書籍の古書価の将来―読書月記37

今回は古書の価格の話(現時点では古書は〝紙〟のみなので、あえて〝紙〟と断っていない)。

1月は、かなり高めの本をいくつか買ったけど、幸運が続いて、当初考えていたよりもかなり安く買えた。
一つ目は、メルカリで買おうとしていた直前に、確認のために「日本の古本屋」を検索するとヒット。8割ぐらいに抑えられた。二つ目は、Amazonの中古で買おうとしていた直前に、ヤフオクを検索するとヒット。しかも、10%オフのクーポンまであり、5割以下に。三つめは、全4冊の本だったけど、一応確認するとその4冊目が新刊書店にまだ在庫としてあり、3冊目までのセットがやはりヤフオクにあり、10%オフのクーポンが利用でき、当初考えていた「日本の古本屋」の全4冊セットの7割弱の価格になった(新刊書としては最後の1冊だったようだ)。こういうめぐり合わせというのは、たまにあるものの、高額な書籍で3回続くのは初めてだ。

上にかいたのは極端に高い本の話なんだけど、普通の書籍の古書価が少しずつ高くなっている気がする(以前、紙のマンガの古書価があがっていることについても書いている)。もちろん、当然のことだが、すべての紙の書籍の古書価が上がっているわけではない。私が10年ぐらい前に古書として買った本で、流通量が増えて古書価が今は半分以下になっているものもある。そういったものは、おそらく、高齢の人が持っていて、終活や遺品整理で出てきたのかもしれない。

私が気になっているのは、そういった10年も前からある古書ではなく、刊行から6か月程度しか経過していない古書のことだ。これも10年ぐらい前だが、お堅い出版社の新刊書が刊行後数か月で送料を含めて70%ぐらいの価格で「日本の古本屋」でヒットすることが多かった。これが最近、ほとんどない。また、あったとしても85~90%ぐらいの時が多い。そして、同程度の条件のものでも「日本の古本屋」で出品されるよりも、Amazonの中古などで見かける方が多い。ブックオフオンラインだと、刊行からの時間経過がそれほど長くなく、あまり古書として出てこないような本だと、15%も安くならない。2か月前からメルカリを利用しはじめているが、確率的にはメルカリに安いものが多い。それでも、必ずというわけでもない。

私は新刊書については、ほぼHMVで購入しているが、スペシャルクーポンの還元率がいいときを狙えば、クーポンに加え別に付与されるポイントなどを含めると、条件次第では新刊書を実質80%ぐらいで買える(厳密に計算すると、20%のスペシャルクーポンとポイントなどだけでは84%弱で、80%で買うにはちょっとしたスキルが必要だ)。だから、価格が80%の古書なら新刊書を買うことにしている。理由は簡単で、新刊書だと著者や出版社の利益になるからだ。自分の財布の中身に限度があるので、80%より安く、だいたい70%ぐらいで入手できるならば古書を選ぶことになるが、定価に対して80%ぐらいなら、新刊書が入手できる限り、古書を選ぶことはあり得ない。また、著者によっては、必ず新刊書を購入する場合もある。

それでも、古書を探す機会そのものは今でも多い。だから上にも書いたように刊行から間もない古書価が以前に比べ高いことを感じているのだ。ではその手の私には高めと思える古書は売れないのか、ということはない。私が〝高い〟と感じていても、「日本の古本屋」に出ていた本が、Amazonの中古に出ていた本が、ヤフオクやメルカリに出ていた本が、いずれも新刊書価格の90%前後でも売れていることは多い。HMVの場合、クーポンがかなりお得といっても、税込価格が1万円以上という条件なので、高価な本を2~3冊程度まとめがいをしないといけないし、刊行時期などの関係で、複数冊購入すると入手までに時間が経過することもあるので、私にすると〝やや高め〟の古書を買う人もいるのだろう。ある作家、ある分野にしか興味がない人にとって、1万円はかなりハードルが高い。クーポンを得ても、その次に買いたい本がない場合は、期限切れを迎えることもある。また、以前別のところで書いたが、単に書店が遠い、無料配送の条件などで、定価と同程度の価格ならOKという人もいるのかもしれない(Amazonや楽天は新刊書がほぼ無料配送だが、条件付き無料もしくはHMVのようにコンビニ受け取りは無料だが、宅配は一律で有料のところもある)。

読書離れや人口減少など様々な要因から紙の書籍は発行部数を減らしていく可能性が高いと思われる。また、読書月記35でも触れたが、電子書籍を買う人が増えれば、紙の書籍を買う人が減るし、出版社もリスク回避のために増刷を控える。そうなれば、古書市場に流れる古書の量が減ることは間違いない。今現在の古書市場は、過去の本が溢れかえっているので、古書が減少と考える人は少ないかもしれないが、今後、供給量が減っていく可能性は高いと思う。実際、新古書店などはほとんど買い取り額アップが常態になりつつある。ブックオフオンラインに古書として入ってこない新刊書も多い。ベストセラーならともかく、初版のみで増刷されなかった書籍を古書として入手するのが、困難とまでは言わないものの、簡単ではない時代がやってくるのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?