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ノンフィクション「母という呪縛 娘という牢獄」

こんにちは、だいちゃそです。

今回は、こちらの本を紹介します。

モンスターを倒した。これで一安心だ。

2018年1月20日午前3時42分。母を刺殺した娘は、そうTwitterに投稿した。

2018年3月10日、土曜日の昼下がり。
滋賀県、琵琶湖の野洲川河川敷で、体幹部だけの人の遺体が発見された。
遺体は激しく腐敗しており、多くのトンビが群がっているのを近所の住民が発見。
警察が捜査を始めると、最近になって姿を見せなくなった女性がいることが判明し、DNA鑑定の結果、身元が判明した。
高崎妙子、58歳。

妙子は20年以上前に夫と別居し、娘のあかりと2人暮らしだった。
さらに、この2人の異様な暮らしぶりも明らかになる。
医学部9浪という浪人生活を母に強いられ、31歳になった娘はなぜ母を殺害したのか。

2018年6月5日、警察はあかりを死体遺棄容疑で逮捕。
その後、死体損壊、さらに殺人容疑で逮捕・起訴に踏み切った。

一審(大津地裁)では、母が自殺したとして殺人を否認。
しかし、二審(大阪高裁)では陳述書を提出し、一転して自らの犯行を認めた。
懲役10年の刑が確定し、あかりは現在服役中である。


加害者の心理に迫る

本書では、母と娘のLINEのやりとりが明かされる。

医学部への進学を強要する母は、娘に対して罵詈雑言を浴びせる。
服従。まさにその言葉がピッタリの支配関係。

あかりは高校生の時に、体にアザを負い周囲に助けを求めている。
この時、児童相談所が保護できていたら、全く違う未来があったかもしれない。

母を殺害してしまったあかりの心の動きが描写されていて、心を動かされてしまう1冊。

一審では殺人罪を否認していたあかりだが、二審では一転して殺人罪を認めた。
裁判官、弁護士、父、恩師・・・様々な人が紡ぐストーリーが読者を没入させ、心を揺り動かす。

あかりが犯した罪は重い。
しかし、しっかりと罪を償った後は自分の人生を生きてほしいと思わせる内容だった。

2018年1月20日午前3時42分のツイートはまだ残っており、本書の読者からの励ましのポストが今なお続いている。

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