見出し画像

【書評】ゆるく考えよう

ちきりんさんの書籍、2冊目。

これからいわゆる、一般的なルートから脱線しようとしている人間になるため、その不安感を和らげることも一つの目的としながら読み進めました。

Amazonのレビューでは、「全然ゆるくないじゃん」などと書かれていますが、個人的には、 

自分で責任を取る覚悟をもつという前提はあるものの、周囲の同調圧力や社会的な規範に縛られすぎず、思うように生きていけばいいんじゃん?

ということが書かれており、脱線する事の背中を押された気がしました。


簡単に、書籍の内容と、書評を。


〇諦めてないと人は頑張りますから。無駄であっても…

すべての人に同じだけのチャンスがあることなんて、極めてまれ。どこかで、自分の適性や限界を見極めて、諦めることも大事。

会社は、頭も誰もが平等に出世できるように話すし、学校では、遅い人間に歩を合わせて、全科目、全員で学ばせる。

果たしてそれが全員の幸せになるのか、って課題提示です。

出来ないことは、早く分かったほうがいいんじゃないっていう。


〇退屈、予定がないことが怖いのは一種の現代病

何もしていないと「こんなんでいいのだろうか」と思ってしまうが、そんな時は、ほんのちょっと血中アルコール濃度を上げれば忘れるもの。

頑張るばかり、成長するばかりもいけど、その目的ってなに?

目的のない貯蓄、目的のないスキルアップも同様。ちゃんと目的をもってやることはいいけど、本当に意味があるのか考えて、不要なものはどんどん捨ててもいいのでは?という課題定義。

(あるべき姿、みたいな、べき論にがんじがらめになると、つらいですよね、と言ってもらってるような気がして、気が楽になりました)


〇多数派が正しいわけではない

世の中の大半が結婚していない世界でも、あなたは結婚しますか?

世の中の大半が高卒で働く社会でも、あなたは大学に行きますか?


これまで人生で、「他の人もそうしているから」という理由で意思決定をし続けた人も多いはず。(自分もまさにそのタイプで、理系であれば9割大学院に行くからとりあえずいく、とか、他と比較して偏差値が高いからいい大学に行く、とか、皆から人気と言われる会社から内定がでたらか、そこにいく、とか)


普段と異なることをする際には、多方面から「いわゆる多数派」の意見が届くが、最後に決めるのは自分、という人生の方が楽しくない?みんなの意見に流される「他人の人生みたいな自分の人生」でいいのかな。(個人的には、それでもいいと思います。それはひとそれぞれ。)


〇日本はいい国

少子高齢化による国内需要の衰退などの理由から、日本悲観論が巷にあふれているし、それも事実。

ただ、日本はこんなに小さいアジアの島国なのに、GDP世界3位の地位にいること自体が奇跡。高度経済成長期の皆さんに感謝。

このまま同じ地位を守ろうとすると難しいかもしれないが、ヨーロッパの先進国と同様、世界のTOP10くらいの裕福な国として今後も食っていけるのであれば、全然悲観する必要ないのでは?

(アメリカに住んだことのある経験からも、食べ物うまい、決められた通りに何事も履行される、国民皆保険で医療を低額で享受できる、犯罪が少ない、戦争しない、貧富の差が比較的少ないし平等、四季がある。控えめに言って最高!)

また、今後は、世界の中心が西欧からアジアに写ってくる。

中国やインドの台頭がその理由。

それによって、以下の二つのメリットが享受できる。

①西欧とのやり取りのために、長時間のフライトや夜間のビデオ会議が必要だったが、これからは、アジアが世界の中心になることで、そのストレスもなくなる。

②アジア同士という、文化的に近い国々とやり取りをするので、交渉がしやすくなる。(これはアメリカに住んでいた際に感じた。アジア人は文化的に近い。中国人、インド人は、自分にメリットがない場合でも、とても親切で優しかった記憶が強烈。アメリカ人は、自分にメリットがないとわかった瞬間に、相手をしてもらえなかった記憶が複数回・・・これはあくまでも小サンプルの体験談でしかありませんが)


ということで、そこまで悲観する必要はなし。(個人的にも悲観派だったので、励みになった。もっと日本大好き人間になろうと思った)


〇仕事・家庭・趣味の3分割図で人生を設計

年代別にどれがどれだけ自分の時間の割合を占めたかをグラフ化してみると面白い。若いころには趣味があった人も、30代では仕事ばかり。家庭も妻のワンオペに依存、など。書いてみると自分もそんなかんじだなぁ。と。

この軸に+でもう一つの軸として

①やらなければならないこと

②やりたいこと

③やりたいわけではないが、暇だからやっていること

をどの程度の割合で出来るか、があって

この2軸を中心に、自分の人生を設計できるといいのでは。


〇隠れたニーズを掘り起こす?!

