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【書評】The Model

マーケティングやSaaSの販売に関わる可能性があるため読むことに。セールスフォース(日本法人)のマーケティングに関する枠組が学べます。

簡単に気になった箇所の紹介とコメントを。
※専門用語が多く、初めは頭に入ってきにくかったです。

【体制づくり】

〇分業のメリット

・同じリズムの仕事をすることで作業効率が上がる。逆は生産性が下がる。
・キャリパスを分業ごとに積むことが出来、人材育成も兼ねられる。
(マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス)
・どこに課題があるかが可視化しやすいため、手を打ちやすい。

〇分業のデメリット

・部門間の対立が発生(グループを分けると人は敵対する) 
 → 共同で作業することで達成可能な目標とする。
 → 最終目標は「売上」を高めること。そのために、カスタマーサクセス
   は顧客と接する中で何に困るかを研究する必要があるし、製品開発は
   マーケティングに反映させる。など、双方向的な流れを作り出すこと
   が大事。

・全体最適ではなく、部門最適の動きになる(顧客視点が失われる)
 → 評価指標の設定方法に注意。(数値のみにすると更に顧客視点が失わ   
   れる・・)

【マーケティング】

〇定量化が必要か

・測定でいないものは管理できない(=KPI)

〇リサイクルが大事

・受注に至らなかった案件は、そのままほっておくのではなくて、事後に再  度アプロ―とする。どのようにアプローチするかも、対象ごとに決めてアプローチする。(年度予算がない対象には、次年度予算が付く断面で再度アプローチするなど。タイミングを間違うとうざいだけだが)

〇最新のレベニューモデル

・認知拡大(マーケティング) →
・リード獲得 →
・リード育成 or 育成対象外 →
・アポイント・訪問 →
・商談 →
・オンボーディング →
・アップセル・クロスセル


〇マーケティングがリード獲得が目的にならないように

・マーケティングはリード獲得が目的化しがち。そのために、キャンペーンを打ったり、デジタル広告を打ったりとやりがちだが、マーケティングの最終目的は、リードを次のステージに進めること。

・フォームからの登録などのコンバージョンレート等を調べることで、適切にマーケティングは可視化する必要がある。

〇マーケティングの貢献を可視化するために

・「顧客のステージ設計」をしたうえで、定量的に各ステージの人数、コンバージョンレートを把握する。
・経営層に説明する際には、現場の担当者目線での指標で説明しない。求めるものが異なる。それが、どう売上につながるのかを説明せよ。

【インサイドセールス】

〇労働集約型からインテリジェンス集団へ

・一人当たりの電話件数(担当件数)は、おおよそ時間で決まっているため、アポ取り出来る人数の大枠は決まっている。そこをいかに効率化するかが勝負。

〇リードスコアリングを決めよう

・工場の製造工場で行けば、「検品」にあたる作業。リードの中で、各部門がどこまで、どのようにフォローするかの線引きをする基準。
・属性スコア(企業規模・業種・役職によるスコアリング)と
 行動スコア(サイトへのアクセス、コンテンツダウンロードなどの動き)に分類され、「属性スコア」が極めて重要。
・「行動スコア」の重みづけに悩む会社が多いが、実は、「属性スコア」の制度の方が圧倒的に重要。(いくら行動スコアが高くても、マッチしない属性であれば購入しないため。並列で語るべきではない)


〇スコアは「絶対値の大きさ」ではなく、「閾値」の設定が最も重要。

・次のステージに進めるかの判断基準でしかないため、いくら絶対値が大きいからと課題に重宝するのではなく、「閾値」として活用するのが寛容。


〇インサイドセールスのステージ管理のメリット

①フォローの順番が決めやすい=新規・未着手・リサイクルの順番で電話すると、ステージを同じ塊ごとに作業するので、
 →作業の順番を決定しやすい。
 →類似の電話内容になり、作業の効率が上がりやすい。
②インサイドセールスのキャパオーバーを把握しやすい。


〇1日8時間を最大限に活用するためのタスク管理の重要性

・翌日のコールリストが条件別にまとまっていること。
・コール前に対象リードの情報を頭に入れていること。
・会話できた場合の最大時間を決めておくこと。(なかなか話してもらえな いので、どうでもいい話でも、話させしてもらえれば時間を使ってしまいがち)

〇インサイドセールスのマネジメントは質か?量か?

