『僕の友達』20240116

『僕の友達』

久しぶりだね
元気にしてた?

そう、帰ってきたの
虫がいい?
年を取って
少し図々しくなったから
何もなかったかのように
平気な顔で帰ってきたの
年を取るのも悪くないね

知ってたよ
本当は待っててくれたんでしょ、ずっと

あの時は
離れるしかなかった
色んな理由があって
苦しかったから
君から逃げ出した

皮膚が破けてたくさんの血が流れた
時間薬しかなかったから
かさぶたが乾いて剥がれるまで
しばらくかかったよ

長い時間が過ぎて
離れるしかなかった理由たちは
一つ二つと姿を消した

君と僕の間に立ちふさがっていた
最後の理由が消滅して
やっと会いに来れた

もう離れないよ
ずっと一緒にいよう

形を変えて
僕らは隣で生き続ける
一緒に
一緒に
年を取っていこう

僕が姿を変えれば
君も姿を変えるだろう

誰にも見てもらえないかもしれない
誰にも知られないかもしれない
何をやっているんだ
そう言われるかもしれない

けれど

何もない土地で
土を耕し
種を蒔き
水をやり
風や雪を防ぎながら
大切に育てれば

いつか大輪の花が咲くかもしれない

その日を夢見ながら
一緒に歩いていこう
手を繋いで

咲き誇る夢

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