豊富な除去で盤面を返すことが容易なため、ライフは必要経費として使うぐらいの気持ちで耐えましょう。

ライフは後でしっかり回収


・中盤

攻めと守りの選択を迫られることが多く、マナの使い方を間違えればそのまま敗北しかねない難しい時間です。
序盤の不利を返しながらアドバンテージを少しずつ稼ぐゲームメイクが要求されます。

アドバンテージ獲得手段がソーサリータイミングのため、相手ターンの行動を待ってから攻めに転じることは難しいデッキです。
盤面にクリーチャーが定着していれば《儚い存在》によって守りを厚くしながらアドバンテージ確保が可能ですが、《熟考漂い》《古術師》はメインで大きく踏み込む必要があるため裏目を無くすことは出来ません。
どこまで攻めていいか不安な場合は、守りに比重を置けば大きな事故には繋がりません。
このデッキにとってはロングゲームこそが主戦場です。相手が脅威を展開するようであれば捌き切り、様子見をするようであれば悠々と土地を伸ばし終盤に備えましょう。

構えておけば間違いなし

ただ、守りを重視すべき中盤においても攻めに転じなければいけない場面があります。

・相手の脅威に対して対応できるカードが足りていない
→ドローを回して対処札を探す
・イニシアチブや統治者を相手に《対抗呪文》が無い
→クリーチャーを展開し戦闘ダメージを与えられる状況を作っておく

あくまで一例ですが、上記のような場面ではリスクを背負ってでも攻めの行動を起こす必要があります。
特にイニシアチブ・統治者は盤面形成が苦手なこともあり奪うのが難しく、そのままロングゲームに持ち込まれればそれだけで負けかねません。
そもそも相手に出される前に対処可能な状況を作っておくことが重要になります。
一度奪ってしまえば守ることは得意なデッキのため、維持できれば勝利に大きく近づきます。


・終盤

序盤・中盤と耐えてきたフラストレーションを放出する、このデッキを使っていて一番楽しい時間です。
大量のマナを使い、リソースの確保・盤面の形成と相手の脅威への対処を両立するように立ち回りましょう。

ここまで来れば、ソーサリータイミングで大きなアクションをしながら複数の対応札を構えることが出来ます。
《熟考漂い》《ロリアンの発見》でアドバンテージを稼ぎながら安全にリソース差を広げましょう。
終盤の完成されたジェスカイブリンクを崩せるデッキはほぼ存在しません。
マストカウンターを判断し、有利な状況をひっくり返されないように石橋を叩いて渡るプレイングを意識しましょう。

最終的には《古術師》+《儚い存在》+《対抗呪文》を揃えることで実質詰みの状況を作るのが目標になります。
《古術師》によってどちらも回収可能のため、相手のリソースが枯れたタイミングで仕掛けましょう。
このコンボが揃わずともアドバンテージ確保手段には事欠かないため、大量のリソースから除去で盤面を制圧しカウンターで蓋をできれば勝利は目前です。

《対抗呪文》と《儚い存在》をぐるぐる


回す際のコツ

ジェスカイブリンクを回す際に意識していることを以下に記載します。
デッキの構築やプレイスタイルによって意識すべきことは変わるかとは思いますが、「この部分に気をつければ大事故にはならない」と個人的に考えている箇所のため、頭の片隅に入れておくと役に立つ場面があるかもしれません。

・《対抗呪文》は大事に!

全てのカードに対処可能な《対抗呪文》ですが、いつでも強く使えるからこそ他のカードで代用可能な場合には温存することが大事になります。
具体的には以下のように脅威度を分けてプレイすることを意識しています。

①相手がアドバンテージを得るカード
②手札のカードでは対処できない脅威
③自分がアドバンテージを得るカード

①はドローや統治者・イニシアチブが該当します。
このデッキの基本は「除去・カウンターで相手と1:1交換を行い、他のカードで自分のアドバンテージを確保すること」です。
相手にリソースを確保された場合は交換の機会が多く必要になり、結果的にこちらもアドバンテージ確保のためにリスクを背負う選択をする必要が出てきます。
不必要なリスクを回避して少しずつ有利を積み重ねていくことがジェスカイブリンクの本質のため、自分のリソースを増やすことよりも相手のリソースを削ることを意識しましょう。
また、《古術師》ループは《古術師》を《儚い存在》でブリンクする都合上、相手のリソースが豊富なタイミングでは除去をケアするため上手く機能しません。
確実にゲームを終わらせるためにも《対抗呪文》は相手のアドバンテージ源を断つことに使いましょう。

