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鋭い目で建築現場を見つめている

家づくりを1円でも安くしたいなら、
なるべく自分たちの労力を使うことが有効です。

その最たるものがDIYです。
自分で材料や工具を入手して、自分で設計して、自分で施工して、自分で管理して、自分でアフターフォローすれば、材料費と多少の電気代くらいで家づくりが出来ます。

素人で完璧に仕事が出来るのであれば、建築業者は商売あがったりですが、そうならないには訳がありそうです。


■プロが見ていない現場とは

1 下請け、孫請けが悪いのではなく、目が届いていないことが問題

大手企業の現場などでは、元請け会社の下に何段階も下請け会社が存在する現場も珍しくありません。

「下請けを使っていて大丈夫か?」

というお考えの方もいらっしゃるでしょうが、元請け会社だけで施工が完了する現場などがそもそもありませんので、下請け会社や協力会社などの存在は建築現場では必須です。

問題なのは 丸投げ です。
しかも 無関心な丸投げ です。

投げっぱなしで、上の会社が現場を見ずに進んでしまう現場がまずいのです。
一般的に、元請け会社から下請け、孫請けとなって行く度に経費や利益が抜かれていきますので、だんだん、予算が減っていきます。

それでも十分な利益が確保されていれば下請け会社も負担なく施工が出来ますが、そうではない環境もあろうかと思います。

そんな時に、元請け会社が現場に目を向けていなかったらどうなるでしょうか?
もはや、下請け会社の良心だけが現場の質を保つ唯一の防波堤になってしまいます。

2 工務店を通さない工事

自宅にエアコンを取り付けようと考えた際に、
最近では、家電量販店で取付けまで依頼するのが一般的だと思います。

中には、インターネットで注文するご家庭もあると思います。

昔は、エアコンの設置でも、
町の電気屋さんや地元の工務店などに依頼していたと思いますが、
コストを比べた結果、そうなっていったのだと思います。

しかし、その金額の差は何かと考えた上での選択でしょうか?

エアコンで言えば、
実は、家電量販店で販売しているエアコンと街の電気施工業者が販売しているエアコンはメーカーが同じでも機種が違います。

電気施工業者であれば、エアコンの設置はもちろん、それに関連する電気配線や分電盤などについても検討してくれます。

また、工務店を通す場合、エアコン工事ではそれほど支障はありませんが、躯体への影響やその他要素との兼ね合いなども検討してくれます。

過去にあった事例として、
弊社でご新築されたお客様が家電量販店でエアコンを設置込みで購入したのですが、壁に穴を開けた際に筋交いにぶつかってしまったようで、慌ててお客様からお電話いただいた
ことがあります。

お客様がお持ちになっている図面にはそこには筋交いが入っているという表記がありますので、プロであれば当然想定して穴の位置を決めるはずですが、そうはならず、しかも、取付業者がどうしていいか分からないとのことで私が呼び出されて、現場で穴を開ける位置を指示する羽目になりました。

そんなことを指示することになるなど、これまで一度もありませんでしたので、大変驚きました。どうやら、普段はエアコンの設置はしていない方のようです。

3 工務店が行う塗装工事

基本的に、弊社では家全体の塗装工事については、
協力業者である『いつもの』塗装工事業者が行ってくれます。

長年の付き合いもありますので、施工の技術などへの信頼も厚く、お客様への対応もお任せできる存在です。

しかし、丸投げにすることはありません。

基本的には、現場で私が何か施工することはありませんが、
現場に行って自分の目で現場を見ています。

粗探しをすると言う訳ではありませんが、現場で確認する人間の目が増えた方が施工ミスや異変にも気が付きやすい面はありますし、工務店の目線で見ると、塗装箇所以外の不具合などにも気が付き、足場が設置されたそのタイミングで補修する事が出来たりました。

例えば、
屋根が瓦の住宅で屋根の塗装は無くても、
屋根のズレや釘の抜けを確認・補修したり、
雨樋の状況を確認・補修したり、
普段は目が届かない家の部分を点検します。

逆に言えば、
工務店が見ているのは家の部分ではないので、
依頼があった塗装箇所だけではなく、
家全体に不具合がないかも見られるときに見るのが習慣づいています。

4 DIYの怖い所もやはり目

DIYの場合、一から十までプロが係わらないこともあります。
そうなると、一切プロの目が入らないケースもあります。
何も支障が出ないような簡単な作業であれば良いですが、少しでも躯体に関わったり、ライフライン、性能、に関わるようなことについては、全く目が届いていないということは心配があります。

自分が携わっていない現場ですので、私に心配される謂れは全くないのですが、職業柄、気にはなってしまうというだけです。

■最後までお読みいただきありがとうございます

「目を養え」
と現場ではよく言われました。今後も良く見て、養い続けたいものです。