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バッターボックスに立つ、そこにピントを合わせよう

我が乱筆の文にいくつか”スキ”を頂きありがたい事であります。
いくらか孤独が解消されたような気がして日記のようなつもりで始めたnoteに感謝です。

では次回の続きを。

さて、台本はようやく出来たものの企画を成立させる為にはやはり、名のあるキャストが必要な訳です。例えば**や、****や、*******は出てくれるかな? **はまず無理かな・・では*******・・・・・なんて事が始まるのです。

突然話は変わるが台本を書く上で”アテガキ”なるものがあるのだが、それは『主演をこのキャストに演じてもらいたいからそのキャストにフィットした台本に仕上げました』
というもの。
役者にしてみればこれほど役者冥利につきる事はないだろう。
小姓これが苦手、というか出来ない。
アテガキとは何ぞな?
最早言ってるだけちゃうか?
セールストーク?
そんな事すら頭に過ぎる。ともかく有名キャストを”ツモる”(これは出演を承諾してもらうの意)事が製作にグリーンライト(撮影開始)が灯る必須の条件である訳です。つまりお話はとりあえず後回し、と言ってしまうと言い過ぎではあるが、とにかく有名キャストがイメージダウンになるような事だけはあってはならない不文律が存在する訳です。(これは役者の裁量というよりは事務所サイドの思惑が強いとは思いますが・・)

もちろんこれは私的な意見ではあるが、昨今アメリカのアカデミー賞を賑わした韓国の映画パラサイト。これなんか企画として日本で出してもまぁまず誰もツモれないし、グリーンライトが灯る事はないでしょうね。
*この後ネタバレの一文ありますので未見の方はすっ飛ばして下さい。

”貧乏一家が金持ちだまくらかして最後に殺してしまう”、なんて映画、字面で読んだときには一蹴されてしまうのです。

その奥に潜む深いテーマを読み解く、もしくは説明しようが理解は示してくれたとしてもお金を出す側からすると”コムズイ”となる訳です。
因みに似たようなテーマの作品はインディーズ映画には結構あるのですがパラサイトの凄さはそれをちゃんとエンタメに昇華している所ではあるのです。

では何故そんな暗いテーマがエンタメとして成立するのか?

身も蓋もない事をいうとそこに金があるからです。
同じようなテーマの作品が日本のインディーズでもあるのだが、やはり予算の関係でお話が小ちゃくなり、パラサイトの様な物語がワンルームマンションで繰り広げられるのです。
参考までにいうと日本の超大作の”キングダム”と”パラサイト”はほぼ同じ予算という訳。

何だかやっかみがすごくなってきたのでこの辺で話を正常に戻すとして、やはりそれは韓国映画がそう言った作品で実績を積み上げてきた事(商売として成立させてきた)が大きな要因ではあるのです。
映画というのは総合芸術だとよく言われるのですが、それは映画を作る上で様々なプロフェッショナルが作品を仕上げる為に凌ぎを削っている事を指します。つまり撮影部が画を撮り、照明部が光をかざし、録音部が音を撮り、美術、装飾が背景を彩り、衣装部、メイク部が元々素材の良い役者をさらに輝かせ、そんなプロたちを演出部や制作部という部署がさらに磨きをかける。
監督はそんな彼等がこしらえてくれたそんな立派な神輿から振り落とされない様に必死にバランスを取る。もちろんプロデューサーが監督が神輿から落ちない様に気を張ってくれている事は言うまでもないのですが・・・

現在それら以外にも”総合芸術”と言う耳に心地の良い言葉の視野を広げる必要があるのだと思います。
それは”映画を作るのだ”とまだグリーンライトも点っていない時期、資金を調達する段階に存在しています。その資金集めから総合芸術は始まっているのです。何故そう言い切れるかと言うとお金を出す人達も我々演出家と同じ様に、パラサイトの様な映画が好きで、その話になると日が昇るまで会話が途切れる事はないからです。しかしその同じ口から安易に儲けようとするアイデアも飛び出してくる・・
好きな事をやりながら生きていく・・映画が好きだったからこの業界にいる、でも生きていく為にはもちろん金は必要。
全く間違っていませんし、本当にその通り。
何か一つでも歯車が今までと違う動きになれば、実は結構傑作が出てくるのではないか、そんな夢みたいな事を期待してしまう、売れない映画監督の僕、いや中々映画の撮れないフリーターみたいな僕の愚痴でした。そして最後そんな負け犬の様な僕が一言。

”安易な金儲けに走ると日本映画はこれから静かに死んでいくでしょう。しかしこんな長文書いて俺どんだけ映画好きやねん!!”

PS:決して日本映画の大作を否定している訳ではない。そんな映画ももちろんあっても良いし、しかしそれ以外の”コムズイ”映画にもう少しスポットライトが当たれば良いなと思った次第です。悪しからず。








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