積読の本を整理しながら、ディアギレフとバレエのことを考えた―読書月記5

5月は、積読の本の整理をした。“積読”の文字通り自室の床に積み上げられていた本を段ボールに入れて、段ボールごとに書名のリストをエクセルに書き込む。段ボールには番号が振ってあるので書名で簡単に検索ができるようになっている。本を入れた段ボールは、普段は使わない部屋に積み上げた。この作業、夏は汗まみれになるし、冬は寒いのであまりやりたくない作業の一つ。5月はちょうど良い季節だった。

整理しながら驚いたのは、バレエやダンスに関する本が思っていた以上に増えていたことだ。
バレエに対する興味は、14年前、40代半ばになってから。リチャード・バックルの『ディアギレフ―ロシア・バレエ団とその時代』(上・下)を読み、ディアギレフとバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)に魅せられたのがきっかけだ。バレエに対する知識がほぼ皆無だったものの、ニジンスキーの名前はさすがに知っていたけど、彼がどんなダンサーかなんて全く知らなかった。
同書を読むきっかけは、アーサー・ゴールドとロバート・フィッツテイルの『ミシア ベル・エポックのミューズと呼ばれた女』を読んだからだ。ミシアは、チケット購入などでディアギレフを支援したパトロネス。では『ミシア~』を読むきっかけは、というと海野弘の『ココ・シャネルの星座』を読んだからだ。

しかし、ちょっと考えてみると、シャネルとディアギレフには接点があるし、『ココ・シャネルの星座』でミシアを取り上げているのならディアギレフに触れていないはずはない。そこで同書を改めて読んでみると、そこには12人の人物が取り上げられているが、ミシアのすぐ後にディアギレフが載っている。
そこでもう一度記憶を辿りなおしてみると、バックルの『ディアギレフ~』を古書で探したがすぐに見つからなかったことを思い出した。同書も『ミシア~』も古書で購入したのだが(両書とも1980年代半ばの刊行)、『ミシア~』は5月初めに入手しているのに、『ディアギレフ~』の方は6月の末である。おそらく、『ディアギレフ~』の古書がすぐには入手できなかったので『ミシア~』を先に読み、上に書いたような記憶が形成されたのだろう。

最初はディアギレフとバレエ・リュスにしか興味がなかったものの、山岸凉子の『アラベスク』を再読する気になった。最初に読んだときは全く面白くなかったけど、今度は面白くて、『テレプシコーラ』にも手を伸ばした。『魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展』に行って、桜沢エリカが『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』を書いていることを知り、その流れで『バレエで世界に挑んだ男』を読んで佐々木忠次を知る。どんどんバレエ全般、さらにはモダンダンスにまで興味が広がっていき、今も続いている。

バレエを習ったこともなければ、いまだに生でバレエを観たこともない。でも、バレエに対する興味はつきない。

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