見出し画像

【書評】イベーションオブライフ⑥ 完

⑤の続き。今回は子育てについて触れるうえで、経営がの理論を応用している。

今回の理論

未来をアウトソーシングしてはいけない


パソコン製造企業であるDELLとASUSの話。

DELLは台湾のASUSに、一部の簡易な部品のアウトソーシングをしていた。それは、DELLのコアコンピタンス(企業の中核となる強み)では無いため、大きな影響はないだろうとの判断であった。また、それにより、部品を作る工場を持たなくていいため、資産が減り、バランスシートの見栄えが良くなることも企業として評価できた。

そのご、ASUSは、他の部品も同様に順次、アウトソースを低価格にて受けるよう、提案をして、お互いにWINWINの関係として、事業提携を進めていった。それは、部品のみに限らず、マザーボード等まで至ってい。

そして、ある日、ASUSは、自社PCの発売を発表する。DELLの知見を隅から隅まで内製化して、なおかつ、低コストに作成する技術を身に着けていたからだ。DELLはただ、自社の名前をかして、サプライチェーンを回すだけの会社に成り下がっていたのだ。

DELLは自社の優先すべき事項を見誤り、失敗したことになる。これはなぜか。自社独自の「資源」「プロセス」「優先事項」を正しく把握できていなかったからであり、将来、重要になる部分をアウトソーシングしてしまったのだ。


この事例も、子育てに応用できる。未来をアウトソーシングしてはならない。

子育てで行くと

①「資源」=何かを行う手段

②「プロセス」=何かを行う方法

③「優先事項」=何かを行う動機

にあたる。どういうことか。

DELLがPC事業でやったことと同じことを子育てでやっている親の多さを常日頃から感じている。

プロセスを養う機会を子供から奪っているのだ。何かというと、過去は、技術が発達していないこともあって、家の中で多くの家事があり、それを子供と一緒に片付けていた。しかし今は、やることも減り、家でやるのは、掃除ぐらいか?というほどになっている。

そこで、両親は、子供を外に出して、色々と学ばせようとする。それは間違いなく言意見なのだろうが、こと、この子供を外に出すことが、「親の用事」を片付ける=自分はこれだけの機会を子供に与えてあげている、と自己満足すること、になっている場合が散見される。親に悪気はないが、自分の希望や夢を、子供に託すことも多い。

こうした雑念が湧くときに、子供が楽しんでいればいいが、(または前向きにやっていればいいが)、仕方なくやっている場合は注意が必要だ。


著者は、両親が与えてくれたもので一番大きかったのは

「両親が何もしてくれなかったこと」

であると語る。

具体的には?

貧乏だった著者が、靴下に穴が開いて母にもっていったところ、針と糸を這わされ、片方のみ縫い方を見せた後に、もう片方は自分で縫うように言われた。また、ジーンズに穴が開いたときには、ミシンの使い方を教えて、自分で修復させた、という話だ。子供はこの時、初めはできっこないと絶望したが、なんとか最後は自分の力でやり切り、大きな達成感と共に、その成果物を見るたびに「自分でやったんだ」と誇りを感じていた。

プロセスを学ぶ機会を(敢えてかは不明だが)与えていたのだ。


アウトソーシングが子供の能力を奪う弊害は、プロセスを養う機会を奪うことだけではなく、優先事項を見抜くことにもつながる。


それはどういうことか。子供は我々が意図して教えたことは、実は響いていなかったり、後になって覚えていないが、自分たちの意識していない(覚えていないような)事柄から、大きな教訓を学んでいるからである。

つまりこういうことだ。

①子供が学ぶ準備ができたとき私たちがそばにいることが大事だし(それがいつかはわからない)

②私たちの行動を通してドコモ達に学んでほしい優先事項や価値観を示す必要がある

ということなのだ。

最後にキラーワード。

「あなたの子供が、優先事項や価値観をよその人に学ぶなら、彼らはいったい誰の子供なのだろう」


アウトソーシングのし過ぎは、上のパラドックスに陥らせてしまうのだ。

家族とちゃんと時間を過ごしましょう。彼らは、学ぶ準備ができたときに学ぶのです。

※この話は、本当に企業の社員教育にも大きくあてはまる内容だと感じました。


その後もいくつかのストーリーがありましたが、前半部分が最も衝撃的で面白かったので、メモはここまでにさせていただきます。


こんな授業、これまでに受けたことがないなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?