②は対戦相手のフィニッシャーが多く該当します。
様々なカードへの対処手段を持つジェスカイブリンクですが、それぞれの枚数は多くありません。
ドローを連打した後の終盤であれば万能デッキとして立ち振る舞えますが、中盤まではそう都合よくいかないこともあります。
そうしたタイミングで『除去の代用』として扱うことが出来るのが《対抗呪文》になります。
特に《雪崩し》を採用している場合、ゲーム後半は確定除去として扱えますが序盤は役割を持てないことが多いです。
強く使えるゲームレンジまでは有効なカードが少なくなるため、《対抗呪文》を実質除去として扱う認識で問題ないです。

③は自分のドローを通す場面が該当します。
優先度が低い理由として、よほど偏った引きをしていなければこのデッキのアドバンテージ源が枯れることはなく、他のカードで十分代用が可能なことが挙げられます。
カウンターをされることでむしろ相手から1:1交換を仕掛けられたと考えることもできるため、ここで空中戦を仕掛ける価値は低いです。
逆に、自分の手札が少ない場合は必ず通すために《対抗呪文》を使う必要があります。
ドローからドローを繋げることがジェスカイブリンクの強い動きであるため、リソースが足りない時は確実に手札を増やせるようにしましょう。

以上のように《対抗呪文》の運用について記載しましたが、それぞれの状況に対応可能なカードをまとめると以下のようになります。

①:《対抗呪文》のみ
②:《対抗呪文》と数枚の対処札
③:《対抗呪文》と多数採用されているアドバンテージ確保手段

最強のワイルドカード

②,③には代用できるカードが存在しますが、①は《対抗呪文》でしか対処できません。
マナと手札が足りない序盤ほど②,③の価値が高いため《対抗呪文》を切らざるを得ない状況が発生しますが、ゲームが進むごとにリソースが増え相対的に価値が下がっていきます。
《対抗呪文》を常に価値の高い①に当てることができれば他の部分で後れを取ることはないため、終盤まで大事にできればその分ゲームが楽になります。


・《儚い存在》は除去をケアしてから!

《古術師》や《熟考漂い》に撃つことが出来ればそのままゲームを決めるアドバンテージを生み出すカードですが、自分から撃ったこの呪文に除去を合わせられると一気に劣勢になります。

こちらから《儚い存在》を撃った場合、自分:2(クリーチャー+《儚い存在》)と相手:1(手札の除去)で損なトレードとなります。
相手のリソースが少ない状況であれば多少の損は受け入れられるのですが、そもそも自分が有利な状況で能動的に《儚い存在》を撃つ必要はありません。
相手が我慢できずに動くか、状況が変わり自分の優位が崩れそうになるまでは現状維持を心がけましょう。

基本的には相手の除去に対応する形で撃つことが基本のカードですが、例外の状況もいくつかあります。

・想起した《熟考漂い》
元々盤面に残らないクリーチャーのため、
除去される:自分は損をせず除去を使わせられる
除去されない:大量にドローをしながら盤面にクリーチャーを展開できる
このように一方的に不利なトレードを仕掛けることが出来ます。
通った場合のアドバンテージが莫大な割にリスクが少ないため積極的に仕掛けましょう。

・マナや手札が無いため相手が除去を撃てない
能動的に撃っても裏目が発生しない状況です。
相手が大きなアクションをした後に発生することが多いです。
基本的に相手が不利な場面であるため、1度通せばその後のゲームは盤石になります。
《殺し》があるデッキではマナが無くても安心はできませんが、そうでない場合は積極的に自分のメインでも動きましょう。

・相手の手札が少なく自分が《対抗呪文》や《儚い存在》持っていて確実に通せる
慣れないうちはなかなか判断が難しいですが、これが出来るようになればこのデッキの勝率は格段に上がると断言できます。
基本的には相手の手札+1枚の対応札を揃えたうえで仕掛ける必要がありますが、相手が空中戦に付き合ってもスルーされても勝ちが大きく近づく強い行動です。

特に《古術師》をブリンクすることが出来れば毎ターン呪文を回収することで手札を整え、相手の手札がすべて有効札であったとしても捌き切れるほどの完璧な状況を生み出すことが出来ます。

クリーチャーをブリンクすることが勝ちにつながるため焦って能動的に使いたくなりますが、《儚い存在》を使わなくとも十分なアドバンテージを稼ぐことが出来るデッキです。
誘惑をグッとこらえ、確実にリターンを得られる状況でのみ使うよう意識しましょう。

除去避けの実質呪禁だけでも十分


・《渦まく知識》はリフレッシュとセットで!

