Web会議(テレカン)に最適なヘッドセットを検証してみた。
はじめに
4月から私が働いている会社も全社員が強制リモートワークとなり、その影響で会議も全てオンラインのWeb会議で行うようになりました。
しかしながら、機材も何も揃っていない状態で突然リモートワークが開始されたため、なんとかGoogle meetを繋ぐのがやっと、という状況でした。
Web会議は一対一ならまだしも、十数人が集まるような比較的重要な会議もあったりします。そこで声が反響していたり、周りの騒音のせいで全く聞き取れなかったりしたら、そこに集まった人たちの時間を無駄にしてしまうことになります。
そこで、Stay Home週間の時間を利用して、リモートワーク開始を期に購入したイヤホンやヘッドセットなどの機材を、自分の声や適当な音を録音して、音質、環境音の影響、タイピング音の影響、という観点で検証し、それぞれ◎、◯、△、✕の4段階で評価してみました。
検証PC:MacBook Pro 16インチ
検証マイク:EarPods、Jabra Elite 75t、Jabra Evolve 40、Logicool ストリームカム C980
音質
1つ目は声の聞こえやすさ、という観点でチェックします。
人と直接話してるような明瞭な音であればあるほど評価は良くなり、音自体の解像感が低かったり、反響してしまって聞きにくい場合は評価は低いと判断します。
それぞれ、Macのボイスメモアプリで同一音量(になってるはず)、同一フレーズを録音し、聴き比べてチェックします。
環境音の影響
在宅でのWeb会議とは、すなわち環境音との戦いと言っても過言ではありません。家族の話し声はもちろん、近隣の工事の音や、緊急車両のサイレンなど、会議に悪影響を及ぼす環境音は多々存在します。
そこで2つ目は「近くで音が鳴っている際に、どれだけその音を取り込んでしまうのか」という観点で検証します。
まず、廊下に設置してあるEcho Flexに、適当な歌を歌ってもらいます。今回はハッピバースデーの歌にしました。(音量はEchoのデフォルトです)
そして、ドアを開けた状態で録音を開始し、Echo Flexの音をどれだけ取り込んでしまうのかチェックをします。
タイピング音の影響
3つ目は、会議中に話しながら議事録を取ったりする際に、自分のタイピング音をマイクがどれだけ拾ってしまっているのかをチェックします。
たかがタイピング音、されどタイピング音です。話し声の最中に際限なく「カタカタカタカタカタ・・・・」と鳴り響いていると、結構気になります。パンタグラフ式のキーボードならまだしも、メカニカルの素敵な音がするキーボードのタイピング音が延々と響き渡った日には、話し声に集中することが出来ません。
そこで、強めにキーボードをガタガタとタイプした状態で録音を開始し、それぞれどの程度音を拾っているのか検証します。
EarPods
音質 :◯
環境音の影響 :◯
タイピング音の影響:◯
ドリキンさんというYoutuberの動画でも解説されていましたが、iPhoneを買うと付属品として付いてくるこのEarPods、相当な優れものです。(ちなみにドリキンさんのPodcastのBackspace.fm、オススメです。)
iPhone付属のイヤホンとは思えないぐらい声がクリアに聞こえます。恐らくWeb会議に参加する全員が最低でもこのイヤホンを装着することができれば、会議の質は一気に向上すること間違いなしです。
私の経験的にも、Web会議で「お、この人めっちゃ良い音・・・!」と思う人は、大体有線ヘッドセットかEarPodsです。
欠点を敢えて上げるとすれば、ちゃんとしたヘッドセットと比べると、音を拾いすぎてしまうことと、少なからず音が反響してしまうこと、無音時に若干ホワイトノイズが乗ってしまうこと。ただし、それはあくまで有線ヘッドセット比較の話で、下手なPC標準のマイクでWeb会議をするより100倍マシです。
ある程度静かな環境が用意でき、まともにWeb会議で会話が出来るレベルのものを求めているのであれば、間違いなくEarPodsはオススメです。
音質チェックの波形
環境音チェックの波形
タイピング音チェックの波形
Jabra Elite 75t
音質 :△
環境音の影響 :◎
タイピング音の影響:◎
4マイク通話テクノロジー
周囲の邪魔なノイズを除去する強化された4マイク通話技術で、優れた通話体験を可能にします。騒がしい環境や風の強い場所でも、問題なく通話に応答できます。
という謳い文句だったので、それなりに期待はしていたのですが・・・、やはり無線の限界か、という感じでした。
声は反響はしないのですが、若干曇った感じになってしまって聞き取りづらかったです。加えてカナル型のため、自分自身の声が確認しづらいので、自分がどんな声量で喋っているのか分かりづらいという欠点もあります。
ただし、騒音対策機能は謳い文句通りで、環境音、タイピング音ともにほとんど拾っていませんでした。(単純に集音性能が良くないだけなんじゃないの・・・、というのは置いときます)