・不確定要素があるため、商談件数・成約件数・成約金額の数値のみでは、業績を判断できない。
・いい仕事といい加減な仕事を適切に峻別する。 
 →what 必要な情報は取れているかの確認
 →how どのような聞き方をしているのか。いきなり予算いくらか聞いてもだめで、決裁プロセスや決裁者は誰かを把握して順次進めていく。新規獲得が必要とか、既にある費用から賄うか、等も重要情報。
 →when いつ電話をかけているか

〇インサイドセールスは外注しちゃダメ

・顧客との接点のなので、データだけではなく、その肌感覚を他の部門につなぐ必要がある。
・製品の内容や魅力を、実感を持って正しく伝える必要があるから。


〇インサイドには、一定のペースでは商談が上がってこない

・調整弁になる必要がある。
・営業の商談が多いときは、確度の高い案件を流すようにし、
・営業の商談が少ないときには、多少柔らかくてもいいので、多めに件数をあげる、など


〇マネジメントとは

・数値だけで評価はしない、というメッセージを繰り返し伝え続けることが重要。


【フィールドセールス・営業】

〇商談のフェーズ → 自社ごとに設計すべし!

・このラストワンマイルの対応で成否が決定されるため、極めて重要なステージ
・パイプラインとフォーキャストの管理を行
・様々な担当者がいる場合には、このフェーズの線引きを明確にすることが極めて重要。
・他社の物をそのままパクってもしょうがない

〇フェーズ1 リード以上 商談未満

・担当者個人んとして検討したいが、会社としての検討段階にない
・今期は予算がなくて難しいが、来期、予算を取りたい
・訪問してみたら、自社の製品がフィットする課題ではなかった
などの状態。
この状態から次に進める「以降判定基準」「閾値」は以下
・自社サービスで解決可能な課題を持っている
・意思決定の期間が一定の期間内であること(来年、とかじゃないこと)


〇フェーズ2 ビジネス課題の認識

・「4つの不」=「不信・不要・不適・不急」が導入の障壁
・フェーズ2では「不要」を突破するために、企業側が課題に感じていることを見抜き、それがこの商品で片付けられる「用事」だと伝えること

・この段階が最も重要。なぜなら、最終的に決裁をもらう際に、経営幹部に稟議を上げてもらう場合、この「不要」の理由でこけることが多いから。最終段階でこけるのは、この立ち上がりの部分が詰まっていないから。
・こんなことが出来たらいいな、という、担当者の愚痴に付き合っていても、結局は最終的な導入には至らない。

〇(コモディティ型の営業で使われてきた)BANT条件

・Budget(予算) Authority(決裁権) Needs(必要性) Timeframe(導入時期) 
・これは、既に必要性が明確であったり、定期的にリプレースが必要なものでは重要だが、ソリューション型の商品では、通用しないことも


〇担当者の課題ではなく、経営者の課題であるのか?

・その会社の経営課題に触れながら、ただ、一気に収束させるのではなく、担当者にも納得のできる提案を。最終決裁者を意識しつつも、その経営課題と現在の目の前の問題を結び付ける意識を。
・担当レベルの「相手の要望にあった提案が出来た」で満足すると、最終的な経営課題の解決に至らずに、頓挫する。

〇経営層のプロジェクトへの関わり

・プロジェクト立ち上げ時には8割が参画するが、進行中は経過報告程度で、最終決定時に再度、現れる。

〇移行判定基準

・他製品との比較検討開始
・デモ等による試使用の開始


〇フェーズ3 評価と選定 ~自社・他社の強み弱みの4象限で評価~

・コモディ型の商品の場合には、いきなりここからスタートも。
・競合、自社の2軸で、強みと弱みを4象限で表す。
・共に強い「相殺」、相手が強くて自分が弱い「弱点」、相手が弱くて自分が強い「差別化」、双方弱い「防御」
・この4象限は、顧客ごとに異なるため注意が必要。相手が求めていないことを「差別化」として押し出しても意味はなし

