紫色から始まる①

ユンジ「何か最近元気ないのね。もしかして恋の悩み?」

ナム子「どうして分かったの?!」

自分の手元を見ていたナム子が、驚いた顔で私を見た。

いつものマクドナルドで、いつものおしゃべり。

ユンジ「だってここ最近ずっと上の空なんだもの」

ナム子「あ……ごめん」

ユンジ「ううん、いいのよ。で、どうしたの?」

ナム子「うん……実は……ずっと好きだった人がいてね。でも言えずにずっと友達として振る舞っていたの。けど……」

ユンジ「けど?」

ナム子「最近ボーッとしてる事が多いし、窓の外を眺めてたりして、元気がなかったの」

ユンジ「それで?」

ナム子「それで、こないだ冗談混じりに『好きな人でも出来た?』って聞いたら『うん』って! 『うん』って言ったのよジミンのヤツ!!」

ユンジ「えっ、ジミンの事好きだったの?!」

ナム子「何で分かったの?!」

ユンジ「あんた今自分で言ったじゃないの」

ナム子「えっ、私言った?!」

ユンジ「ええ?! 普段頭良いのに、何で興奮するとそうなるわけ? あれ? あんたとジミンって、幼なじみじゃなかったっけ?」

ナム子「そう。幼稚園の時に私の家の隣にジミンが引っ越してきて、それからずっと兄弟みたいに育ってきたの。高校も私が密かに追いかけて」

ユンジ「好きって言った事ないの?」

ナム子「言った事ないし、今更すぎて言い出せない。ジミンも私の事女とは見てない」

ナム子が泣きそうな顔で下を向いた。

ユンジ「どうして分かるの? ナム子を好きかも知れないじゃない?」

ナム子「それはない」

ユンジ「どうして?」

ナム子「ジミンの好み、自分より背が低くて女の子らしくて可愛い子なのよ。

私、あいつより7センチ背が高いし、何ならあいつをお姫様抱っこ出来るくらい筋肉もあるわ。全然あいつの好みじゃない……」

それきり黙ってしまったナム子。

マックの店内は、コラボレーション期間だとかで全てが紫色になっている。

ユンジ「それでも……気持ちを伝えるべきだと私は思うよ。ジミンに好きな人がいても。それが……自分じゃなかったとしても」

こんな時どういう言葉をかけてあげるのが良いのか分からない。

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