Bluetoothのヘッドセット用プロファイルが良くない、という話もあるので、Web会議のヘッドセットとしてBluetoothイヤホン・ヘッドホンを使うのはあまり良い選択肢では無いのかもしれません。
音質チェックの波形
環境音チェックの波形
タイピング音チェックの波形
Jabra Evolve 40 3.5mmヘッドホンジャック接続
音質 :◎
環境音の影響 :◎
タイピング音の影響:◎
やはりと言うか、分かっていたことですが、ちゃんとしたヘッドセットは音のクリアさ、環境音対策、共に圧倒的なクオリティでした。文句なしです。
話す声は部屋で会話をしているような明瞭さで、環境音もかすかに聞こえる程度。タイピング音も、「これホントにタイピング音が鳴ってるの・・・?」と思うレベルに軽減されているので、素晴らしいです。
こういったヘッドセットはマイクが口側を向いているので、構造的にも非常に有利とも言えるでしょう。
ちなみに上位機種にBluetooth接続のものがあるのですが、75tが散々だったのと、Bluetoothというものは往々にして突然接続できなくなったり、接続しても音声が急に途切れたりするものです。「確実に声を届け、確実に声を聞く」ことが求められるWeb会議において、万が一であってもそういった可能性があることはリスクになります。なので、いくら線が鬱陶しくても、ヘッドセットは有線のものを使うことをオススメします。
音質チェックの波形
環境音チェックの波形
タイピング音チェックの波形
Jabra Evolve 40 USB Type-C接続
音質 :◯
環境音の影響 :◎
タイピング音の影響:◎
こちらはおまけと言うか、まさかここで違いが出るとは!!と驚いたのでついでに乗せておきます。
USB Type-cのアダプタ経由でJabra Evolve 40を接続するのと、3.5mmのヘッドホンジャックを直接Macに接続するのとでは、明らかに3.5mm直付の方が音がクリアでした。(騒音対策性能に関しては違いは分かりませんでした)
Macのヘッドホンジャックが優秀なのか、Type-CやType-Aの様なUSB経由だとそもそもマイクが劣化するものなのかは詳しくないので分かりませんが、とにかくヘッドセットはMacのヘッドホンジャックに直接刺すのが最良、ということが判明しました。
音質チェックの波形
MacBook Pro 16インチ 本体内蔵マイク
音質 :◯
環境音の影響 :△
タイピング音の影響:✕
正直本体付属のマイクでここまでのクリアに音が聞こえることに驚きですが、やはり筐体付属マイクの限界という感じです。周りの音はもろに拾ってしまうし、それなりに反響もします。何よりタイピングの音がとにかくダイレクトに伝わってしまうので、とてもではないですが、タイピング音に関しては聞いてられませんでした。
外付けキーボード等を使うことで改善はされるかもしれませんが、Web会議でこのマイクを使えるか、というと・・・ちょっと微妙かもしれません。
「Zoom飲み」みたいな、気軽な場であればこれで全然問題無いとは思いました。
音質チェックの波形
環境音チェックの波形
タイピング音チェックの波形
Logicool ストリームカム C980
音質 :◯
環境音の影響 :△
タイピング音の影響:△
4月23日に発売されたLogicoolの最新ウェブカメラも、どの程度の性能なのか調べてみました。
結論から言うと、音質はMacBook Pro 16インチのマイクと同等程度(それでも十分凄いんですけどね)、環境音、タイピング音、ともにそれなりに拾ってしまうなぁ、という印象です。
と言うか、そもそもの設計として人の声だけを集音することに特化しているものではないので、当たり前と言えば当たり前です。
そういう意味で言えば、MacBook Pro 16インチの付属マイクと同様に、気軽に使う分には十分な性能は有していると思います。
音質チェックの波形
環境音チェックの波形
タイピング音チェックの波形
まとめ
以上の結果となりました。
正直普通にWeb会議をする分にはiPhone付属のEarPodsで十分です。
小さな子供が常に家に居たり、飛行機の音や工事の音などの騒音が多かったりする場合や、少しでも良い音で会議に望みたい!という場合は、有線のヘッドセットを使えば品質の向上は期待できると思います。
何より、Web会議の音質に気を配るということは、多くの人が集まるその時間を大切にするという最低限の配慮でもあります。
もし、「Web会議で音質が悪くて何言ってるか分からない時がある」「自分の声がちゃんと届いているかどうか不安」という方がいましたら、一つ参考にして頂ければ幸いです!
また、これ以外にもリモートワークに望むにあたり、取り揃えた機材がまだいくつかあるので、そちらも気が向いたら少しずつ紹介していこうと思います。
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