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ファーストコンタクト

数年ぶりに地元の友人と酒を飲んだ。20年前は毎日のように飲み歩いた府中もすっかり姿を変え当時通っていた店はほとんど無くなっている。どこも満席の金曜日。歩き疲れ適当な大衆酒場で昔話しに花を咲かせる。やがて話しは車にお金を掛けていた頃の話しへ。
友人「車と言えばお前の車当て逃げされたよな?」
私「なんだっけそれ?」
友人「国分寺で合コンの時にコインパに停めててやられたじゃん!」
私「あ〜〜〜!!あったわ!忘れてた(笑)」
友人「なんだっけ?あの調布FCみたいなチームのやつ」
※友人はサッカーにまるで興味が無いので本当に知らない、、、
私「FC東京な!」
この話しが出るまですっかり忘れていた苦く腹立たしい記憶が蘇ったので文章に残してみようと思う。

22歳ぐらいの頃の私と言えば趣味は車。それと音楽。格好もゴリゴリのB-boyファッション。小径のワイヤーホイールにクロームパーツを惜しみなく取り付けハイドロを組んだマークIIワゴンが愛車であった。いわゆる国産コンパクトと呼ばれるジャンルのローライダーだった。ヴェルディはおろかJリーグになんてこれっぽっちも興味ない(代表戦だけは観るw)車と女しか見えない男だった。
そんな訳でその夜も気合い入れて参加した合コン。
1次会の居酒屋からのカラオケ。女の子達もノリが良い。そんな盛り上がってる最中、auのガラケーに着信。母親からだった。楽しかったのでシカトしてたら何度も鬼電。これは何かあったか?と思い電話に出る。
母「あんた今どこに居るの?警察から電話来たよ」
私「警察??えっ?(やばっ何かバレたか?)」
母「あんたの車当て逃げされたって!」
私「えっ?どうゆう事??」
諸々事情を説明され状況を把握した私。
コインパーキングに駐車していた私の隣に停めていた車が出庫時に私の車にぶつけながら出て行ったらしい。それをたまたま通行人の方が目撃し当て逃げ犯の車種、ナンバーまで控え警察に通報してくれたそうだ(半端ない恩人。後日菓子折り持ってお礼に行ったよ。)合コンどころでは無くなった私は現場へ急行、、、愛車の可哀想な姿に涙を堪え被害状況の確認。左隣に停めていた犯人は私の車の左フロントに激しく接触し逃走。飛び散るライトレンズの破片、外れたバンパー、車体自体も衝撃で右にズレていた。抑えられない怒りをぶつける為、電柱にローキック。スネが死ぬほど腫れた(笑)
その後警察の処理も終わり犯人は特定出来たから安心してと言われ酒を飲んでいた私はタクシーで帰宅。翌日さっそく犯人から電話が入る。
犯「あ、あの、あの、私、昨日、ごぼっ、、、車、、あのぶつけまして、、、」
私「何?お前誰だよ?名前は?ぶつけたってのは当て逃げの事言ってんの?」
犯「い、いや、、、あっ、あの、、」
こいつ埒が明かないな…と思い始めた瞬間。
犯「あっ!もしもしぃ〜?〇〇さんですかぁ〜?こんにちは〜〜」
と三波春夫口調のおっさんが電話を代わる。
私「はい。そうですが。」
三波「あっ!どうも私〇〇の〇〇と申しますぅ〜。この度はうちの〇〇が不祥事を起こし大変申し訳ごさいません」
どうやら三波は犯人の上司のようだ。
三波「あの〜大変申し訳ございませんが修理費用などのご相談をさせていただきたくてご連絡差し上げたんですが。」
私「はっ?修理費用とかの前に本人から詫びのひとつもないけど?それが先じゃね?」
三波「左様でございます。しかしながら本人も大変動揺しておりまして代わりに私のほぅ」
プチッ、、、電話を切った(笑)
すかさずすぐに着信
三波「あっ!失礼しました、、電波が悪かったようで」
私「いやいやわざと切ったんですよ。」
三波「へっ?」
私「だって一般的な交通事故ならまだしも今回当て逃げだぞ?本人が動揺?私が代わりに?ふざけんな話しになんねーよ。まぁいいわ普通に警察に当て逃げ事件として被害届出すから。」
三波「あっ!いやお待ちください。申し訳ありません。では私と〇〇さんと本人で直接お会いしてお詫びさせていただけませんか?」
私「時間作るとかメンドクセーけど一旦はその要求のみますよ。」
そして迎えた当日ファミレスにて。
三波「あっ!すいません本日はお時間いただきまして、、、」
私「はい」
三波「まずは本人から」
犯「あっ、、この度は申し訳ないです」
人と話すのがとても苦手そうなやつに見えた。
私「その前になんで逃げたのか教えてもらえます?」
犯「……」
三波「あのですね、、、」 
私「いやご本人から聞きたいんで。それで?」
犯「いや、、、逃げた訳では、、、」
三波「あのですねコインパーキングの段差を乗り越えた衝撃だと本人は思ったようなんです」
私「はぁ?」
三波「あの車止めありますよね?」
私「そんなん分かってるわ!ぶつかって気付きませんでした、、、ってレベルの接触かよ?こっちの車はまっすぐ駐車してたのに右にズレてたんだぞ?あれが分かんねーならまじでやばいから運転とかすんな!てゆーか気づかなかったとかシラ切るならまじでとことんやるからな。」
ガシャーン!!怒りで机を叩いた私。コーヒーカップが飛ぶ。
犯「わかって、、、」
三波「なんだ?気づいてたのか?どうなんだ?」
この時の三波は明らかに小芝居をしているように見えた。おそらく気づかなかったで通すぞ!と2人で打ち合わせしてきたのだろう。しかし私の強硬な態度に三波はプランBへ移行したようだ。
犯「ぶつかった、、かもしれない、と」
三波「その時に気づいたのか?何で逃げた?」
犯「こわくて、、車も、、、」
やっと自白した。要するに接触には気づいたが相手がやんちゃそうな車だったから余計に怖くなって逃げたと。
犯「本当に大切な車を申し訳ありませんでした。」
泣きながら謝罪してきた。
非を認め真実を話してくれたのでヨシとした。
少し場の緊張が和んだところで
三波「ところで修理に関しては我が社の保険で対応させていただきますが目安など分かりますかね?」
こいつもなかなかのタヌキじじぃだなと思いつつ
私「いや〜かなりお金掛けてますからね。でも100万は超えないんじゃないですか?」
三波「100?えっ?100?」
私「まぁ詳しくは見積もりだしてみないと。でも修理に関しては妥協なく賠償してもらいますよ。」
三波「わ、分かりました。ご連絡下さい。」
私「金額分かったらご連絡します。ではそろそろ失礼しますね」
三波「あの最後に、、、実はですね当社FC東京を運営している会社になりまして。ご存知でしょうか?」
私「名前ぐらいは知ってますよ。」
三波「こんなきっかけではありますがFC東京の応援をしていただけたらと思いまして、、、」
大封筒を差し出す三波。何だ?チケットでもくれるのか?と思いながらもこんなタイミングで図々しいなと感じたものの一応受け取り店を後に。
自宅で中身を確認するとイヤーブック的なものとアマラオ?(先程ネットで調べたらたぶんこいつ)って選手の紙お面。さらにファンクラブ申し込み案内的な紙。
このタイミングでファンクラブなんて入るかよ!(笑)

そんな事件から20年以上。忘れてたけどこの時から個人的には確執があったんだな〜。と懐かしみつつ
今ヴェルディを応援してるのも必然だったんだとある意味この事件に感謝している。


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