このデッキの《渦まく知識》は他のデッキ以上に使い方が勝ち負けに直結します。
メインから特定のデッキに対する対策カードを積んでいる『ジェスカイブリンク』にとって、不必要なマッチでそういったカードを引くことは出来る限り避けたい状況です。
しかし、《熟考漂い》や《ロリアンの発見》での大量のドローにアドバンテージ確保を依存している都合上、どうしても不要なカードや土地の重ね引きは避けることが出来ません。
そういった何もしないカードを戻し、《渦まく知識》を3ドローとして運用することがこのデッキでは重要になります。

使い方は自由自在

《渦まく知識》を使う際は、
◎デッキトップのリフレッシュ手段を用意してから
○明確に不要なカードを抱えた状態で
撃つことを意識しましょう。
特に、デッキトップのリフレッシュと併せて運用することは必須となります。
焦ってシャッフルができない状態でデッキトップが固定されることは敗北に直結するため、撃つタイミングには注意が必要です。
不要牌が少ない序盤は温存し、中盤以降に上手く使うことが出来ればこのデッキのポテンシャルを大きく引き出すことが出来るでしょう。

このデッキは他のデッキと比べてもシャッフル手段が豊富にありますが、それぞれ強く使えるタイミングが異なります。
以下にセットで使われるリフレッシュ手段と、それぞれの運用方法について記載します。

・《浄化の野火》
自分の土地に撃てばシャッフルもできるキーカードです。
戻したカードを引くことが無く戻すカードにも条件が無いため、マナフラッド・マナスクリューの両方に対応可能な最高の相性を誇ります。
このカード自体がいつ使っても強いためなかなか組み合わせて使うタイミングがありませんが、序盤から終盤まで《渦まく知識》を強く使うことが出来るため狙えるタイミングでは意識的に撃つようにしましょう。

・《ボーラスの占い師》
このデッキを支える縁の下の力持ちです。
アドバンテージを得たい場合、ソーサリー・インスタントを積むことで確実に手札を減らさずにCIPを使えます。
しかし、戻した呪文を確実に手札へ加えることは出来ますが、不要なカードのリフレッシュという観点ではあまり有効ではありません。
3枚を見る効果で既知の2枚+1枚しか確認することが出来ず、追加の1枚が呪文ではなかった場合に《渦まく知識》で積んだ手札で最も要らない呪文を再度手札に戻すことになります。
不要カードはそこまで無いけれど《渦まく知識》で有効なカードを探したい場合には有効ですが、有効な呪文を探したい場合にはそのまま戦場に出す方が強いことも多いです。

・《ロリアンの発見》
レガシーでも使われる強力なセットです。
マナスクリューを起こしそうな状況においては《渦まく知識》で土地を探しながら重いカードを戻し、サイクリングで確実に土地を手札に加えることが出来ます。
使わない呪文を戻す際には強いですが、土地を2枚戻してサイクリングをする動きはマナフラッドの解消としては強くありません。
このデッキは土地が伸びれば伸びるほど自由に立ち回れるためマナフラッドする機会が少なく、フラッド気味の時にはそもそも《ロリアンの発見》を唱えたほうが強いため、マナスクリューの時に真価を発揮する組み合わせになります。


・詰み状況を作るためのプランを意識する!