・他社製品を知らないと分析のやりようがないよ。

〇役職と社内の影響力は一致しない

・キーパーソンをおさえることが大事ですよ!
・キーパーソンの見分け方は、ミーティング時の相手の反応。役職者でも発言後に部下が首を振っていたり、下を向いているようでは意味なし。

〇フェーズ4 最終交渉と意思決定

・正式に稟議プロセスを開始してもらうこと。
・Mutual Close Planは、決裁を得るまでに、どのスケジュールで、どのようなタスクがあるかを洗い出すこと。「合意している」といっても、具体的に何をするかが明確でないと意味がない。
・意思決定も、「取締役会での承認」「デジタル稟議による決裁」などと、具体的にする。
・決済方法によってもかかる時間は変わってくるので要注意。


〇最終商談で、非生産的な時間を作らない

・対面で見積もりを出してその場は概要を聞いて持ち帰り、は無意味。その場で意思決定できることなどないのだから。
・事前に金額を提示して、その反応によってその後の対応を考えるのが良い

〇サインの催促ばかりしても、ただ待っているだけもダメ

・Mutual Close Plan 双方に必要なものを洗い出す必要があるため、適切に契約側がやるべきことを支援してあげるのがいいのでは?(役所のこんな手続きが必要ですよ、とか。自分がこれまで受けてきた営業のよかった点をパクればOK)

〇移行判定基準

・稟議を開始
・Mutual Close Plan が出来る


〇フェーズ5 稟議決裁プロセス

・想定されるリスクを意識しながら走行するリスク検知能力が必要
・最終決裁者は誰か、
・決裁は口頭でいいのか、紙稟議か、電子決済か、
・担当者は、同金額程度の決裁をとったことがあるか
・日時が決まっている取締役会等での決裁が必要となるか


〇マネージャー視点 各フェーズのチェック方法

・各フェーズの滞留期間、件数
・契約締結見込み日の試算の方法

〇マネージャー視点 短期と中長期の両面の視点

・パイプラインミーティング…短期の数をみる
・フォーキャストミーティング…中長期の視点から振り返る

〇マネージャー視点 属人の特性を知る

・個人ごとに甘くつける人、堅めにつける人など、特徴があるため、全員の予測をする基準を設けることは難しいが、個人ごとに見れば、ある程度の一貫性はあるもの。定点的に、継続的に属人管理をしていけば、ある程度の制度で、個人ごとの目標と結果から、以後の業績についての見積もりは可能


〇その他、興味深かった点

・大企業は過去のしがらみ等で方向転換がしにくい、身軽い動き回りにくい部分が多いが、スタートアップは打てる選択肢が無数にあり、かつ、自由に動ける事

・事業を因数分解しよう=「売上」がどのようにもたらされるか、ミーシーに洗い出す。どこに手を打つか決める。

・プロセスも因数分解しよう=「生産性」は、見込み客数×受注率×単価÷営業人数÷契約期間 で決まるので、さて、どこを改善しようね、と定量的に限定要因を特定することが出来る

・「野村の流儀」の言葉
 …ナポレオンは人を動かす2つのてこを「利益と恐怖」と言った。
 …自分はこれに尊敬を加えて「利益と尊敬と、少しの恐怖」で組織は動かしていくものだと思っており、その潤滑油が「笑い=ユーモア」だ。





この後、カスタマーサクセスに関する記載もあったが、以後はここでは割愛する。


このまま使える部分があるわけではないが、抽出して試してみたいと思う部分が多々あったし、また、これまで営業を受けてきて、「たしかにこの営業の人良かった」と感じる部分が多々あった。

SaaSビジネスのバイブルと言われる理由もわかった気がする。

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