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筆進む理由を片す

なかなか坂上がれなかったのに、
急に坂上がれるようになってからは、
もう何度だって坂上がれる。
鉄の棒を前にして、
昔は好きでよく回ってたなぁと、
握ることすら全然してなかったけど、
握った瞬間、三回転捻りから着地までの足先を追うように筆が進む。

急に書けるようになった理由を知りたい。
いつかまた書けなくなった時に、
今のこの気持ちを覚えておきたい。
下手なら下手なりに自由に制約を受けずに
やればいいんだと開き直り、
痛くていい、むしろ痛く書こうと
無言の宣言をしてから強くなった。

ある時、相手を決めれば
書けるんじゃないかと思った。
けれど書きたいのは手紙ではなかった。
未来の自分に向けてという意味では
手紙のようなものなのかもしれない。
湧き上がる気持ちの連続を
金太郎飴のように切り落とす。
表情は絶妙に違うが、一緒なんだ。

国語の授業で自由に書いていい授業は
図工よりも自由だった。
鉛筆が走る。
走るための発想がある。
自分だけ少し遠いところの芋を掘って、
持ち上げたら同じツルだったというような体験をさせたい。
直感でわかる。この芋は遠くで繋がっている。
その芋を持ち上げると君の持つ芋まで
プールの旗のようにズボズボと芋が出てくるんだ。

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