《儚い存在》の使い方の際に「相手の手札が少なく自分が《対抗呪文》や《儚い存在》持っていて確実に通せる」という場面の説明をしましたが、詰みの状況はそこを少し深堀りした話になります。

相手が積極的に手札を使うデッキやプレイヤーであればリソース切れが勝利条件のため分かりやすいのですが、コントロールミラーの場合はお互いのリソースが枯れないためそのようなゲームは出来ません。

《古術師》ループは相手が十分なリソースを持っている場合には上手く機能しないため、完成させるためにはどうにか相手のリソースを削る必要があります。
しかし、お互いに見合っているだけではリソース量に変化がなく、アドバンテージ勝負を仕掛けたいジェスカイブリンクとしても本意の展開ではありません。

そこで、相手にリソースを使ってもらうためには「自分がリカバリー可能な範囲でアクションを起こすこと」が重要になります。
リカバリー可能ということがとても大事であり、ここで無理なアクションを起こした場合は対応された場合にそのまま負けかねない多大なリスクを背負います。
あくまで五分の状況を有利に近づけるためであるため、どこまでが許されるかを見誤ってはいけません。
具体的な例をいくつか挙げますと、

・《晩餐への遅刻》を持っている時の《古術師》
⇒カウンターや除去をされてもリアニメイトさえ通れば何度でも《古術師》で回収可能なため。

・《古術師》ループセットを持っている時の《つぶやく神秘家》
⇒相手目線では守られるだけで負けるためマスカンだが、ループが完成すれば打点は必要なく《つぶやく神秘家》は自分としては不要なため。

・相手のマナが少ない時のクリーチャーへの《儚い存在》
⇒対処しなければリソース差が広がるため、相手としては対処せざるを得ないが、仮に対処されてもフルタップに出来れば自分のメインで損した分のアドバンテージを確保しながら相手のリソースを削れるため。

これらはあくまで一例であり、対戦するデッキ・自分と相手の状況など様々な要因によって常に必要なアクションは変化します。

ジェスカイカラーはハンデスが無い分、相手の手札を減らすためには「手札を使ってでも対処しなくてはいけない」と思わせるカードをこちらから差し出す必要があります。
自分にとって価値が低いカードで相手の動きをコントロールすることが出来れば、このデッキの膨大なアドバンテージで容易に相手を圧し潰すゲームメイクが可能になります。
こういったゲームが出来るようになると格段に奥が深く楽しくなるため、個人的な意見にはなりますが意識していただけるととても嬉しいです。

おわりに

このnoteを書こうと思ったのは第6期パウパー神挑戦者決定戦の後だったため、気づけば完成させるまでに非常に長い時間がかかりました。
書く内容が思いつかなかったわけではなく、「そもそも自分なんかがデッキ語りしていいのか…?」という不安があったこともあり、どうせ書くのであればしっかり参考になるものを書きたいという気持ちもあったため、なかなか筆が進まなかったこともあります。
しかし、その後第7期パウパー神挑戦者決定戦では優勝という非常に満足のいく結果(神にしっかり負けたのは悔しいですが!)に加え、直後の大規模大会であるPauper Summit Cup4での優勝も自分の背を押しました。
何かを発信するのに実績を伴っている必要は無いと個人的には思いますが、少しでも説得力が生まれて多くの人に興味を持ってもらえるのであれば箔付けがされた状態のほうが良いに決まっています。
その流れで書き切りました。

まだまだ書き足りないこともありますし、自分でも言語化できていない部分が多いこともわかるため、完璧な出来かと問われればNoと答えます。
しかし、ジェスカイブリンクというデッキの魅力であったり、基礎的な導入部分についてはある程度伝えられたかと思います。
数年使っていてもまだまだ上手くなれる部分だらけのデッキです。
正直、何も知らないまま使ったら訳がわからないまま負けることだってあると思います。
でも、デッキの美味しい部分を知る前に苦さだけ味わって終わるなんて、もったいなさすぎるしデッキの使い手として悲しいです。
このnoteがそういった人たちに少しでも参考になり、「ジェスカイブリンク、案外"味"がするじゃん!」となるお手伝いが出来れば幸いです。

最後に、ここまで読んでいただきありがとうございました!
このnoteを読んでジェスカイブリンクに少しでも興味が湧いていただけたのであれば、それはとてもとっても嬉しいです。
分からないことであったりここどうなん?みたいな箇所があればぜひTwitterで言ってもらえると嬉しいです。
構築でもプレイングでも何でも相談に乗ります。
感想とかも大歓迎、反応貰えるのが一番嬉しいため…。

意地でもTwitterと呼ぶ

最後に自分の正直な想いを書いて〆ます。

ジェスカイブリンクが板!!!!!!!
全人類ジェスカイブリンクを握れ!!!!!!!!!!


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