よくマーケット界で言われる言葉だが、本当か。

対してほしくないものを、マーケティングの力でほしいと無理やり思わせたり、売れている!みんなが欲しがっている!という熱狂により扇動して「ほしいような気持ち」にさせることではないか。

欲しいものを全て手に入れておきながら、家じゅうに不要なものがあふれている

という状況になっているのでは?と問いかけられてドキッとする人、いるのでは。(私もそう)

本当に欲しいものはなに(それは物ではなく、気持ち、であり、求める用事を解決してくれるもの、である)


〇辞める決断ができれば始められる

日本は「辞めることを問題視する道徳観」があるため、なかなかやめられない。まずはなんとか修復しようとして、結局、ダメになって、選択肢が一つしかない状態で辞める。

これって果たしていい出口戦略なのか?複数の出口があるうちに、有益な選択肢を選んだ方がいいのでは?

辞めやすくなれば、新しいことを始めるのも容易になる。

辞める勇気を。(自分の所属する大企業も、本当にやめるの苦手だったなぁ)


〇一点豪華基準で選ぼう

人は何かの選択をする際に、「バランス」で選ぼうとしがち。結果、特徴のないものを選びがち。

個人的には「損したくない」からそのような選択をするのだと思うが、得たい物が明確な場合には、1点豪華主義で、本当に欲しいものを手に入れればいい。


〇10年以上のローンでの買い物はやめましょう

3000万円の家を金利2%で35年借りたら、利子が1200万円。

本来手に入れたい家を買うのに、その額の4割もの利子を払っている。そこまでして手に入れたい物なのか、自問自答しよう。


〇学びたければ金を稼げ、金を払って学んでいる場合ではない

お金を払うより稼ぐ方が勉強になる。

ただし、好きなことは金を払ってやった方が自分の思い通りにできて楽しい。好きなことで無理にお金をもらう必要はない。


〇「逆張り」と「先読み」

逆張り

多くの人にはできないスキル(つまり、皆がやっていない普通じゃないこと)を身につける事、差別化が可能。汎用的なスキルではないため、無駄になる可能性(=リスク)があるが、リスクを取るがゆえに、差別化が可能になる

先読み

こちらもリスクを取って、将来、世の中で必要とされるものに労力を割くこと。


この二つとも、リスクを取って、他の人と違うことをしているからこそ、成功した際には大きな利益が舞い込んでくる。低リスクを求めるなら、リターンは小さいのが当たり前。自動車会社のスズキが、インドで成功しているのもこのため。北米などは既に自動車大手が牛耳っているため、敢えて息のかかっていないカオスインドに攻め入って、最終的には成功している。


〇アウトプットの目標がないのに、インプットに時間をかけているのは馬鹿げている

(これは個人的には陥りやすいもの)

結局、何のために英語を勉強しているのか、何のためにプログラミングを勉強しているのか。メディアに扇動されて踊らされているだけではないのか。

ちゃんと目的があってなら問題ないが、(例えば、それが「楽しい」でもいい)、目的のないインプットは無駄。

最近は、話し相手としてのオンライン英会話を継続している。普通に転職の相談とか、くだらない日常の雑談とか。プログラミングは、出口と目的が見えなかったので、勉強、やめました。


〇ブラジルの農業と日本の農業

ブラジルは、土地が無限にあったので、反収を増やさずに開墾面積を広げて収益を増やした。

日本は、土地が限られていたから、反収を何とか効率的に増やすことで、収益を増やした。


何か制限がないと、人は、効率的にやろうとしない。

仕事も同じ。自分は効率が悪いから、と、無限に時間を費やして仕事をしてしまっては、いつまで経っても仕事の効率は上がらない。(本当に自分はこれでサラリーマン人生を乗り切ってきた…)

リソースがないからこそ、努力するもの。


〇人脈つくり、本当に意味ある?

わざわざセミナーとかいかなくても、日常で会う人やこれまでの人間関係を掘り起こして話をしていけば、世界は広がる。(狭いコミュニティの人間だけと接していてもしょうがないが…)

魅力的な人には人が集まってくるので、魅力的な人間になればいいのでは?


〇おいしい人生

大事なものは、「情報」ではなくて、「味」なので、「説明」や「値段」がないと「おいしい」と判断できないものは不要。

(これは言いえて妙。ただし、ワインなど、うんちくを話しながら飲むのは確かに趣味としてはいいと思う。個人的にも嫌いではないし、ビジネスチャンス=プロセスエコノミーとして、儲けるすべには使えると思う)


短い章を作って読みやすく作ってある構成。自己啓発系の本にはよくある構成で後半は正直だれてた印象もあるが、個人的には面白く読ませていただきました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?